6月1日、水曜日。この日浦和競馬場ではjpnGⅡに格上げされた「さきたま杯」ダート1400mが行われて、戸崎圭太騎手が騎乗した2番人気の船橋所属のナイキマドリードが優勝。圧倒的な1番人気に推されたJRA所属・武豊騎手騎乗のラヴェリータは中団で伸びを欠いて5着と敗退。ラヴェリータにとっては、前走のGIかしわ記念でフリオーソの2着したことから、相手探しといった味方が大半でしたが、期待に応えることができませんでした。
実は、この日、一昨年の川崎で全日本2歳優駿を牡馬相手に制し、年度代表に選ばれた笠松の星、快足ラブミーチャンが浦和に初見参。本当は以前、浦和の桜花賞にも登録したのですが、出走直前の熱発で回避。
「まだ正直いうて100パーセントのデキではないけど、浦和の小回りコースの1400なら、なんとかなる、なんとか逃げ切れると、思っていたんだけど・・上手くいきませんでしたわ」と、ラブミーチャンに騎乗した、濱ちゃんこと濱口騎手。
愛くるしい独特の個性で、地元の笠松、名古屋。そして、関西、関東と多くの競馬ファンに濱ちゃん党がいる濱口騎手。
「スタートがすべてやったですね。この馬スタートの本当に上手い馬なんで、こんなことはないんやけど、横を向いたときにゲートが開いてしまったもんやから、完全に出負けしてしまいました。これがすべてですわ」と濱ちゃん。
「4コーナーのところで、勝ったナイキマドリードに外から並ばれてしまいましたが、いつものようにポンといければ、もっと前に無理なくいたわけですから、やはりスタートの出負けが勝負を分けましたね・・」と私。
「すんません、それもこれも自分が悪いんです。コパさん、本当にすんません」と、頭をペコリとして、ポリポリ掻く濱ちゃん。
この日の夜、南浦和にある地鶏と野菜の店「Z」で行われたDr・コパさん主催の席に招かれてラブミーチャン談義。コパさんご一行に、濱口騎手も柳江調教師と参加。ハロン編集長の斉藤修氏、フリーアナの原山実子さんも同席。
「アベコーさん、ミスターシービーは強い馬やったですねー。タケシバオーもエライ強かった。カブラヤオーも速くてエライ馬でしたね・・」と、人懐っこい目で語りかけてくる濱ちゃん。本当に人のいい近所のオッチャン、といった感じで、誰でも直ぐに友達になってしまう、顔や仕種に優しさが漂う素敵な人です。
以前、2歳優駿で勝ったときに、地方競馬の実況をしている及川サトルさんが、すぐさま私の携帯に電話してきて「これから中央競馬のことが出てくると思いますが、なんとしても笠松で、そして濱ちゃんを乗せてあげるように、コパさんに進言をお願い致します」と、真剣な声で訴えてきました。濱ちゃんと実際に席を向かい合ってみて、なんとなくその意味がわかったような気がします。人間性の豊かさと言うものは、どんな人も引き付けるものなのですね。
「コパさん、ラブミーチャンをアイビスサマーダッシュに走らせるということは、ないですか?1000mのラブミーチャンの走る姿を見てみたい気もしますね」と私。
「そう、そうなんだよね。今さっきそんな話もしていたんだけどね」とコパさん。
まだまだ、可能性を残しているラブミーチャン。沢山の夢を乗せて胸のすく逃げ脚を、是非見せて欲しいものです。そのときは、きっと良き相棒、濱ちゃんこと濱口ジョッキーの笑顔があるはずです。