信じられない時計が電光掲示板に照らし出されていました。“1分33秒8”の勝ちタイム。注目の今年の新潟2歳Sは、9年前にワナがレコード勝ちした時計とタイ記録。
目を疑ったのが、ラスト45秒―33秒1というもの凄い高速タイムでの破壊力比べ。レコードが出たワナのときはラスト3ハロンが34秒7。それを1秒6も上回る強烈な時計。わずかキャリア1戦の2歳馬には、まさに極限ともいえるタイム。
もっとも、それだけスピードの絶対能力が優れていることだからこそ出来た内容ですが、それにしても、新馬を勝ったばかりの2歳夏に、こんな凄い時計で走っても大丈夫なのでしょうか。きちんと古馬のように脚元の骨が出来ていない2歳馬の夏では、あまりにも速い時計に、若き骨が対応できるのかどうか、私の長い競馬人生において、不安のほうが先に立ちます。
今年の新潟2歳Sは、来年のクラシックの夢を乗せて多くの逸材が参戦してきました。なかでも、ほとんど追ったところなしで新潟のデビュー戦を圧倒したジャスタウェイが単勝1・7倍と圧倒的な人気に支持。
ただ、デビュー戦を勝ったときに福永騎手が「かなりの能力を感じるので、これから大事に使っていければ、来年に向けて胸が膨らみます」とコメント。それゆえ、この新潟2歳Sはパスして、ダリア賞を勝ったエイシンキンチェムで福永騎手が臨んで来るだろう、という味方をしていました。
ところが、その考えは逆で、なんとエイシンキンチェムは登録がなく、ジャスタウェイで乗り込んで来たのです。これはよほど具合が良く、相手関係からも勝てる!という自信が、ジャスタウェイを新潟2歳Sに向わせたのだと思います。
とはいえ、キャリア1戦の2歳馬。何があるか、何が起きるかわからないもので、同じく新潟の新馬戦を圧勝したモンストール(4番人気)が、更なる飛躍を見せたのでした。中団の馬込みの中で折り合いに専念して、ポッカリと開いた直線の馬場中央から一気に先頭に立ち、ここから二段掛けダッシュで猛スパート。グングン加速するモンストール。中団で展開したジャスタウェイが直線で外に持ち出し、一気に詰め寄ってきましたが、僅かに届かず、無念の2着に敗退。
3着以下が5馬身も離れてしまう抜きん出た1、2着馬のパフォーマンス。勝ち馬のラストが32秒7、2着馬は32秒6という次元の異なるような驚愕の末脚を駆使。ゆえに後続にとって、この5馬身差も仕方ありませんでした。
もし、1、2着の馬がどちらか出走していなければ、余裕を残して1分34秒台くらいで制したはずです。たまたま出走していた為に、現在の100ある能力を、最大限を超える目一杯の120くらい出し切ってしまった上位2頭。はたしてその後遺症は出ないものか、とても危惧されるところです。
このレースで、私はラフレーズカフェを推していました。素晴らしかった新馬戦の勝ちっぷり。また、それに加えて中間の動きの良さがひと際目だっており、これはジャスタウェイを相手に、好勝負が期待できると見て◎に推したのですが、スタートで出負けして、なおかつ寄られて後方。直線では馬場がボコボコしたインを衝いて伸びかけたのですが、ステッキが入ると寄れてしまい、ゴール前はほとんど馬なり状態。能力をまったく発揮できずに不完全燃焼。
優勝馬のモンストールに新馬戦で田中勝騎手は騎乗していたことから、モンストールをチョイスすることも出来たはずですが、それ以上にラフレーズカフェに魅力を感じていたのでしょう。結果的にラフレーズカフェにとっても田中勝騎手にとって不運でした。
絶賛ものの時計で決着したが、危惧されるその後遺症とは・・!?
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