過去の積み上げてきたデータを覆すような馬が出現しました。その名はジョワドヴィーヴル。アドマイヤオーラ、ブエナビスタ、トーセンレーヴを上に持ち、父は日本が誇る3冠馬のディープインパクト。生まれる前からクラシックを約束されていたような超良血馬。
先週の2歳牝馬の頂上決戦、GI「阪神ジュベナイルF」で見事に優勝。3年前同じレースを制したブエナビスタに続く姉妹制覇。ブエナビスタは新馬→未勝利からチャレンジして、3戦目で栄光の優勝旗を手にしましたが、ジョワドヴィーヴルは新馬を勝って中3週で登場。キャリアはたった1戦。まずデータ的には、2着はあっても優勝はあり得ない狭き門だったはずです。
そんなデータもジョワドヴィーヴルには、まさに馬耳東風。難なくその難関の壁を乗り越えて見せました。しかも、驚いたことに2着のアイムユアーズに2馬身半差の独壇場的な強さ。姉のブエナビスタも同じく2馬身半差。偶然とはいえ、この2馬身半差はエリート姉妹にだけ与えられた運命的な着差だったような気もします。
主導権を取ったのはファインチョイス。これにエイシンキンチェム、ラシンティアランテ、アイムユアーズが牽制するような展開。前半の3ハロンが35秒8。昨年と同じペース。1000m通過が60秒2。明らかなスローペース。各ジョッキーも手綱を必至に抑えて流れに対応しようとしていましたが、武豊騎手のサウンドオブハートが引っかかってしまいました。最高のスタートを決めて、中団のやや前くらいの位置に控えたのですが、外枠だったこともあって前に壁を作れず、3角手前で一気に持っていかれる感じで上位に浮上。懸命に手綱を引く武豊騎手。一旦は2番手に顔をのぞかせる展開。この時の脚が結果的に最後の最後で伸びを欠くことになってしまったのです。
4角でファインチョイスを追って、内にラシンティランテ、その同じような位置にアイムユアーズとエイシンキンチェム。その外からサウンドオブハート。間を割るようにイチオクノホシも好位置に進出態勢。更に、そこには休養明けの2番人気エピセアロームもいます。
そして、ファインチョイスとエイシンキンチェムが脱落。内にアイムユアーズとその外にサウンドオブハートの2頭が激しく叩き合い。と、そのときでした。もの凄い勢いで外から迫って来た馬がいました。ジョワドヴィーヴルです。それは、あたかも周りの時間が止まったかのような映像を見せつけられたのです。並ぶ瞬間もなく風のような次元の違う末脚で、あっという間に突き抜けて行ったのです。
1分34秒9は姉のブエナビスタよりも0秒3速く、昨年のレーヴディソールよりも0秒8も優秀なタイム。
馬体の418KはGI馬としては、姉のブエナビスタが阪神JF時で450Kだったことに比べても余りにも小柄。5月の遅生まれでもあることから、まだまだ成長の余地を残していますが、やはり、その馬体の成長が今後のカギになりそうな気もします。
もっとも、父のディープインパクトも440K台の小柄。同じく3冠馬のオルフェーヴルの父ステイゴールドは菊花賞時に422K。全身がバネのようなジョワドヴィーヴルには馬体重は、あまり関係ないのかも知れません。いずれにしても、2戦目で強烈なパフォーマンスを演じた超良血馬。全国競馬ファン、血統ファンの熱い眼差しが注がれることは間違いないでしょう。
一方で、私が◎○だった、サウンドオブハートにイチオクノホシ。この一戦を布石に飛躍を期待していますが、とくにイチオクノホシは、兄に菊花賞4着のハーバーコマンドを持つ血筋。桜花賞よりはオークス向きで大いに楽しみにしています。馬主は懇意にしているDr・コパさんの奥様。応援にも力が入ります。
また、サウンドオブハートは元騎手の高山太郎調教助手が、二人三脚で仕上げに一生懸命。「アベコーさん、今いいですか?」なんて、携帯から声が聞こえそうです。こちらは桜花賞向き。本当に無事にクラシックに旅立ってほしいところです。