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オルフェーヴルに何が起きたのか?事件的敗退だった天皇賞春の嵐!!


No1_1  それは主役であるオルフェーヴルが18番という枠順を引いたときから、何か目に見えぬただならぬ結末のようなものが、私の脳裏をかすめていました。
 オルフェーヴルは阪神大賞典で1・1倍という驚異的な人気に推されて、不覚の2着に敗退。3角で逸走する4冠馬としてはありえない事態。それでも2着したことでオルフェーヴルの評価は下がることはありませんでした。
 ところが、中間、調教再審査を課せられて、今回から覆面、いわゆるメンコを使用。いつもとは違った状況に「少しナーバスになっているのかも知れない」と、池江調教師が不安を言いつつも「坂路調教でいつもは左に開くのに、今回は併せた馬とピッタリと並んで走れた」と強調。続けて「馬体重がマイナス6Kくらいまでなら大丈夫」と断言。
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 本番はマイナス2Kで460K。細江純子さんがコメントしていた「パドックでどうしても早足になるので、並足でまわれるかがポイント」と言っていたことも、当日はゆったりとした並足で周回。
 周辺で言われていた不安な要素が、当日はまったく見当たらない状況下でした。ただし、覆面はオルフェーヴルという4冠馬のアイデンティティーを否定するような印象があって賛成できず、逆に彼の闘争心に水を注すような気がして不安だったのです。賢く強い馬ほどラストの直線で受ける大歓声を闘争本能に、ギアチェンジして走るような思いでいたものですから、今回のオルフェーヴルの覆面は私にとって異様に映りました。シンザン、タケシバオー、テンポイントにトウショウボーイ。ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、トウカイテイオー、そしてディープインパクト。いわゆる名馬中の名馬は覆面をして走った記憶がありません。
No4  阪神大賞典は大外枠で外々をまわり先頭に立ったときに3角で逸走。今回は2度目の大外枠18番。果たして池添騎手はどう騎乗してくるか、下げてインに入れるのか、馬込みに入れるのか、前走の轍は踏むまいと計画を練っているに違いがありませんでした。
 パドックでは落ち着きがあって、いわゆる並足で歩いて、雰囲気も悪くないように見受けられたのです。また、マイナス2Kの460Kの体重は昨秋の神戸新聞杯と同じ。そこで衝撃的な圧勝劇。当時は高速馬場で超スロー。ラスト32秒台の神業的末脚にファンも圧倒されたはずです。同様に高速馬場の菊花賞では凄い時計で、神戸新聞杯に続き横綱相撲。ゆえに今回の高速決着の馬場は、オルフェーヴルにはなんら悲観材料にはならないはずでした。
No5  ところが、競馬にはときに大胆さが結果を大きく左右するドラマを演出することがあります。3年前のエリザベス女王杯でテイエムプリキュアとクイーンスプマンテが3番手以下を大きく離して先行。後方で待機するブエナビスタを目標に有力馬がジックリ構える中で、先行2頭と後続の一団はとんでもない差に広がり、ゴール前で先頭に立ったクイーンスプマンテ、バタバタになりながらも頑張るテイエムプリキュア。マズイと感じたブエナビスタの安藤勝騎手が、いつもより早めに動いて前を猛然と追ったのですが、その思いは届かず不覚の3着。記録的な馬連、馬単配当となりました。
No6  同じ京都競馬場。今回はゴールデンハインドがまず主導権を主張して、2番手に1番枠のビートブラック。離れてナムラクレセントが3番手。2コーナーでは4番手にいたユニバーサルバンクも前のナムラクレセントから大きく離される極端な展開。金縛りにあったように動けないオルフェーヴルを中心とした後続を尻目に、3コーナーで先頭に立ったビートブラック、2番手に続くゴールデンハインド。どうしたことか、ほとんど先頭との差が詰まっておらず、後続にあまり動きがないように見えたのです。それも驚くほど縦に長い展開。
No7  オルフェーヴルの池添騎手は、阪神大賞典の反省から早めに外に出して行くことを避けようとしていた印象があって、ロングスパートを諦めて直線勝負。ところが3角過ぎあたりから仕掛けて前に出ようとしたところ、思うように動けず、仕方なく4角では1頭だけ大外をまわるロス。このときには先頭との差は絶望的。それでも懸命に追う池添騎手。一瞬反応したかと思えたのですが、ゴール前では同じ位置にいた他の馬と同じ脚色になってしまい衝撃的な結末。
No8  中団から追い上げたトーセンジョーダンが2着、オルフェーヴルをマークしていたウインバリアシオンとジャガーメイルがしぶとく伸びて3、4着。4馬身差・2馬身差という電光掲示板の中に、オルフェーヴルの18番という番号は見当たりませんでした。ああ、惨敗の11着。
 信じられない驚きの表情でコメントをするビートブラックの石橋脩騎手。一方、その背後では深刻な顔で終わったばかりのパトロールフィルムを見つめ続ける池添騎手と池江調教師の姿が、なんとも