昨年のイタリアンレッドにタッチミーノットと追い込み馬が1、2着だった七夕賞。もっとも1年前は中山だったとはいえ、一昨年の1、2着ドモナラズにアルコセニョーラと、直線鋭く追い込んできた馬が大攻勢をかけているのが、この伝統のハンデ戦、七夕賞なのです。
その傾向を踏まえて、今年も後方待機の軽ハンデ馬に注目していました。ところが、今年は週末の天気予報が、ことごとくはずれて、まるで馬場状態が読めない状況。金曜と土曜日が雨で、日曜日もその流れで雨及び曇りの予報。土曜は朝から福島競馬場は土砂降りで、日曜も馬場の悪化は避けられない状況でした。
以前から福島を走らせたかったダイワファルコンは、この雨で大きな減点。一番強いと考えていたトーセンラーも雨で△印。そこで、休養明けでも早くからこの七夕賞出走に意思表示をしていたエクスペディション◎を打ったらこれが3番人気。昨年暮れの中日新聞杯で休養明けながらコスモファントムの差のない4着だったことから、55Kのハンデを味方に直線追い込んでくるはずだとシュミレーションしたのですが・・。
当日の日曜日は雨がすっかりと上がり、雲の間から太陽が垣間見られるような天気。そのせいか芝重、ダート不良からスタートした馬場状態は、午後になると夏の太陽がサンサンと照り付けて、7レースには芝がやや重。そしてダートが重にまで急激に回復。
私の描いた天気とはかけ離れた状況になってしまいました。その上で、七夕賞の展開も少し違った感じになったのです。
好枠を引き当てたイケドラゴンが主導権を取り、ケイアイドウソジンとミキノバンジョー、サンライズベガが続き、小回りの福島を意識して、各有力馬が早め早めに仕掛けて動いてくるのに違いないと見ていたのですが、実際はこうでした。
ミキノバンジョーが好スタートからポンと先頭に立つと、外からジワっとケイアイドウソジン。石橋脩騎手は2番手でミキノバンジョーを行かせて、折り合いに専念。引っかかるように3番手に進出したシンゲンの田辺騎手も背中を丸めて手綱を懸命に抑える仕種。最内のゲシュタルトも好位置で折り合いに専念。2番人気のタッチミーノットと内にアスカクリチャンが並んで追走。今回は前に行きたいといっていたダイワファルコンが、上原師の思い伝わらなかったのか中団。エクスペディション、1番人気トーセンラー、アニメイトバイオにトップカミング、ニシノメイゲツなどが続く展開。
4角のコーナーも快調に逃げるミキノバンジョー。これをピッタリと追うケイアイドウソジン。それをマークするように追っていたゲシュタルトの脚が重い感じ。外のタッチミーノットも同様で前との差を詰めるようにグイグイと伸びる脚が見られず。
そんな中から、ゴール前の間隙をついて一気に伸びてきたのが内田博騎手のアスカクリチャン。先行2頭に一気に並びかけると、あっという間に抜け出し、ゴールへまっしぐら。そのとき大外から矢のように伸びてきた1番人気のトーセンラーが、猛然と追い込んでゴール寸前で馬体をピタリと併せて飛び込んできました。
結果はハナ差届かず2着。抜群の仕掛けどころが、まさしくジャストだった内田博アスカクリチャン。見事な手綱捌きでした。
考えてみれば、きさらぎ賞でオルフェーヴルを破って優勝し、菊花賞では3番人気に推されて3着だったトーセンラー。25戦目で初めて重賞の栄冠を手にした5歳・14番人気のアスカクリチャンに敗れてしまうのも、七夕賞という特異なレースの持つ不思議な魔力の所以でしょうか。
これぞ荒れる七夕賞か!劇的な14番人気アスカクリチャンの優勝!!
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