厳しい残暑が残る中山競馬場。なんとなく傍の木立の葉も、この暑さで元気がなさそうにうな垂れている感じです。
各地では記録的な連続真夏日を更新中。記録といえば、天候に恵まれた新潟開催もそうでしたが、高速馬場で凄い時計がポンポンと連発。とくに開催後半の「新潟2歳S」で、ザラストロの1分33秒5、ラスト33秒4のレコード勝ちは衝撃的でした。
中山、初日の2歳500万でミヤジタイガが芝1800mを1分46秒4のレコード勝ち。9頭立てで今ひとつパッとしない組み合わせだったことから、レコード決着とは考え辛かったのですが、まさかでした。そして、1000万の木更津特別でもコスモソーンパークが芝1600mを1分32秒3で快勝。重賞級のタイムを1000万クラスの馬がアッサリと計時したことで、これは凄いことになった、これまでの常識を破る高速決着になるかも知れないと、武者震いしたものです。
まさに、それは案の定でした。日曜日の10レース、セプテンバーS。準オープンによる一戦でしたが、4番人気のニシノステディーが、芝1200mを1分6秒9のレコード。トロットスターの持つ時計を11年ぶりに書き換えたのです。
そして、注目の一番「京成杯オータムH」。優勝は3歳馬レオアクティブ。直線最内の経済コースをピッタリ走り、ゴール前で最内から一気に差し切って1分30秒7のレコードで快勝。ゼンノエルシドの持つ1分31秒5を、なんと0秒8も上回る衝撃の時計。これは日本レコードの樹立でもありました。
そもそも中山秋の開幕週ということは、競馬ファンであれば誰の目にも、時計が速くなり、逃げ、先行馬には有利な舞台であることは先刻承知。そこで2、3番手で対応できるマイル巧者のエーシンリターンズが、前走の関屋記念2着からも1番人気として浮上。まあ、これは納得できましたが、2番人気が追い込みのレオアクティブ。2走前のNHKマイルCで8着だった馬で、前走の朱鷺Sを高速タイムで一気差した内容を評価されたのでしょうか。意外でした。そして、3番人気がコスモセンサー。ここ5戦で2勝、マイラーズS3着、安田記念3着、持ち前の先行力と、2番枠から1番人気に推されても当然のような馬。この3頭が単勝4倍台。
私の予想は、開幕週を意識して狙ったポジション取りに先行馬が動くので、出入りの激しいペースになると読んでスマイルジャック。大きく出遅れた安田記念で最後方から直線だけで追い込み8着。人気のサダムパテックや関屋記念を勝ったドナウブルー、香港のラッキーナインに出走メンバー最速の33秒7の豪脚で先着。ただ出るだけだった宝塚記念のブービーは、このきゅう舎のご愛嬌のようなもの。そして関屋記念は超スローの展開で最後方近くからラスト32秒4という強烈な末脚で6着に肉迫。3着のスピリタスと0秒2差だったことからも、末脚を生かせられる流れなら差し切れると判断。1番枠でしたがむしろ内々の経済コースを走れることを重視。流れが速くなれば必ずバラける展開になるはず。それは追い込む馬にとって決して内枠がマイナス要因にはならないと分析。田辺騎手が中山マイルの1番枠を意識して、最初は仕掛けて中団くらいの位置を占めることが出来たら勝てる、と読んだのでした。
まさにその読みはピッタリ!何が何でもとばかりに飛び出したゼロス。内からコスモセンサー、中からスペシャルハートが絡んで、ガンダーラと、キョウエイストーム、ファイヤーフロートも遅れまいと急追。
そして私の◎スマイルジャックはスタートと同時に田辺騎手が、少ししごいて2コーナーを回ったときに中団の最内を確保。ここで折り合いに専念。そこにはスピリタスとエーシンリターンズ。エーシンは12番枠が応えたのか思ったポジションを取れず後手後手の対応。
グングン飛ばすゼロスが2番手以下を引き離して大逃げの形。半マイルが45秒1、1000m通過は56秒2、1200m通過が1分7秒4。なんと1400mを1分18秒9という日本レコードで通過。信じられないような超ハイペース。
4角でコスモセンサーとファイヤーフロートが先頭のゼロスに接近。エーシンリターンズはまだ中団。そのとき内からスマイルジャックが追撃態勢。直線ですぐ外の馬に併せて行ったために最内ががら空き。そこを通ってスマイルの直後で満を持していたレオアクティブがグングン肉迫。一旦、スマイルジャックが抜け出したのですが、そこを空いたインからレオアクティブが見事な一気差し。スマイルジャックが最内に固執していたら、際どい勝負になっていたはずです。3着に馬場中央から良く伸びたスピリタス。
☆レオアクティブ◎スマイルジャック▲スピリタスという予想で的中!となりました。
それにしても、日本レコードの1分30秒7を、このクラスの馬がアッサリと叩きだしたということは、色々と考えさせられます。マイル戦の1分31秒の壁は険しいと言われながら、3歳馬のレオアクティブが塗り替えてしまったのですから、この衝撃は小さくないはずです。
その反面、競走馬は速く走れば走るほど、脚元や大きな馬体を支える骨にかかる負担は計り知れません。地球という地面から受ける衝撃も尋常ではないはずです。むろん、急激な細胞破壊と疲労度も並みではないでしょう。競走馬は限界のタイムに近づけば近づくほど、その反動との背中合わせ。今回の京成杯オータムH組が、なんとか無事に秋競馬を乗り切ってくれることを祈るばかりです。