単勝2.0倍のダービー2着馬フェノーメノにとっては、当然ながら菊花賞でGI制覇が大目標。トライアルのセントライト記念はその過程にあるといっても、春の強力メンバーが不在ということを考えると、自らの力でねじ伏せなければならない一戦だったのです。ファンにしてみればダービーで勝ったかも知れないと思わせた、ハナ差という強烈なパフォーマンスを披露したわけですから、この一段下がったメンバー相手に、力強く横綱相撲をして、菊花賞につなげて欲しい、という気持ちが本心だったはずです。
まず取りこぼせない一戦、取りこぼしてはいけないセントライト記念。レース後に蛯名騎手は自信があった、と言うものの、過去、中山で7着、そして6着。やはり、それなりにプレッシャーは感じていたはずです。
強力な逃げ馬がニューダイナスティ。先行タイプのサンレイレーザーが外目の枠を引いたために、ニューダイナスティにとっては楽な一人旅。岩田騎手の見事な演出に期待しようとするファンが、人気を押し上げたか6.6倍の2番人気。
このことがフェノーメノの蛯名騎手に少なからず心理的影響を与えたことは否定できません。スタートから仕掛け気味に好位置のポジション狙い。中団、後方待機で末脚を生かす戦法だった春当時とは違いました。
予想通り主導権を取って逃げるニューダイナスティ。ところが、前半3ハロンの入りが35秒2と遅かったために、2番手から先頭に立とうとするソルレヴァンテがいたので、少しスピードアップ。最初の1角では3番手のアーデント以下を、2頭でやや離し気味に先行。カナロア、ボーイフレンドが続き、その直後にフェノーメノ。その真後ろにスカイディグニティ、外にエキストラエンドとダノンジェラート。後方インに久々のベストディールとエタンダール、ラニカイツヨシ。
2コーナーで外に出したフェノーメノが、前に照準を合わせるかのように3番手のアーデントの外に進出。スカイディグニティもインの経済コースを通って好位置に進出。
前半の1000m通過が60秒2。予測したスローペース。レース直前に強い通り雨があったとはいえ、馬場コンディションに特別変わったところも見られず。
3角で逃げるニューダイナスティの3番手に、もう早々とフェノーメノが進出し追撃態勢完了。これを追って外からダノンジェラートも進出態勢。そして4角をまわったところでは、もうフェノーメノが先頭に踊り出んばかりの勢い。内で頑張るニューダイナスティにとってこれは厳しい形。これをダノンジェラートが必死になって追いかけます。4角で外目に出したスカイディグニティ。
早々と直線先頭に立ったフェノーメノ。ここで一気に後続を突き放すのか、と思えたところ、後続もジワジワと肉迫。なかでも、スカイディグニティの伸び脚が際立ち、あっという間に2番手に上がると、目指すフェノーメノ目がけて猛然と肉迫します。結果は1馬身差及ばず2着。
確かにフェノーメノは余裕を感じさせるレースではあったのですが、スカイディグニティの伸び脚、勢いが勝ち馬を勝っており、ダービー2着馬にしては、ややもの足りなさを覚えたことも事実。なにしろスカイディグニティは3走前に未勝利をやっと勝ち、前走の新潟1000万・阿賀野川特別では6着に敗退。納得の14番人気馬でした。
このセントライト記念の結果をどうとらえるのか、その判断によっては、菊花賞の展望が大きく変わってきます。
右回りは克服したものの14番人気馬に1馬身差まで肉迫されたセントライト記念!
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