古馬陣の中距離重賞「オールカマー」。天皇賞やアルゼンチン共和国杯につながる重要な一戦。
ところが、今年からある条件が変わっていたのです。というのも、これまで同様に別定戦なのですが、昨年、優勝したアーネストリーが宝塚記念1着ということもあり59K。2着のゲシュタルトが57K、重賞未勝利のカリバーンが同じ57Kで3着。この2K差は実績上位馬に有利な別定だったのですが、今年はそれに輪をかけて実績を残している馬にはしこぶる有利な条件となっていました。ナカヤマナイトが56K、ダイワファルコンが56K。7歳牝馬のアースシンボルが54K。これは明らかに重賞で実績ある馬に有利な斤量だったのです。
このことは、長期休養明けとなった天皇賞馬で9歳のマイネルキッツは別にしても、この斤量はナカヤマナイト、ダイワファルコンにとって大きな援軍。しかも、2頭とも中山コースを滅法得意にしており、かつ、休養明けに良績がある、いわゆるポン駆けが利くタイプ。まさにオールカマーは狙い澄ました一戦だったのです。
一方で、札幌日経賞をレコードで圧倒した大器ルルーシュ。9戦5勝2着2回3着1回という底を見せていない4歳馬で、一戦毎の成長ぶりからも期待するファンが殺到。単勝2.4倍の1番人気に推されたのでした。直前の追い切りでもWコースで、とびっきりの素晴らしい動きを披露。充実ぶりをアピール。
私の目には、おそらくこの3頭の争いになると推察。馬券的に妙味がある単勝13.7倍のダイワファルコンに◎。
目下2連勝と逃げ足に磨きをかけているラッキーバニラ。今回も中舘騎手で主導権と考えたのですが、内からコスモラピュタが強引に先手にこだわり、包まれることを嫌がったのか2番枠のルルーシュも積極策。同じように好スタートを決めたダイワファルコンも先行策を強行。この後にラッキーバニラが続き、中団のインにユニバーサルバンク。その外にナカヤマナイト。雨が降りしきる馬場で、内側のダートの上に溜まった水が、キラキラ光ります。
2角で先手を取ったコスモラピュタの大野騎手がチラッと外に目をやると、ラッキーバニラがピッタリと2番手マーク。少し離れてルルーシュ、その後ろにダイワファルコン。コスモファントムが外からじわっと内のサンテミリオンと並んで4番手。その直後まで進出してきたナカヤマナイト。その内にユニバーサルバンク。前半の1000m通過が61秒4。雨の中の重馬場ということを考えると、平均的な流れ。
動きが慌ただしくなったのは、3角過ぎからでラッキーバニラが先頭で、内にコスモラピュタ、外に凄い手応えでダイワファルコンが2番手から先頭を窺うような勢い。そのとき4番手にナカヤマナイトがルルーシュを抑えて一気に進出。もう完全に射程権。また直後のルルーシュも手応えは十分。
もう我慢できないとばかりに4角で先頭に踊り出たダイワファルコン。それを見てナカヤマナイトが追撃態勢。ルルーシュもインから3番手で、その外にユニバーサルバンクが浮上。
逃げるダイワ、並びかけたナカヤマ。インからルルーシュが3番手に浮上。ああ、予想した通り、この3頭の争いと一見そう考えました。ゴール寸前で先頭に立ったナカヤマナイトは1着間違いなし。2着がダイワファルコンで決まり。一瞬、グッと伸びたルルーシュが3着に入ると見えたそのときに、外からユニバーサルバンクのピンナ騎手が懸命に追って、内のルルーシュと並んでゴール。結果は必死に追ったユニバーサルバンクが、ルルーシュをクビ差捉えて3着。絶好調に見えたルルーシュが4着とは皮肉なものです。
それぞれの敗戦の弁は道悪に脚をとられた、ノメッた、というコメント。ただし道悪が上手ではないダイワファルコンが2着の頑張り。やはり、ルルーシュは中山の急坂が初めての経験ということも、応えたのかも知れません。次開催の東京が注目されます。
9月の雨が激しく降り続く中でドンピシャだった柴善・ナイト!
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