この方は何んと夢のある方だろう、心地よい言葉が私の胸の中を、大鷲のように大地を見下ろし、大きく舞い上がりました。
6月3日、日曜日。東京競馬場。この日は、抽選で選ばれたVIPの方々の競馬教室の講師役で、東京、中京競馬の見どころと解説。その講義から放送席に引き返す途中、有名な馬主である小田切有一さんから声を掛けていただいたのです。
小田切さんといえば、オークス馬ノアノハコブネや速かったヒコーキグモ。ミスラディカルに現在活躍中のサヨウナラ、そしてこの日、安田記念に出走していたGⅠ馬オレハマッテルゼ。実にユニークで夢のある馬名を付けられている方だなあ、と感心させられておりました。
できれば是非、お会いしたい、お会いしてユニークなネーミングの探し方等、直接聞けたらと、ずっと思い続けていたところに、突然、ご縁が巡ってきたのです。
温和で人当たりが良さそうな笑顔。なるほど、この優しい笑顔から、あの夢のあるユニークなネーミングの発想が思いつくのかも知れないと、ふっと頭をよぎりました。
そして、奥様にもご紹介していただいたのですが、この奥様がまた笑顔がチャーミングな方で、「昔からアベコーさんのファンでした」と、耳障りの好い言葉を発せられて、お調子者の私は、もう有頂天の雲の上。
そこで、唐突に私は「今年デビューする馬で、ユニークな名前の馬はいますか」と、尋ねました。
「う~ん、そうですねー、キヲウエタオトコというのはどうですか」と小田切さん。
「え!木を植えた男?ですか?」と私。
「ええ、そのキヲウエタオトコです。これはフランスの作家ジャン・ジオノの小説に有名な“木を植えた男”の物語に感銘して、そこからとりました」と小田切さん。
“木を植えた男”とは、風が強く、大地は荒廃。そんなフランスの山岳地帯が舞台。土地は砂漠化し、井戸は枯れ、住民からも見捨てられて寂れ行く村。そこにひたすら木を植える老人。人生を見失った旅の途中の若者。若木を植え、その成果が出るときは、その老人はいないにもかかわらず、それでも黙々と植え続ける老人に若者は感動。そして数十年後、若者がその場所にきたときは、青々した森に、笑い声の絶えない人々。生き生きした動物たち。老人はいないが、幸せが育っていた・・といった心温まる物語。
「小田切さん、いいお話しですね~。馬名の所以を聞かれるでしょうから、この物語を皆さんに伝えられますね。人間として無償の努力の素晴らしさ、そして、地球規模の温暖化で、木を大切にする思いがいかに大事であるかが、きっと心に響くはずです」と私。
一方で、アースウォーカーのポール・コーマン氏は、20世紀の戦争で、亡くなったすべての人達の為に、現在も世界中を渡り歩きながら、木を植え続けているのだそうです。
さてさて、ちなみに、キヲウエタオトコは牡馬2歳。父はスウェプトオーヴァーボードで、母はサンデーサイレンスを父に持つアドマイヤバレー。栗東・佐々木昌きゅう舎。
「デビュー戦は函館あたりになりそうです」と小田切さん。
大活躍して、馬名の由来を多くの人に伝えられるといいですね。みなさん、是非とも応援して下さいね。
キヲウエタオトコ函館に登場か!(^ム^)
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