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王者を弾き飛ばして優勝をもぎ取った女傑ジェンティルドンナのド迫力に仰天!!


13  「僕の馬は真っすぐに走ってきているのに相手は内から急にぶつけてきました。これでバランスを崩して、手前を替えたりしたので・・。あの着差でしたから本当に悔しいです」と、憤懣やる方ないという表情で、薄っすらと涙を浮かべ、唇を噛みしめる池添ジョッキー。
 注目のジャパンカップは豪華メンバーが参戦。話題は凱旋門賞で惜しくも2着と惜敗したオルフェーヴルが、今回はホームの日本で、凱旋門賞馬ソレミアを迎え撃って雪辱なるか、という大きなテーマをもった一戦でもありました。当然ながら1番人気は我らが王者オルフェーヴルで2.0倍のオッズ。
 以下、宝塚記念でオルフェーヴルに続く2着だったルーラーシップ。そして今年の牝馬3冠に輝いたジェンティルドンナ。ダービー、天皇賞ともに2着のフェノーメノと続きました。
 戦前の予想では強力な逃げ馬を欠いて、1番枠を引いたビートブラックが押し出されるように主導権を取り、スローで流れそうだということは想像がつきました。そうした流を読むことが、今回のジャパンカップを占う上で大きな要素を占めていたように感じます。
 その核心部分を踏まえて最大限に能力を出し尽くしたのが岩田・ジェンティルドンナ。
「今日の馬場状態を見て、これは内にこだわったほうがいいと思いましたね」と岩田ジョッキー。ところが生憎にも外の15番枠。それでも思い切って前に出て行き、内の経済コースを走らせよう、という作戦が出来上がったのです。ローズSで積極策から成果を得た作戦そのものでした。
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 ポンと飛び出したビートブラック。外から昨年のJC2着だったときと同様にトーセンジョーダン。その間にジェンティルドンナ。フェノーメノが前の3頭を見る形。凱旋門賞馬ソレミアがいます。エイシンフラッシュとローズキングダムが中団で、その後ろにはオルフェーヴル。後方にダークシャドウ。スタートで出遅れたルーラーシップが最後方グループのインを追走。
 前半の1000m通過が1分0秒2。半分の1200m通過が1分12秒3。予想されたこととはいえスロー。ほとんど各馬の位置取りは変わりがありません。局面が大きく変化したのは3コーナーでした。一気に捨て身の勝負に出たビートブラックが後続との差をグングンと広げて行きます。2番手がトーセンジョーダン。3番手のジェンティルドンナは、前の2頭が相手ではない、と動かなかった為にトーセンジョーダンと離れた形。ソレミア、フェノーメノ。オルフェーヴルは後方グループでダークシャドウの外に出します。ルーラーシップも同じ位置でイン。
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 後続を大きく離して4コーナーを回ったビートブラックをトーセンジョーダンが追います。ジェンティルドンナは最内にピッタリ張り付いてジッと追い出しを我慢。フェノーメノ、ソレミア、ローズキングダムが好位。そのときオルフェーヴルがスーと前に進出。
 必至に逃げ込みをはかるビートブラック。トーセンジョーダンの脚色が鈍り出し、ソレミアも失速気味。そのときでしたオルフェーヴルが一気に2番手に進出。内からジェンティルドンナが追撃態勢。
7_1 8_1
 ところが、ここで問題のシーン。逃げるビートブラックの直後に迫っていたジェンティルドンナ。前のビートブラックが邪魔になり、ピタッと外にいたオルフェーヴル目がけて馬体をぶつけにいきました。パーンと外に弾き飛ばされたオルフェーヴル。それでもふらついた馬体を立て直し、手前を変えながら巻き返しに行きます。長い2頭のマッチレースは、オルフェーヴルがゴールでハナ差まで詰め寄ったところで決着。
 外からルーラーシップが猛然と追い込んで来ましたが、ダークシャドウを捉えるのがやっとでした。フェノーメノは伸びを欠き5着。
 審議のランプが点りましたが入線順で決着。「この判定には納得できない」と池添騎手。また池江寿師も「ぶつけられて態勢を崩したし、手前も変えてしまっている。なんとも割り切れない」と、怒りをあらわしていました。

9_1 10_1
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 競馬は150周年を迎えた記念すべき年。その代表的な国際招待のジャパンカップで、今ひとつ後味の悪い結末。ジェンティルドンナの岩田騎手は、騎乗停止2日間のペナルティー。この程度のエキサイティングプレーは降着までとは至らないということなのでしょうか。笑みのない岩田騎手の表情が晩秋の競馬場の空に印象的でした。