栄光のゴールを過ぎたそのときでした。やった!とばかり感動の喜びを表現する
騎手がいました。そして躊躇なく左手を手綱から離し、隣りの敗者に向って精いっぱい真っ直ぐ左手を差し出し、お互いの健闘を称えあおうとしたのでしたが、隣りの
騎手はこれを見てスルー。そして「それはできない」と頭を左右に振り悔しさを滲ませたのでした。
敗者
コディーノと
横山典騎手。今年最後の2歳チャンプ決定戦「
朝日杯FS」で、1.3倍という断然の人気。札幌のデビュー戦を圧倒。続く
札幌2歳Sも難なく撃破。そして競馬ファン注目の一戦だった東スポ杯を、これまたレコードで圧勝。一躍、来年のクラシック候補として頂点に立ったのでした。
そして、デビュー時からつきっきりで騎乗してきた
横山典がそこにはいました。手綱を通して感じる
横山典騎手ならではのプロとしての感覚が、より気持ちの上でも高揚を誘ったのでしょう。
「初めての中山、そしてマイル戦だけど絶対負けるわけにはいかない・・」そこには強い決意のようなものが、オーラとして彼の全身から発していたことを、おそらくファンも感じていたはずです。
それゆえ1.3倍というオッズも無敗馬
コディーノにとっては当然といえば当然。内枠が有利な中山のマイル戦で、5番枠も後押しするようなラッキーさ。「これは楽勝するかも知れない」という声が聞こえたほどでした。
スタートして飛び出したのが
クラウンレガーロ。これを出負けした
マイネルエテルネルが一気に外から並びかけて先頭を奪取。2番人気で3戦無敗の
エーシントップ。そして前走レコード勝ちしたM
デムーロ騎手の
ロゴタイプ。その直後に
コディーノと同きゅう舎の寮馬
フラムドグロワール。それらを見る形で
コディーノ。おそらく狙っていたポジションだったはずです。これをマークするように外には大外枠から出た
ノウレッジ。後ろに4番人気で
京王杯2歳S2着の
ラブリーデイ。その直後のインに出負けした2戦2勝の
ゴットフリート。これは私の本命で新潟
きんもくせい特別の勝者。昨年優勝の
アルフレードと同じケース。しかも朝日杯の3番枠まで同じ。これを見逃さなかったのか、15.7倍とはいっても3番人気。もうファンの方に脱帽です。
出遅れた
重賞馬、
テイエムイナズマ、
ザラストロの2頭が最後方という展開。前半の3ハロンが33秒9。過去10年で、もっとも速いペースで進みます。3角で先頭の
マイネルエテルネルに並び掛ける勢いでインから
ネオウィズダム。外には
ロゴタイプ。その外にインから早めに持ち出した
コディーノが引っ張り切れない勢いで一気に進出。好位置のインに
エーシントップ。並ぶようにして
フラムドグロワールと
ノウレッジ。
ゴットフリートがジワジワと進出態勢。
ラブリーデイも同じ位置にいます。
半マイル45秒4、1000m通過が57秒3。先行馬には厳しい流です。一旦2番手に上がった
コディーノが、ここで脚を溜めて末脚を温存する形。
直線で先行した2頭を振り切った
ロゴタイプが、再び二の足を使うようにゴールを目指します。これを外から
コディーノが急追。これは捉えたかなという形でしたが、必死に頑張る
デムーロ・
ロゴタイプ。並びかけて抜こうとする
横山典・
コディーノ。2頭の激しい叩き合いはクビ差
ロゴタイプが振り切って優勝。
コディーノもジワジワ追い詰めたのですが捉え切れませんでした。
さっと左手を隣りの
コディーノの横山
騎手に差し出し、健闘をお互いに祝おうとしたのですが、横山
騎手はそれを拒否。負けられないという思いを背負って出陣した横山
騎手ならではのプロとしての悔しさを表に出したシーンでもありました。
私の
ゴットフリートが追い上げて3着に飛び込んできましたが、スタートで後手を引いたことが致命的だったと思います。
それにしても1分33秒4の勝ちタイムは昨年の優勝馬
アルフレードと同じ時計。ところがラスト36秒1は、昨年の35秒6と比較しても見劣りました。まだまだ2歳戦線は先が見えないようです。
