新潟のマイル戦、関屋記念は、ある意味で実績のある馬が、実績通りのレースをするのに、もっとも適した一戦であるように思います。
昨年の関屋記念優勝馬レッツゴーキリシマは、前年の11月以来の実戦でアッサリと快勝。ラスト33秒2での逃げ切り勝ちは見事でした。3年前のマルカシェンクもダービー卿CTで1番人気に推されて凡退。4ヶ月ぶりの実戦ながら汚名返上となりました。
圧巻だったのは4年前のカンパニー。前年の天皇賞以来の実戦。それでも大外をケタ違いの破壊力で3馬身半も突き抜けて圧倒!
それぞれがGIで活躍していた馬たちであり、今年もその例に違わない結果となりました。そう、それがレインボーペガサスだったのです。
今年で6歳ですから3年前のきさらぎ賞では、スマイルジャック、ヤマニンキングリー、レッゴーキリシマ等に快勝。皐月賞は4着に善戦。そして日本ダービーでは5番人気で5着に好走。まさにクラシック級の逸材でした。
ところが、レインボーペガサスにとって1年4ヶ月という長期休養でもわかるように、常に脚部不安や、生命の危機とも言われた大怪我との闘いだったのです。今回の関屋記念も2月以来の実戦。鮫島厩舎でも続けて使えないということを理解しており、中間は芳賀牧場でのプール調教→宇治田原優駿ステーブルでの調教。というプロセスから栗東入り。この一連の調整過程がレインボーペガサスにとって、今回の栄冠を手にすることにつながったのです。
さて、レースはマイネルファルケが飛び出し、一気にスピードを緩めることなく後続との差を広げて行きます。2番手をスペシャルハートが追走。その直後にガンダーラ。そして、バラけた好位置をレインボーペガサス。後方にスズジュピターがいて、3歳牝馬で紅一点のサトノフローラもやや後ろの位置で末脚を温存。
一方、新潟巧者で1番人気のセイクリッドバレーは最後方で、今回も直線一気の末脚に賭けます。同じ位置にはスタートで後手を踏んだ2番人気のエアラフォン。
先頭のマイネルファルケが快調に飛ばして先頭で直線に入ってきたのですが、後続馬もグングンと接近。前半1000m通過57秒8という平均よりやや遅い流れに好位置で乗ったレインボーペガサスが、直線残り400mで抜群の手応えで先頭に立ち、これを捉えんとセイクリッドバレーが鋭い脚を見せたもののそれは一瞬だけ。その外から鋭く伸びた3歳馬サトノフローラが2着か、と思われた瞬間、大外から凄い末脚でエアラフォンが突っ込んできました。
それでも、早めに抜け出したレインボーペガサスを捉えるまではいかず、結局、エアラフォンが2着で、サトノフローラが3着。セイクリッドバレーは5着。きさらぎ賞以来の3年半ぶりの重賞制覇となりました。
安藤勝騎手は真っ黒く日焼けした顔から流れる汗を拭おうともせず、ホッとした表情で「怪我をしたり、入れ込みが激しかったり、色々あったけどクラシックで頑張っていたようにこれくらいは走っていい馬だよ」とコメント。
多くのスタッフが携わって復活を遂げたレインボーペガサス。越後連峰の虹の向うに、GIの大舞台は見えたでしょうか。
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越後連峰の虹の向うに、GIの大舞台は見えたのか!!
射幸税(ギャンブル税)導入は本当か?!
東日本大震災から間もなく5ヶ月という月日が流れます。被災地の東北では復興へ向けて杭打ちの音が響き、それぞれが動き出しました。
まだまだ解決しなければならない問題が計り知れないくらい山積みですが、いずれにしても10兆円を超すとも言われる莫大な東日本大震災の復興財源。この工面をどうするのか、行政、国民一人一人が、この重荷を背負っていかなければなりません。
行政の代表でもある与謝野経済財政担当相は、毎日新聞のインタビューに答えて衝撃的発言。
「復興財源を基幹税の増税だけで賄うのは難しい。競馬、競輪、宝くじ、パチンコなどに税金を課す「射幸税」の導入や、たばこ税、携帯電話の電波料を引き上げて、財源に回すなど幅広く検討したい」とコメント。
「射幸税」つまりギャンブル税を導入して、復興の財源に充てようという計画なのですが、与謝野経済財政担当相は、競馬や競輪の現在の実情をご存知で発言されているのかどうか疑問です。
しかも、担当相は「2010年半ばまでに、消費税を現在の5パーセントから10パーセントに引き上げる」とも発言。まさに競馬にとっては、死活問題そのものなのです。
以前から言われている消費税の増税はまず避けられないと思いますが、仮に10パーセントに引き上げるとすると、例えば競馬の場合、競走馬に掛かる種付け料、育成代、人件費等も、それなりに跳ね上がるわけで、それはすべて競走馬の値段に加わってきます。
さらに、その競走馬を買う立場の馬主にとっては最悪の環境。競走馬の値段に10パーセント消費税が掛かることになり、現在の競走馬の値段がとてつもなく上昇することは確実。となると、金額的に手を出せないといった馬主が増えることは間違いなく、いわゆる売れ残りという競走馬が増大する結果となります。
売れ残っては困る生産者にとっては、採算を度外視で投売り状態になり、そのことは即、生産者の死活問題。生産地は疲弊し、連鎖倒産という最悪のケースも出て来ることも考えられます。それは日本の競走馬生産界、競馬文化にとって滅亡的危機。
それに加えて、JRAの場合、現在の各レースの賞金の5パーセントの消費税分も、JRAが支出。年々売り上げが右肩下がりの厳しい現実を踏まえて、10パーセントもの消費税をJARが上乗せ支出できるものなのでしょうか。
一方で、仮に馬主が負担ということになると、現在よりも高い競走馬代金を払い、その上賞金の10パーセントの消費税で減額。そんなデメリットの多い馬主を続けられる人は、ほんの一握りのような気がします。
また、今なお厳しい経営が続く地方競馬に大きく波及することは間違いありません。悲しいかに存続問題が急激に現実味を増してきます。
そんな状況を踏まえて与謝野経済財政担当相は、今回の射幸税、ギャンブル税検討をコメントしたのでしょうか。いわゆるギャンブル税はファン心理を逆撫でするものに他なりません。現在でも25パーセント差し引かれているわけですから、そこにまた射幸税が加わると、どうしても二重課税を搾取されているようで、多くの競馬ファンは腰が引けてしまいます。明らかに競馬文化の後退、衰退につながる要因となります。
確かに、大震災による被災地の復興は想像もつかない費用がかかることは間違いないと思います。私たち日本人はその復興に向けて、一人一人が素直に向き合って、努力していかなければならないことも確かです。そのことを踏まえて、多くの競馬ファンに愛されている日本の競馬文化を守っていく必要があると信じています。