
55歳を迎えたその人は、目を細めながら苦笑していました。
柴田善臣騎手。もう大ベテランの55歳。7月30日生まれ。
その
柴田善臣騎手が8月8日、3歳馬による
重賞「レパードS」で、1番人気に推されたメイショウムラクモに騎乗。外枠から積極的に前に出て好ポジションをキープ。

そして3コーナーで果敢に逃げるレプンカムイの直後に進出。いつでも抜け出せる態勢で、4コーナーではレプンカムイの外に馬体を並べます。
そして、ピッタリと馬体を併せたままラスト200mで先頭に立つと、左の手綱を巧みに操り、勢いのまま余裕で後続に3馬身差の
ワンサイド勝ち。現下の3歳勢ではスケールの違いを見せつけました。

2着争いは中団待機から3コーナーで3、4番手に進出したスウィープザボードが、ゴール寸前で逃げ粘るレプンカムイ(3着)を、僅かに捉えて2着に上がりました。
2番人気のルコルセールは、スタートでモタついたことが致命的。最後方のまま見せ場らしい見せ場もなし。残念なシンガリ負けとなりました。

一方で、3番人気のオセアダイナスティは、メイショウムラクモの直後で仕掛けどころを
川田騎手が探っていましたが、緩みない流れに伸びを欠いて6着に後退。
1分51秒3の勝ちタイムは、ほぼ例年通りでしたが、ラスト3Fの37秒3は上々の時計です。
勝利者インタビューで、柴田
騎手は「1コーナーでペースダウンすると、掛かってしまうし、4コーナーではステッキを落としちゃうし、あまりかっこのいい勝ち方ではなかったけど、馬は凄く良く走ってくれました」。

55歳で
重賞勝ちは最高年長者のレコード。これまでの岡部幸雄
騎手の記録を更新したのです。
「記録を更新出来たことは嬉しいのですが、若い人に達者な人がいるから、また抜かれますよ。」と、苦笑しながら目を細めていました。
柴田善臣騎手は昨年の愛知杯以来の重賞勝利。これまで
重賞は96勝。大台の100勝まであと4勝。まだまだその奮闘ぶりが期待されます。
