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神がかりの騎乗か、凄すぎるC・ルメールと言う騎手の天下一品の技!!

   3歳クラシックの頂点、「日本ダービー」。その頂点に立ったのが2番人気に推されたレイデオロ。鞍上はC・ルメール騎手。ヴィクトリアマイル、オークス、そしてダービーとGI3連勝!また素晴らしい記録を重ねました。

今年のダービーは、皐月賞の結果からも飛び抜けた主役が不在。それゆえ、各馬、各騎手にとっては、それぞれチャンスと考えていたはずでした。 ところが、今年は強力な逃げ馬が見あたらず、どんな流れになるのか、各騎手にとっても頭を悩ますところだったのです。

おそらく内枠を引いたマイスタイルが弥生賞と同じく、横山典騎手ゆえ逃げの手に出る可能性があると見ていました。2番手にクリンチャー、トラスト、アメリカズカップ、ダイワギャグニー辺りが追走。マイスタイルの大逃げがあるかも知れない、などと考えていたら、なんと驚きました。

予想通りマイスタイルが主導権を取ったのですが、トラスト、アルアイン、ダンビュライトが、いきなり手綱をガッチリと締めにかかったのです。これで流れは極端に遅くなりました。もっさりしたスタートを切ったレイデオロ、アドミラブル(1番人気)の人気2頭は後方。人気の一角スワーヴリチャード(3番人気)は中団のイン。その真後ろにサトノアーサー。

1000m通過が63秒2。2つ前の青嵐賞(1000万)よりも2秒2も遅い極端なスローペース。

この遅いペースを感じとったルメール騎手は、向こう正面で外からスーっと前に出て行きます。結果的にこの判断が大正解でした。そして3コーナーから12秒6―12秒7。ラスト600mを残して1800m通過地点が1分53秒1。青嵐賞が1分49秒0なので、なんと4秒1も遅いペース。これでは最後方近くで4コーナーをまわって来た馬たちは絶望的です。

逃げるマイスタイルの外からレイデオロ。ルメール騎手は追い出しのタイミングを計るだけ。トラスト、ペルシアンナイト。内からダンビュライト。そしてレイデオロをマークしていたかのようにスワーヴリチャード、その外にアルアイン。アドミラブルは外をまわって中団くらいに進出して来ました。サトノアーサーは不利があり後方2番手。

ラスト200mで馬場中央から先頭に立ったレイデオロ。外からジワジワと迫るスワーヴリチャード。内は懸命に逃げ粘るマイスタイル。その後ろからダンビュライト、そしてペルシアンナイト、アルアインも粘っていましたが、外から迫るアドミラブル。

迫るスワーヴリチャードを振り切ってレイデオロが、そのまま押し切る形で栄光のゴールを駆け抜けました。

3着は粘る内のマイスタイルを大外から、なんとか差し切ったアドミラブル。クビ差でした。 優勝したレイデオロから12着のキョウヘイまで0秒9差。超スローペースが大きく左右した結果となりました。

勝ちタイムが1分26秒9、ラスト3ハロンは33秒8。青嵐賞よりも3秒1も遅いタイムとなりました。

ゆえに、スローを察知したレイデオロのルメール騎手の判断が、まさに神判断となったような気がします。

名手ルメール騎手に、ここまで読まれていたオークス!!

今年の「優駿牝馬」オークスは、圧倒的な支持を集めたソウルスターリングが、正攻法から抜け出し圧倒!見事に桜花賞の屈辱を晴らしました。 確かに、桜花賞でも1番人気だったように、同期の中では特出すべき1頭でした。とはいえ、そんな馬でも勝ち負けとは背中合わせ。

本番を前に、藤沢調教師などからアドバイスはあったのでしょうが、おそらく彼独特の競馬観で、今年のオークスを読んでいたような気がします。 これまで主導権を取って逃げまくっていた馬たちが全て脱落して、オークスのフタを開けたら強力な逃げ馬が不在。

「これはペースが遅くなる」ルメール騎手は感づいていたはずでした。当面の敵のアドマイヤミヤビ(2番人気)は16番枠。3番人気のリスグラシューも末脚温存で14番枠。桜花賞馬レーヌミノルも13番枠。この馬も無理に前に出てこないだろう、ルメール騎手はそう読んだと思われます。

「2番枠だからスタートだけ集中して行ければ、ベストなポジションで競馬が出来る、それは勝利の方程式だ!」ルメール騎手に迷いはなかったのです。

それは、まさに大正解でした。スタートを切り、内から押し出されるように先頭に立ったのが戸崎騎手のフローレスマジック。戸崎騎手は直前のフローラSで「前に馬がいなくとも折り合えることを確認できた」とコメント。本番のオークスで何も来なければ、主導権を取ってもいい、と考えていたはずでした。

ルメール騎手もこのことは承知の上。フローレスマジックが先頭に立った地点で、2番手。ミスパンテールが来ると素直に3番手で馬任せ。フローラSで先行して2着に頑張ったヤマカツグレースがようやく外から2、3番手に進出。

ソウルスターリングの真後ろに、またしてもフローラS同様に1番枠を引き当てたモズカッチャンが経済コースをピッタリ。

中団のインを追走するリスグラシュー。その後ろから外をまわるアドマイヤミヤビ。内にはディアドラがいます。

前半の5ハロン通過が61秒7。極上の馬場コンディション。予測したように超スローペースです。従って先頭から最後方グループまで一団の展開。こうなると好ポジションで経済コースを走った馬が良いことは、火を見るよりも明らか。

これを早めに察知したルメール騎手は、3コーナーで逃げるフローレスマジックに外から、「もっとペースを上げろ」と、催促するかのように馬体を併せて来ました。 直線を先頭でまわって来たフローレスマジックに、外から手綱を持ったままの抜群の手応えで、やや馬場の中央よりに出すソウルスターリング。すかさず内をすくってモズカッチャンが進出。

先頭のフローレスマジックはラストスパートに集中。それを外から捉えようと馬体を併せるソウルスターリング。そこへ内からモズカッチャンが急追。直線坂上では勢いから内のモズカッチャンが優勢か、と思えたのですが、どっこい、ソウルスターリングの二段掛けの切れ味は強烈でした。

坂を上がるとソウルスターリングがケタ違いの迫力で、内の2頭をアッサリと突き放し、横綱相撲で圧倒。C・ルメール騎手に取って、初めての牝馬クラシックの制覇となりました。

2着はソウルスターリングと叩き合いに敗れたモズカッチャン。経済コースをピッタリと走り、直線内から力強く伸びて来ました。

一方、後方から外をまわって、直線大外、真一文字に伸びたアドマイヤミヤビ。ラスト最速の33秒9の切れ味を披露。

切れ味と言えば、ラチ沿いからゴール前、猛然と追い上げたディアドラが4着。少し仕掛けが送れた印象がありましたが、確かな末脚はたいしたものです。

出負けしたリスグラシューは後方のインで展開。コース取りは良かったものの直線窮屈なポジション。伸び切れませんでした。主導権を取ったフローレスマジックが6着。2着から6着まで僅か0秒2差。

すべてに恵まれたとはいえ、ソウルスターリングがゴール前でモズカッチャンを突き放した強さ、まさにこれは本物です。