「この前と同じような乗り方をしてしまいました。これはもう騎手である僕の責任。審議にはなりましたが、馬には本当に悪いことをしてしまった・・」と、力なく語る四位騎手。
先日の秋華賞でした。優勝したアパパネは桜花賞、オークスに続く牝馬3冠を達成。スタートでアパパネと優勝を分け合ったオークス馬サンテミリオンが、大きな出遅れで最後方。飛び出したアグネスワルツが2番手以下を大きく引き離し、前半5ハロンが58秒5という緩みないない流れ。2番人気のアプリコットフィズが好位置で機を窺い、中団の外にアパパネで、内にショウリュウムーン。その後方にはアニメトバイオとワイルドラズベリー。
主導権を取って快調に飛ばしていたアグネスワルツは3角でスピードダウンしたものの4
角では後続馬が接近。武豊・アパパネもじんわりと外を通り好位置に進出。最内で手応えを残しているアプリコットフィズ。中団の内からアニメトバイオ。ショウリュウムーンも抜群の手応えで追い出しを待つ状態。外を回るワイルドラズベリーも追撃態勢。
直線でアプリコットフィズが先頭に立ちかけると、すぐ外からアパパネがグングンと接近。アニメトバイオも上手く前を捌いて外目に出し猛追。ところが、ショウリュウムーンは抜群の手応えなのに、徐々に前の馬が壁になり、好位置にいたエイシンリターンズが内にモタれてきて、四位騎手が手綱を引き急ブレーキ。すべてはこの時点で終了。
アパパネが猛追するアニメトバイオを振り切り優勝。しぶとく粘ったアプリコットフィズが3着で、外から力強く伸びたワイルドラズベリーが4着。サンテミリオンは最後方のままブービーから6馬身差のシンガリ負け。
それにしても、ショウリュウムーンの16着にはショックでした。あまりにも不運。チューリップ賞で1番人気アパパネを撃破。さあ、桜花賞と臨んだまでは良かったものの直線インで詰まる不利。そこから外に持ち出し鋭く肉迫したのですが1馬身差届かず。その不利がなかったらと思われたオークスでは2番人気の支持。ここではスタンド前の大歓声に引っかかり、ゴール前では内と
外からサンドイッチ状態で戦意喪失。
その後、北海道に渡り充電。選んだレースがクイーンスS。ここを勝って秋華賞に直行するのがベストという佐々木晶師の計画でした。充電した成果があって馬体も回復。ところ が、直線で抜群の手応えを残しながらインサイドから出るに出られず、余力を残したままアプリコットフィズの僅かな差の5着。悔しがる四位騎手。この悔しさを秋華賞で晴らしたいという思いがあったはずです。仕上がりは文句なし。馬体も、気合乗りも上々。
私はウインズ後楽園の大型画面の前に陣取り、金メダリストの柔道家、吉田秀彦さんとのガチンコ対決にパドック風景を見ながら、ある種ほくそ笑んでいたのです。これは“いける”と。
一方、吉田さんは普段は穴党だそうですが、秋華賞はアパパネを本命。対抗がアグネスワルツ。▲がエイシンリターンズ。△にアニメトバイオとアプリコットフィズも入れて馬券は的中。吉田さん来場記念・限定馬券セットも的中。
でも、うかない顔の吉田さん。配当額が少なく馬券に投資した金額を回収できなかったと、不満げな表情。限定馬券セットを購入したファン方は逆に金メダルスマイル。
第15回「秋華賞」は、不運な少女ショウリュウムーンの馬券を握り締めて帰途についた私でした。

ついこの間、深夜にハコさんから携帯に電話がかかってきて「アベコーさん、どうしていますか?元気にしていますか。実はね、わたし今回、女優デビューしちゃったんですよ。」
ハコさんは1975年、アルバム「飛びます」でデビュー。ギタ ー片手にパワフルな歌声と、一方でもの悲しい刹那さがつのるような歌声。その美しき少女は一躍人気のアイドル的存在にノシ上がりました。直木賞作家の五木寛之さんの代表作「青春の門」の筑豊編の中のから『織江の唄』を作詩、それを山崎ハコさんが作曲。これを歌うと大ヒット。1981年のことでした。オールナイトニッポンのDJ、演劇の演出、エッセイの執筆。そして、寺山修二作詩「テンポイントの詩」を作曲し、歌い上げました。トウショウボーイやグリーングラスなどのライバル馬も登場。競馬ファンには是非とも聴きたい一曲です。