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Archive for 2020年6月12日

歴史的2走ボケか!?ああ我らが女傑A・アイ!!

単勝1.3倍、圧倒的な支持を受けたアーモンドアイが、よもやの2着敗退。歴史上、最強の女傑とも言われるアーモンドアイ。直前のGIヴィクトリアマイルで独壇場の強さで圧倒。同じ東京のマイル戦。牡馬が相手とはいえ昨秋の天皇賞でも圧倒的な破壊力でワンサイド劇。「安田記念」のスポーツ紙には「不動」の見出しが踊ります。

  そんな強烈な強さでアピールして来たアーモンドアイ。GI7勝(海外1勝)、記録の8勝目に順風満帆のように見えました。それもそのはずで直前のヴィクトリアマイルでは4馬身差。圧倒的な強さで後続を一蹴。それも余力十分の独走劇。時計が自己ベストの1分30秒6で、ラスト3Fが32秒9。それで余裕綽綽だったアーモンドアイ。「死角なし」と。見出しが躍るのも納得。まさにGI連勝は断然の様相となっていました。

  ところが、そんな不動のアーモンドアイも1頭の馬であり生き物なのです。私は有馬記念以来の登板だったヴィクトリアマイルが5ヶ月ぶりの実戦。断トツの1番人気のアーモンドアイは、たとえ休養明けでも負けることが許されない軋轢、プレッシャーが厩舎サイドにはあったはずです。

それゆえ、ヴィクトリアマイルは堂々後続に4馬身差の独走。役者の違い、圧倒的な強さを見せました。

ところが、そのヴィクトリアマイルから、僅か中2週で再びGIの安田記念。この臨戦過程でレースに臨むことは、彼女にとって初めての経験。それも1分30秒6の高速決着の直後。再びヴィクトリアマイル、いやそれ以上の状態で臨めることができるだろうか。私は予想のコラムでも過信は禁物だ、と書きました。

その日、安田記念当日にパドックで見たアーモンドアイ。なにかヴィクトリアマイルの時よりもおとなしく感じました。1度実戦を使われて落ち着きが出たと、パドック解説氏は語りますが、私の目には逆に疲れがあるのかも知れない、と、そうネガティブに感じていました。

スタートで1馬身ダッシュがつかなかったこともあり、後方に置かれるアーモンドアイ。ただ、すぐ前にはライバルのインディチャンプがいたことから、ルメール騎手はその位置で我慢。

先手を取ったダノンスマッシュが、稍重の馬場を前半の3ハロンを34秒2、半マイル45秒7。緩みないペースで進みます。そして5ハロン通過が57秒3。内々の4番手をダノンプレミアムが追走。混み合った好位をアドマイヤマーズとダノンキングリー。

バラけた中団の外でグランアレグリア(3番人気)。その背後の内からインディチャンプ。直後にアーモンドアイ。ペルシアンナイト、ノームコア、そしてケイアイノーテックが後方。

そして4コーナーを先頭でまわるダノンスマッシュ。ミスターメロディが2番手。その内にダノンプレミアム。アドマイヤマーズ、ダノンキングリーの内からインディチャンプ。中団からじわじわ浮上して来たグランアレグリア。池添騎手が手綱を持ったままで先行馬に並びかけて来ました。

後方から外に進路を取ろうとするアーモンドアイ。ラスト4ハロンから仕掛けてグランアレグリアがラストスパート。坂下あたりで先頭に立つと、ここが勝負どころとばかり、ラスト33秒7で後続を引き離します。

内から前の馬を捉えてインディチャンプ。そのとき外から猛然とアーモンドアイ。先頭はセーフティーリードを取ったグランアレグリア。ゴール前で内のインディチャンプを捉えたアーモンドアイ。一番外から追い込んで来たノームコアがアーモンドアイに馬体を並べて4着。ダノンプレミアムは馬場に脚を取られて失速。13着に凡退。

 結局、グランアレグリアから遅れてアーモンドアイは2馬身半差の2着に敗退。単勝、馬単は露と消えました。

ヴィクトリアマイルの反動なのか、ゴール前はノームコアの末脚が完全に勝っていたことが印象的でした。

飛んで来た泥の塊が右目に激突したということで、腫れあがり、出血する厳しい状態の中で、嬉しい勝利者インタビューのお立ち台。恥ずかしそうにコメントをする池添騎手。まさに名誉の負傷となりました。

衝撃!遊びながら勝っちゃった日本ダービー!!

   

その騎手は終えたばかりの夢の最高の舞台で、少し高ぶる気持ちを抑えながらもこう言いました。

「遊びながら勝っちゃうのですから、素晴らしい馬です!」。それはまさに度肝を抜くような衝撃的な優勝でした。

3歳牡馬コントレイル(父ディープインパクト)。皐月賞を制して4戦4勝で臨んだ夢の大舞台「日本ダービー」。宿敵サリオス(2番人気)も霞む単勝1.4倍。スタンドの大歓声こそないものの2冠に王手をかけたコントレイルにとっては、まさに史上に残る記録的な支持を受けてターフに登場しました。

レースは外からウインカーネリアンが仕掛け気味に先頭に立ちます。2番手がコルテジア。その後が出たなりに自然とコントレイル。その外に並びかけるディープボンド。そしてヴェルトライゼンデ、ガロアクリーク、外から仕掛けてヴァルコス。これにほとんど差がなくワーケアとアルジャンナ。その外、中団前にサリオス。さらに内にはサトノインプレッサ。並びかけるようにビターエンダー。一団で展開します。

前半の5ハロンを過ぎたあたりから後方に位置していたマンオブスピリットが、外から捲るようにグングン上昇。一気に先頭を奪います。5ハロン通過が61秒7。それは想定されたようにスローで進んで行きます。

そして、4コーナーを先頭のマンオブスピリットがややリード。外に並びかけんとコルテジア。その外にディープボンド。それらの動きを見ながら直後のコルテジアが抜群の手応えで虎視耽々。

そして、ラスト300m付近で軽く福永騎手が仕掛けると、それに即座に反応してコントレイルが馬場の中央を堂々と先頭に立ちます。そこからコントレイルの真骨頂。異次元の強さ、破壊力で後続をまったく問題にせず、ラストが最速の34秒0で再加速。ライバルのコントレイルを徹底的にマークしていたサリオスを、おいでおいでとばかりに3馬身も余裕で突き放し栄光のゴールイン。

それは、まさに役者の違い、貫録の違いの結末だったような気がします。むろん、サリオスも良く走りました。外からラスト34秒1の鋭い脚を見せながら、コントレイルの強さには脱帽。ひとつ時代が異なれば2冠馬に輝いた可能性があります。

3着は一旦、中団に位置を下げたヴェルトライゼンデ。最内から迫ったサトノインプレッサ、そして好位からしぶとく伸びたディープボンドを振り切り3着に頑張りました。

そして、ワーケアはラスト34秒3の高速決着に無念の8着。一方、サトノフラッグは後方のまま冴えず11着。さらにダーリントンホールも後方で13着入線。ワーケア、サトノフラッグともに、ひとつ歯車が噛み合わなかった印象が残ります。

7262頭が目指した頂点、「日本ダービー」。最先端に到達したコントレイル。無敗馬によるダービー制覇は、奇しくもディープインパクト以来、実に15年ぶりの大偉業となりました。

また、5番枠のコントレイル。父のディープインパクトと同じ5番枠。さらに、あのオルフェーヴルもダービーは5番枠。それは3冠馬の機運が、運命が導いているのでしょうか。