その日、私が予想をしている「内外タイムス」の1面は、私の本命であるダイシングロウの特大サイズの大見出しが踊っていました。
今年の小倉記念はダイシングロウの優勝だろう、と、だいぶ以前から考えていました。新潟大賞典が7着で、直前のエプソムCが15着。株価が相当下落して、これはビッグな馬券になると、一人ほくそ笑んだものです。エプソムCのあと七夕賞は見向きもしないで、ひたすら小倉戦、小倉記念に照準合わせて、エプソムC以降も連日乗り込んでいたのです。
昨年夏の小倉博多Sを好タイムで圧倒したあと、小倉記念では1番人気。このとき優勝したのがドリームジャーニー。今、にして思えば、今年の宝塚記念を制したドリームジャーニーを相手に1番人気。凄いことです。この時のハンデが56Kで、ドリームジャーニーは57K。わずか1K差だったのです。
更に、GⅡ大阪杯では優勝したドリームジャーニー、ディープスカイ、カワカミプリンセスのトップクラスを相手に、別定で0秒4差の接戦だったのです。夏に向って調子を上げるタイプのダイシングロウ。新潟大賞典、エプソムCの敗因がはっきりしており、狙い澄ました小倉記念は勝てるかも知れない、いや、勝つだろう、勝てるはずだ、と、すっかり予想が的中した感覚だったのです。
しかも、ハンデが昨年の56Kから今年は55K。これはありがたや、渡りに舟。ただし、ただしなんです。枠順が外枠の17番。久しぶりで具合がいいから、外枠で前に馬がいないと、軽く仕掛けたときに、ビューンと行ってしまう恐れがあると、ある種の不安が背後からのしかかって来たことも確かでした。
そして、その不安は的中しました。中団待機の外。前半の5ハロンが59秒2。よほど手応えが良かったのでしょう、軽く手綱をしごくと、それを感じ取ったダイシングロウは外からスーと上昇。4角2番手の外で直線入り口では先頭。これは早い。中ほどで内と外から挟まれるような厳しい競馬になったものの、大きな敗因は前に壁を作れず、気持ちよく行ってしまったこと。川田騎手が騎乗したときは、いつも早や仕掛けになるのですが、それもこれも後の祭りでした。
わずか0秒4差の喜怒哀楽。3連単を的中された方は、100円がおよそ100万円のビッグな、まさに一攫千金。ここは勝負どころと、前掻きしながら引っ掛かるように馬券に買い走った私には涙のドラマ。何十年経験しても、涙のドラマは着いてくるものですね。それでも競馬は止められません。ひょっとして、涙のドラマは次のレースが癒してくれる可能性があるからです。
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13着ダイシングロウまでわずか0秒4差の見事なハンデ戦。衝撃の小倉記念にああ涙のドラマ・・!(T_T)
総理候補!あの鳩山由紀夫民主党代表がどうぞどうぞと席に・・!!
偶然とは、辞書によれば思いがけないこと、だそうですが、まさにそれは偶然でした。7月26日。BSフジの競馬中継があった新潟競馬場からの帰り。新幹線内でのことでした。新幹線が長岡駅に停車し、車両の中に乗り込んで来た一行がいました。
当初、翌週の特別登録馬に目をやっていて気づかなかったのですが、何となくザワザワする気配に、顔を上げたとき、その方は上着を脱ぎ、席に着かんとするところでした。
「おお、鳩山さんだ」と、ふっとつぶやき、急いで手元にあった眼鏡を掛けて見ると、いました、確かに鳩山由紀夫民主党代表が、黒く日焼けした顔を覗かせていたのです。
この日、鳩山代表は選挙の応援演説で新潟入りしていたことは分かっていたのですが、まさか帰りの新幹線車両に乗り込んで来るとは、夢にも思いませんでした。
前から少し顔見知りだったので、これはご挨拶をと思い、秘書の方、警護の方がいる中を、つかつかと目の前まで行って、こう切り出していました。
「鳩山さん、お久しぶりです。アベコーです」
「おお、これはこれは、どうもどうも」と、素早く手を差し出す鳩山代表。
「お疲れ様です。今日は新潟で応援ですか?」と私。
「そう、新潟は広いからね・・」と代表。
「僕も今、新潟競馬場からの帰りなんです」と私。
「あっ、そうか日曜日、今日だったよね。そうそう競馬はね、こっちが好きなんだよ」と代表は秘書の方を指しながらニコニコ。
「そういえば、代表、いよいよですね! 来年の日本ダービーの優勝セレモニーでは、お待ちしていますよ」と、代表に水を向けると、
「ありがとうございます」と、ピカピカに日焼けした顔でまたニコニコ。
記念に写真を、と言うことになり、自分の席を譲ってかけさせた頂き、秘書の方のカメラマンよろしく、記念すべきツーショットでパチリ!
8月30日が総選挙。とすると、1ヵ月後の9月の上旬には鳩山由紀夫総理、鳩山由紀夫首相の可能性もあるわけで、偶然がもたらしたとはいえ、貴重な瞬間、貴重な再会となりました。