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ある馬の無謀な参戦がなければ菊花賞の歴史は変わっていたかも知れない!という真相に迫る!

 菊花賞は1.6倍と圧倒的1番人気に支持されたエピファネイアが、後続に5馬身差水をあけるワンサイドレースで74代目の菊花賞馬に輝きました。

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 この日の京都競馬場は早朝から雨で菊花賞は不良馬場。幸い菊花賞直前に雨が上がったものの馬場はタップリと水を含んで、道悪の巧拙とスタミナを要求される菊花賞となりました。

 優勝したエピファネイアとっては皐月賞2着、ダービー2着で、なんとしても手に入れたい最後の1冠、菊花賞。秋初戦のトライアル神戸新聞杯を圧倒して順調な滑り出し。「折り合いさえつけば勝算はある」と角居師。これはこれで当然でした。

 

  しかも、この日のエピファネイアにとっては非常に運があったのです。枠順が2番枠。この枠であれば前に馬を置いて、経済コースをロスなくしっかり走れる。しかも、母シーザリオがそうだったように、道悪上手が脈々と流れる血筋。そして、注目のスタートで抜群のスタート。内からネコタイショウと外からバンデが競り合う展開。やや前半は行きたがっていたものの福永騎手の好リードで楽に3番手をキープ。ラストスパートをどこで仕掛けるか、というタイミングの問題だけでした。

結局、この判断がズバリ的中。4角をまわるときに2番手。普通であれば後続を意識して、もう少し末脚を温存する形をとるのですが、福永騎手は容赦なく前の逃げるバンデに並びかけて一気に突き放す作戦に打って出たのです。これには不良馬場だったということもありますが、バンデをこのまま逃げさせると、ひょっとして残られてしまうかも知れないと危機感があったのかも知れません。まさにそれは正解でした。

 そのエピファネイアの福永騎手に危機感を持たせたバンデこそ、今回の菊花賞の最大の惑星馬だったのです。これまで2400mで2勝。2600mで1勝。計3勝はすべて長距離戦。それも2600mの積丹特別で大差勝ち。兵庫特別では先手を取ってスローに持ち込み、4角で後続が迫ってくるとみるや、そこからラスト33秒5というもの凄い再加速を見せて6馬身差。ラスト33秒5と言えば、神戸新聞杯で直線後方から大外一気に伸びてきたマジェスティハーツよりも速かったのですから度肝を抜きました。父がオーソライズドで、凱旋門賞を圧勝したモンジュー産駒。まさにステイヤー中のステイヤー。

 キャリアが7戦で先手を取ったときがベスト・パフォーマンスということだけあって、今回も「何が何でも行かせる。それがこの馬の現段階でのベストの乗り方」と矢作師が断言。騎乗した松田騎手もその辺のところは十分に承知。

 兵庫特別で衝撃を受けた私は迷うことなくバンデに◎。強い馬だけが勝つ3000mの菊花賞で凄いパフォーマンスに夢馳せていました。単勝のオッズも前日から時間を追うごとに上昇。2連勝中のセントライト記念馬ユールシンギング、さらには神戸新聞杯3着のサトノノブレスを抜いて11.5倍の3番人気まで上昇。穴党の私としてはムムム・・!という感じでしたが、連勝、馬単、3連単、3連複といったフォーカスは単勝ほど売れておらずホッと一息。

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 ところが、ところがです。何がなんでも逃げたいと言っていたバンデ陣営に、果敢に挑戦状を叩きつけてきた関東馬ネコタイショウ。抽選で勝って参戦してきたのですが、このきゅう舎陣営も何が何でも逃げるつもり。この作戦に変更はないと強気の作戦。1000万クラスに入って10着、13着。これで菊花賞に挑戦して来るのですから、3000mのマラソンレースとはいえナメられたものです。どう考えても勝ち目はないし、出てくるならバンデと喧嘩しなくてはならず、恵まれた逃げ作戦なんてまず無理。となると、逃げるバンデの邪魔をするだけで、参戦は無謀と言って他がなく、何のメリットも得られない出走となってしまうことは必至。

 結局、このネコタイショウの参戦が結果的に、そしてこれからの長距離界を背負って立つバンデに大きな影を落とすことになったのです。

 前半勢いよく飛び出して内に切れ込み主導権を主張するバンデを、内枠のネコタイショウが外から執拗に絡む展開。前半の入りが昨年とほぼ同じ37秒2。しかし、今年は不良馬場。1000m通過が61秒2。良馬場であれば59秒2前後。そして次の1ハロンが12秒1と息の入らない流れ。それでも外から執拗に絡むネコタイショウ。2頭で3番手のエピファネイア以下を離していきます。そのために前半の6ハロンを、13秒台のペース・ダウンすることが出来ません。7ハロン目でようやく13秒0でしたが、ここの1回だけで、後半は12秒台、11秒台。何度も言うようですが不良馬場なのです。 菊花賞 006菊花賞 007菊花賞 008菊花賞 009

 この無謀な参戦を強いられたネコタイショウは3角手前で早くもギブアップ。ずるずると後退して行きます。

 そして、バンデがホッとする束の間、直後で機を窺っていたエピファネイアが、バンデの息の根を止めようと4角で仕掛け、バンデに並びかけると、それと同時に容赦なく一気に抜き去ってゴールへ一目散。それでもなお懸命に頑張るバンデ。経済コースをぴったりと通って迫ってきたサトノノブレス。これに馬体を外から合わされても、最後のスタミナの血を振り絞るかのように頑張るバンデでしたが、ゴールでは首差後れをとって無念の3着。

 残念ながら2着賞金を加えられず、暮れのステイヤーズS、年明けのダイヤモンドSに出走できるか微妙。来春の天皇賞3200mで見たいバンデの逃走劇。ここ短期間のうちに3度も酷使していることから充電も必要で、それゆえ2、3着は天地の違いがありました。ネコタイショウ参戦で大きな割を食ったバンデ。久しぶりに現れた偉大な長距離砲。なんとかオープン入りして欲しいものです。

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オークスの圧勝は伊達ではなかった2冠奪取マンボの一撃!!

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 優勝馬がネコ目のようにクルクルと変わった今年の3歳牝馬戦線。直前のトライアル・ローズSも雨が激しく降るなかでの重馬場での争い。なんとも本番を前にして風雲急を告げるムードでした。

 そんな中で1番人気はローズSの優勝馬、オークス2着のデニムアンドルビーと、別路線から条件戦とはいえ衝撃的な勝ち方をしてきた、上がり馬のスマートレイアーが激しく1番人気を争う形。

 結局、実績からデニムアンドルビーが主役の座をゲット。が、私の目には道悪のローズSで目一杯の競馬をし、中3週で迎えた本番の秋華賞。疲労残りがどうしても脳裏から離れませんでした。

 で、私はこう考えたのです。オークスでデニムに3馬身以上の差をつけて優勝したメイショウマンボの地力上位は明らか。あん上の武幸四郎Jさえミスしなかったら春の既成勢力の中では一枚上だろう。オークス2着のエバーブロッサムは関西と関東を2回も短期間に往復。この不利は痛い。既成勢力でメイショウマンボに続くのは、やはりデニムアンドルビーしかいない。

 もし、そのメイショウマンボを破るとすると、スマートレイアーが最有力だけど、不気味な馬がティアーモ。ときめく胸を抑えながら、私は伏兵のティアーモに大きな期待を寄せたのでした。オークス以来の実戦だった西海賞で好位から突き抜けて圧勝。キャリア2戦で臨んだオークスが好位で頑張り見どころ十分の6着。秋華賞を勝つ下地は十分なものがあると、考えたのでした。

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 ダッシュ一番、大外からビーナストリックが飛び出して主導権を難なく取ります。2番手に進出したセキショウをグングン離しにかかるビーナストリック。離れた2番手にセキヒョウでその外からノボリディアーナ。その内にティアーモがいて、その後ろにウリウリとローブティサージュ。中団の内にリラコサージュでその直後の外にメイショウマンボ。これをマークする形で、エバーブロッサムがいて、すぐ直後にはデニムアンドルビー。そして、出負けしたスマートレイアーがデニムをマークする形で、直後のインで追走。

 前半の3ハロンが34秒4。半マイルが46秒6で、1000m通過が58秒9。私が考えていたよりも、かなり速いペースで展開していきます。

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 勝負どころの3コーナーでもペースが落ちる気配がなく、ビーナストリックに変わって早めに先頭に立ちたいと願うセキヒョウ。この2頭が後続を離して飛ばします。3番手にノボリディアーナで、そこから少し離れて内にティアーモ。さらに離れてウリウリとローブティサージュ。このとき外からジンワリと進出してきたのがメイショウマンボ。それを見て手綱をシゴいてデニムアンドルビー。その内にはエバーブロッサム。その後ろにリラコサージュ。さらにその後ろには直線勝負に賭けたスマートレイアー。

さあ、4コーナーを回って、内外に広がる京都外回りならではの光景が目に飛び込んできます。

 直線に入って2番手のセキショウが先頭に立ち、好位置にいた馬も差を詰めてきましたが、4コーナーで外に出したメイショウマンボの脚色が目立ちます。続いて橙色の帽子2頭、内にリラコサージュと外のデニムアンドルビーが懸命に前を追います。

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 ゴール前で突き抜けたメイショウマンボ。優勝は当確。2着争いは大外から矢のように一気に伸びてきたのがスマートレイアー。リラコサージュとデニムアンドルビーに並びかけて交わしたところがゴールでした。

 ステッキを持った左手を高々と上げ、ガッツポーズの武幸四郎・メイショウマンボ。スタンドを埋めたファンからは武兄弟のGIのワン・ツーに歓喜の大歓声。これはこれでドラマチックな秋華賞でした。