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究極のラスト“33秒3”にEフラッシュの閃光!

 天皇賞を直前にして重要なステップ・レースが「毎日王冠」。中距離を代表する古馬陣が東京に集結しました。

 そのなかで人気を集めたのがショウナンマイティ。大阪杯で優勝した王者オルフェーヴルに半馬身差まで肉薄した末脚。この強烈なGI級のパンチ力で、前走の安田記念では初めてのマイル戦にもかかわらず優勝したロードカナロアに首差の大接戦。それゆえ毎日王冠で人気の中心に推されてもなんら不思議はありませんでした。

 とはいえ、スローペースが予測される展開で、後方一気の極端な競馬で届くのかどうか。あるいは本番を直後に控え、安田記念以来の実戦で本当に大丈夫なのか、不安の声も少なくはありませでした。

 そういった中にあって、優勝したのがエイシンフラッシュ。3年前のダービー馬、昨秋の天皇賞馬でもあります。今回は4月の香港遠征以来の実戦。天皇賞連覇を狙って今回の毎日王冠は叩き台ではないだろうか?私はそんな予感が脳裏を過りました。

 スタートでポンと飛び出したクラレント。他が躊躇しているので押し出されるように主導権。2番手にミッキードリーム。その外から仕掛けてレッドスパーダ。少し離れてエイシンフラッシュ。またそこから2馬身くらい差があって内にダークシャドウ、外にボレアス、その外にスタートを五分に出たジャスタウェイ。直後のインにショウナンマイティで、出遅れた2番人気のコディーノが後方で続きます。

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 3コーナーを先頭で回るクラレント。2番手には◎で応援のレッドスパーダ。関屋記念と同じ展開に私自身は内心ほくそ笑んでいたのです。

 前半が35秒5―48秒2。1000ⅿ通過が60秒8で、1200ⅿ通過が1分13秒4と、記録的な超スローペース。ところが、さすがに古馬の重賞です。ラスト3ハロンで俄然ペースアップ。一気に12秒6から11秒1とGI級のステージ。

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 クラレントに並びかけようとするレッドスパーダ。と、そのときでした。先行馬を射程距離に入れて経済コースを走っていた直後のエイシンフラッシュがグイグイと肉薄。直線外からはジャスタウェイ。ショウナンマイティも上位を窺う態勢だったのですが、追い比べでジャスタウェイに先を越されて伸び脚が今一つ。

 ゴール前はクラレント、レッドスパーダの外からエイシンフラッシュがグイと半馬身抜け出し、外から激しく迫ったジャスタウェイを振り切って優勝。ゴール前で4頭並んでの叩き合いは見応え十分。以下、ダークシャドウ、ショウナンマイティ、コディーノの順で入線。

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 それにしても、1分46秒7の時計は、2年前のダークシャドウと並んで過去10年で一番遅いタイム。ゆえにラスト33秒3の凄い瞬発力の決着でしたが、ラスト32秒8のエイシンフラッシュ、ラスト32秒7のジャスタウェイ。まさにGI級の迫力は圧巻でした。

 3週後の天皇賞で再び激突しそうですが、東京の2000ⅿで枠順、馬場コンディションが大きく影響しそうです。

◎アンコイルドでヨシャー!一転まさかのヒットザターゲットに卒倒!!

これは事件です。まさか、まさかの事件です。GⅡ「京都大賞典」で、11番人気ヒットザターゲットが大外から力強く直線一気に強襲。見事に差し切り勝ちを決めたのです。これは悪夢?!目をこすったほどです。

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宝塚記念以来の実戦。その宝塚記念でゴールドシップから2秒4もちぎられたドンジリ負け。小倉大賞典を勝っているように小倉巧者。京都は5戦連対ゼロ。3着が1度あるだけ。2400mの距離でも良績なし。時計も平凡。ほとんど、いやまったく良いところがないのです。

そんな馬が皐月賞、菊花賞、有馬記念、宝塚記念を圧勝したゴールドシップを負かせるなんて、さすがの私の夢にも出現してきませんでした。

ところが、競馬というドラマは、ときに予測のつかないドラマを引き起こすことがあるのです。

戦前、私は2400mという距離、そして強力な逃げ馬が不在だったことから超スローという見方をしていました。昨秋の福島500万から破竹の勢いで4連勝。一気にオープン入りして、先の函館記念では秋の天皇賞に直行する人気の一角トウケイヘイローの2着。札幌記念でもひどい重馬場と闘いながら再びトウケイヘイローの3着。間違いなくスケールアップしてきているはずでした。しかも、スローの流れを前で対応できる展開上の魅力があったのです。ゴールドシップ、トーセンラーの有力馬は、このあとが本番のGI。アンコイルドにしてみれば、GI出走にはどうしても賞金面での加算が必要。全力投球の一戦だったのです。

ところが、1番枠ということからも前に出て先行するはずでしたが、スタートでモタつき後方。「ゲートを蹴っていて遅れてしまった」と吉田隼人騎手。

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真ん中から何が行くのかな、という感じでヴィルシーナの岩田騎手。直後にニューダイナスティとトレイルブレイザーが続きます。そのインにアドマイヤラクティ。その真後ろにヒットザターゲット。スタートでいつものように後手にまわったゴールドシップが、外から仕掛けて前に上がって行きます。トーセンラーにトゥザグローリー。そしてその後ろにアンコイルド。

前半の半マイルが48秒8、1000m通過は61秒4、半分の1200m通過が1分13秒8。予想されたとはいえ超スロー。

2コーナーは内にヴィルシーナ、外にニューダイナスティ。直後のインにアドマイヤラクティ、外にトレイルブレイザー。そしてこれらをマークする形でゴールドシップ。直後の内にはヒットザターゲットがいます。中団の内にはアンコイルドとトーセンラー。

そして、それは半分の1200を過ぎたときでした。動きが激しくなり状況が一転。ハロンのラップが11秒台に上がりました。

3コーナー先頭に立ったニューダイナスティの和田騎手が押して先頭に立ちます。これにトレイルブレイザーが続き、ゴールドシップの内田騎手の手綱が激しく動きます。内でヴィルシーナとアドマイヤラクティが置いて行かれる感じ。外を仕掛け気味にトーセンラー。中団のインいたヒットザターゲットが後方に下がります。その後方にはアンコイルド。

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4角を先頭にまわってきたニューダイナスティ、2番手のトレイルブレイザーが失速気味。真ん中からトゥザグローリー、外からゴールドシップ。それに馬体を寄せてきたトーセンラー。内からアドマイヤラクティ。横に広がった叩き合いの中から、外に出したヒットザターゲットが鋭く伸びます。内から馬込みを縫うようにアンコイルドが強襲。ヒットザターゲットとアンコイルドの激しい争いは、外のヒットザターゲットが首差抑えて優勝。

「ソレーっ!」と大声援を送ったアンコイルドが悔しい2着。馬連で9万円か・・。ああ、単勝50倍だったんだけどな・・。

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それにしても、レコードタイムに0秒3差。2分22秒9は過去10年で一番速いタイム。馬力型のゴールドシップには厳しい決着になった印象です。