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期待のトランスワープは勝ったけれど今年も摩訶不思議の函館記念!!

 なんだろうか、今年も摩訶不思議な函館記念になってしまいました。顔ぶれを見てなにか違和感を覚えたことがあります。出走馬に3歳馬が見当たらないのです。それよりも4歳馬さえ顔を出していないのです。ハンデ戦の重賞としては極めて異常な現象。
 しかも、11歳馬を筆頭に9歳が3頭で、8歳、そして7歳が4頭。3、4歳馬ゼロという稀有な一戦で、7歳以上が16頭中9頭も出走している、つまり、一見、熟年レース的な趣き。
No1  そういった中で、圧倒的な1番人気は、このところ目黒記念2着、巴賞1着と好調のトウカイパラダイス。ただ、今年に入ってから8戦も消化。加えて前走の巴賞から中1週。その巴賞ではルルーシュと激しい叩き合い。当然ながら疲労残りが気がかりでした。本番前の調教も手控えることで調整。そして当日はプラス8Kの馬体重。私の目には間違いなく勝てないと映りました。
No2  函館記念を優勝したのがトランスワープ。インの中団で待機。これで折り合いがついたようで、直線は横に広がった馬込みの中から、力強く抜け出して圧勝。前走の福島テレビオープンは2.3倍の1番人気。ところが2ヵ月半ぶりの実戦。加えスタート出負けして後手後手のレース。福島の1800mということもありゴール寸前で良く伸びてきたのですが惜しくも3着。とはいえ、この時点で函館記念での視野が広がったのです。過去、未勝利の1800mよりも、全3勝の芝2000m向きだということがハッキリ。また、もし福島テレビオープンを勝っていると、おそらくハンデは今回の54Kではなく55Kは覚悟。
No3  したがって、福島テレビオープン3着が、ある意味ではトランスワープに初重賞勝ちをプレゼントしたといっても過言ではないのです。秋に向けて価値ある大きな1勝になったことは違いありません。
 一方で、4着に敗れたトウカイパラダイス。最後は外から伸びかけてきたのですが、今ひとつ迫力不足。5着だったとはいえ11歳馬のマヤノライジンのほうが脚色は勝っていました。すでに今年9戦も消化。負担は少なくないはずです。
No4  このレースで人気の一角に推されたネオヴァンドーム。休養明けでもあり2番人気とは意外でしたが、今回は浜中騎手と呼吸がまったく噛みあわず。直線に入ったところで前を大きくカットされて、浜中騎手が立ち上がる場面。最後は追わずに流してゴールイン。2000mが1800mに比べて不向きということもありますが、まったく力を引き出せずに終わってしまいました。バッチリ仕上がっていただけに残念です。
No5  中日新聞杯優勝、中山金杯3着、小倉大賞典3着と昨年の暮れから活躍が目立ったコスモファントム。今回はマイナス16K。中日新聞杯と同じくらいの馬体重でしたが、絶好のポジションだったのに休養明けということが応えてか8着と直線失速。騎乗した丹内騎手との呼吸も合っていなかったように感じました。
No6  8歳馬イケトップガンは時計の要する洋芝向き。長期休養明けを叩かれて調子をジワジワ上げていたようです。私も△にマーク。8歳馬ですがハンデ戦と時計の要する馬場では侮れない1頭です。
 3、4歳馬が不在の重賞。優勝したトランスワープや、大きな不利のあったネオヴァンドーム以外は、取り立てて評価がしづらい一戦だったと思います。

12番人気馬がレコード勝ちで有力馬を一蹴!

 昨年◎シルクフォーチュン(9番人気)が優勝したダートの短距離戦「プロキオンS」。今年はそのシルクフォーチュンが2番人気。ダート路線に進路を変更し、連勝中のファリダットが1番人気。典型的な追い込み馬2頭が人気を分ける競馬。こういうときは逃げ馬、先行馬の前残りがあるかもと予想したら、まさかそれが6歳牝馬トシキャンディの優勝とは意外でした。
1  このレースにはダートのダッシュ力、スピードだったら明らかに上位のはずのテイクアベットが参戦。今年に入り5戦3勝と勢いにのる4歳馬。前走の安芸Sでも破格のタイムで圧勝劇。今回は3番枠に入りポンと出て追い込むシルクフォーチュン、ファリダットを相手に押し切れるだろう、と読んでいたのですが、これがそうはドラマが上手く展開しませんでした。
2  私のイチオシのテイクアベットがスタートでわずかに出負けしてしまったのです。そこを抜群のスタートを決めたトシキャンディが素早く主導権。外からインオラリオが2番手に進出。これで慌てたのがテイクアベット。追いかけるように内からしごいて、前を追います。一方のトシキャンディもスタートを決めて主導権を取った以上、ここは断固先頭を譲るまいと気迫をみせて、前半3ハロン34秒0という速いペースで引っ張ります。
3  仕方なく諦めたテイクアベットの国分恭騎手は、2番手でトシキャンディを追いかける形。半マイルが45秒6。流れは明らかに待機馬向きでしたが、驚いたのは逃げたトシキャンディが直線二の足を使い後続を振り切る形で単独先頭。
4  2番手で追いかけたテイクアベットとインオラリオが苦しくなり、そこを外から追い込んだアドマイヤロイヤル、大外からファリダットが強襲。また最後方から一番外をまわって強襲したシルクフォーチュン。その間にワールドワイド。これらが一気に伸びてきたところがゴールでした。
5  速いペースで逃げて頑張り通したトシキャンディ。なんとこれが初重賞制覇。6歳牝馬にして最高の名演技。
 そういえば、ウインバリアシオンを破って初重賞制覇を成し遂げた日経賞のネコパンチの快走が、まだ記憶に新しいところ。このネコパンチも6歳馬。なんとも不気味な6歳馬の一撃です。