菊花賞で狙っていたスリーロールスが、人気のリーチザクラウンやイコピコ、アンライバルドを一蹴。第70代の菊花賞優勝馬に輝きました。
今年の菊花賞は一昨年、昨年に続いてダービー馬が参戦していない一戦。過去10年でダービー馬不在の菊花賞は4回。そのうち3回が馬連は万馬券。大荒れの菊花賞になる公算が大でした。トライアルのセントライト記念を制したナカヤマフェスタは、本番を前にしてダービー時よりも馬体重がマイナス6K。まったく菊花賞に思いを馳せていない仕上げに、菊花賞の勝ち負けは厳しいと、セントライト記念直後のブログでも書きました。
同じようなことが1番人気に推されたリーチザクラウンにも言えました。ダービー以来の神戸新聞杯で2着。当時がマイナス18Kと馬体重が激減。本番前にこの大幅に減った体重では無理かも知れない。これも、神戸新聞杯終了後のブログで書きました。ただし、菊花賞は他に主導権を取って行きそうな馬がいなかったのです。それゆえ、ゆったりとマイペースで行ければギリギリ逃げ残りも考えられるが、それでも頭はない、2着か3、4着。それは、直後に勝ち馬、そう菊花賞の勝ち馬がいるからだ、そう私は考えました。
それが、スリーロールスだったのです。リーチザクラウンの逃げはほぼ確実。流れは超スロー。こんなときは経済コースをロスなくピッタリと走ってくる馬が有利。なにしろ3,000mも走ってくるのだから。自分の予想のコラムではそう書きました。
それは9月26日の阪神、野分特別(1,000万)でした。このレースはある種、驚愕のレースだったのです。3角で先頭に立ったスリーロールス。4角を回ると再加速して後続に4馬身差。時計を見て度肝を抜かれました。芝1,800mを1分45秒0、なんとラストが33秒6。余裕を残してこの時計はありえない。私は何度も確認したのですが、間違いではありませんでした。
野分特別の1週前に行われた古馬準OPの西宮S。ゴール前でナムラクレセントと追い込んだスマートギアの壮絶な死闘。首差でナムラクレセントに凱歌。時計が芝1,800m1分44秒8でラストが34秒4。2着のスマートギアが同タイムでラストが33秒8。なんと毎日王冠で4着(ナムラクレセント)の馬や、京都大賞典2着(スマートギア)と、勝ち時計はほぼ同じで、末脚の威力は切れ者スマートギアを上回っていたことに衝撃的でした。それも余裕を残して…。
菊花賞の枠順が発表。1枠1番。野分特別と同じ。これは運命か。この枠ならリーチザクラウンを前に見て、内枠をロスなく走って来れる。おお、何というラッキーさ。GIを制するのにはこういう幸運も必要なのだ。2、3番手で内をぴったり。野分特別で見せたラスト33秒6が生きてくる。そう、再加速なのだ。これで後続も振り切れる。と、私はほくそ笑んでいました。
菊花賞当日は晴れの良馬場。天気予報は曇り→雨予報でしたが、これも大きなストライドのスリーロールスにはついていました。
菊花賞は頭に描いた通りの展開。ただ、リーチザクラウンが2番手以下を大きく離して逃げるというのは予想外でした。それでも、スリーロールスの優勝は3角過ぎに浜中騎手の手綱が長手綱でブラブラ状態。周りの馬のピーンと張った状態と比べても、しっかり折り合っている、長距離はこうじゃなくちゃ。これは絶対いける! と私は確信に変わりました。ゴール前でターフビジョンに驚き、外に大きく逃げたのはキャリアの浅さ。それでも盛り返して、インから伸びたフォゲッタブルを盛り返して差し返したのは、この馬の素質の高さでしょう。勝ちタイムが昨年の菊花賞より2秒以上速い時計。騎乗した浜中騎手は初めてのGI勝ち。大いに嘱望されている関西の若き獅子。スリーロールスともども楽しみです。
Archive for 競馬
やったー!菊花賞だ!スリーロールスだ!!浜中Jありがとう\(^o^)/
ブエナビスタ3冠ならず! 枠順がもたらした運命とは・・($・・)/
ブエナビスタの牝馬3冠なるか! 単勝1・8倍。第14回「秋華賞」はファンの圧倒的支持を受けたブエナビスタが主役でした。
とはいえ、この人気は冷静に考えた場合に異常。桜花賞が半馬身差で、オークスが鼻差。いずれも相手がレッドディザイア。とくにオークスでは早めに抜け出したレッドディザイアの優勝は間違いない、と思われた瞬間に大外から次元の異なる末脚で、猛然と襲いかかり、馬体を併せてゴールイン。まさにドラマチックな鼻差でした。
もっとも、これは東京コースだったからこそ出来た離れ業。開幕2週目で高速馬場の京都競馬場。しかも、内回りコース。そして、大きなウイークポイントになるかも知れない3番枠。ブエナビスタがこれらのハードルを無事クリアーして怒涛の追い込みを見せられるのか、私の予想は▲印でした。
むしろ、ブエナよりも前で対応できるレッドディザイアのほうが、はるかにブエナよりも有利だろうと言う見方をしていて、レッド3・2対ブエナ1・8のオッズは、明らかにご贔屓人気だと判断。つまり、ブエナビスタに絶対勝たせたいと願うファン。桜花賞、オークスでブエナの単勝馬券を保持しているので、秋華賞で夢の3冠単勝トリプル馬券が手に入れようとする収集家。まあ、そんな方の熱い思いがブエナビスタの単勝馬券購入に走らせたのでしょうか。
結果はレッドディザイアの優勝。直線中程で先頭に立ったレッドディザイアを目掛けて、馬体を外に立て直したブエナビスタが、鬼の形相? もの凄い脚で猛追。馬体を併せて抜こうとするところを、内のレッドがそうはさせまいと、ぐっとハミを噛んで懸命の抵抗。2頭はピタリと合わせたままゴールイン。凄いデッドヒート。ブエナの安藤勝騎手はスプリンターズSで、涙の1センチ差2着。その悔しさがまだ氷解していないときでもあり、今回はたとえ5ミリ差でも勝ちたかったはずです。
一方の四位騎手は、春の桜花賞、オークスが同じ馬に惜敗。最後の3冠は奪取しないとレッドに申し訳ないという気持ちがあったのかも知れません。
「最後の3冠だったから負けたら仕方ない、という気持ちで強気に乗りました」と四位騎手。
“鼻差”だけレッドディザイアが先着し待望のGI制覇。ところが、鼻差で続いたはずのブエナビスタが、4角でバテて下がってきた馬を避けて、内から外に進路を取ったときに、ブエナをマークするように直後のインを走っていたブロードストリートが、急ブレーキ。この騎乗の仕方が妨害とされて、ブロードストリートの後の3着に降着。
「不利がすべて。スムーズだったら突き抜けていただろうね」と悔しがるブロードストリートの藤田騎手。そういう意味では2着に繰り上がったとはいえブロードストリートも不運。
ブエナビスタの最大の敗因は、何といっても3番枠。安藤勝騎手もこの枠順を引いたときに、どんな風に騎乗すべきか、いろいろ策略をめぐらしたはずです。最後方に下げて直線は外に出す、あるいはレース中に外に出すという考え方もあったと思いますが、あえてラチ沿いのインサイド。距離のロスなくして高速馬場を乗り切りたい、でないとレッドディザイアに負けるかも知れない。それにはレッドを徹底的マークの真後ろがベスト。この作戦はある意味では正解なのです。ただ、他の馬も経済コースのインサイドは混雑するので、何らかのリスクは考えられたはずでした。
もし、仮にブエナビスタがもう少し外枠であったら今回のような不測の事態は起きなかったはずで、あくまでも枠順による明と暗の差は、大きかったように思います。ブエナビスタには不運としか言葉が見つかりません。
私が応援したジェルミナルはブエナビスタより後方に下げたものの、3角から外を回って一気にスパート。ここで一気に脚を使い過ぎました。4角では4番手の外に進出態勢となったもののひと踏ん張りの力が残っていませんでした。桜花賞、オークス3着の実績。
「内に入れず厳しい競馬になってしまった。外枠が応えましたよ。内ならもっと際どかったはずです」と、申し訳なさそうな福永騎手でした。