
「顔ぶれを見ると強力な逃げ馬が不在。スローで展開する可能性が大。好位で自在に対応できる器用さは魅力。楽しみです」と、私は
桜花賞の予想でそう書きました。
まさに、それは予想外のドラマの結末に私も驚きでした。その結果は後続に4馬身差の独走というドラマで締めくくられたのです。
今年のクラシックの先陣を切って桜が満開の下、阪神競馬場で「
桜花賞」が行われました。
圧倒的な1番人気は、直前の
きさらぎ賞で牡馬を相手に圧勝した3戦3勝、無敵の
ルージュバック。1.6倍というオッズで他を圧していました。マイナス6Kという馬体でしたが、落ち着きがあり、醸し出す雰囲気は、さすがにクラシック最有力候補、という印象を受けたほどです。
ただし、阪神が未経験で、初めてのマイル戦。前日までの雨の影響も気がかりでした。そこで狙っていたレッツゴードンキは、札幌2歳3着のスタミナ、ステップ台の
チューリップ賞が重馬場で3着。阪神のマイル戦を2度続けて走って来ている魅力が、私の脳裏では大きなポイントを上げていたのです。
そして、注目のスタートです。外のローデッドが大きな遅れ。クルミナル、キャットコインもアオリ気味のスタート。


内から
ムーンエクスプレス、ノットフォーマルが自然に前に出て行きますが、互角に出たレッツゴードンキが3番手。ところが、前の2頭が手綱を引く形を見て、レッツゴードンキの
岩田騎手が、外からスーと無理せず先頭に立ちます。ここで、好位グループの馬は妥協。極端なスローペースが始まりました。
一方、1番人気の
ルージュバックは互角に出て好位をキープできそうだったのですが前の馬が折り合い重視で下がって来ると、真後ろの
ルージュバック
戸崎騎手が手綱を締めます。そのとき外からゾロゾロと前に出て来て、
ルージュバックを包み込む形。仕方なく位置取りを下げざるを得ませんでした。
3コーナーに向かうときには後方から数えて4頭目まで後退。前半3ハロンが37秒1。魔の
桜花賞ペースとは、よく言われたものでしたが、今年は異常とも思えるくらいのペース。過去10年で一番遅かった
ダイワスカーレットが優勝した8年前の
桜花賞が、3ハロンで35秒7、それよりも1秒4も遅い流れ。半マイルが50秒ジャスト。ここで勝負ありでした。抜群の手応えで先頭を走るレッツゴードンキ。引きつけた逃げでしたが、好位、後続の馬は動かず。

そうこうしている間に、すでに4コーナー。先頭で楽々手応えのレッツゴードンキ。その直後にノットフォーマル。外にアースライズが進出。
ムーンエクスプレスの外にレオパルディナ。中団の前にいたイン狙いのクイーンズリング。その真後ろにコンテッサトゥーレも内ラチ狙い。そのまた直後にクルミナル。外にはココロノアイ。その後ろが内に
ルージュバック、外にキャットコインが並んで前を追います。
抜群の手応えで4コーナーをまわって来たレッツゴードンキ。直線の中程、あと200mで追い出すと、ここから一気に再加速。後続馬を突き放しにかかります。
ルージュバックを警戒したのか、
岩田騎手も手綱を緩めずそのまま一目散にゴールを目指し、4馬身差に広がったところでゴールイン。ラスト3ハロンを33秒5という素晴らしい二枚腰。圧巻の独走でした。

左手で軽くガッツポーズの
岩田騎手。そして頭を左右に振り、自己陶酔の
パフォーマンス。まさにワンマンショーの趣きでした。
出負けしたクルミナルが外に出してグンと伸びて2着。最内からコンテッサトゥーレと迫って来たクイーンズリングが、3、4着。


一方で、注目の
ルージュバックは、4コーナーで4番手。ラスト33秒台の逃げ切り勝ちとあって、まったく末脚が不発。9着に敗退。同じように2番人気のココロノアイも後方で伸びを欠き10着と凡退してしまいました。
関東馬が1、2番人気と、最近になかった
桜花賞でしたが、関東馬はノットフォーマルの5着が最高。
さあ、次は東京競馬場が舞台の
オークスです。距離が2400mに延びて、かつスタンド前からの発走。どんなドラマが待つのか胸がどきどきします。
