fbpx

Archive for 競馬

レコード決着!デムーロ兄弟が日本の春を謳歌(^^♪

 今年の春のクラシックはデムーロ兄弟でいくつ勝つのだろう!日本人ジョッキーに出番はあるのだろうか、という思いにさせられています。

 皐月賞は1番人気に推されたロゴタイプが優勝。これが芸術的と思える騎乗。スタートはそれほど速くはなかったものの気負って行きたがるコディーノの直後に位置取り。スタンド前の歓声が上がると外から他の馬が進出。その影響で内のコディーノが内に逃げるような仕種。ここで直後のインにいたロゴタイプと接触。それでも、M・デムーロ騎手との折り合いはピタリ。勝負どころの3コーナー過ぎに前を裁いて進路を外にとると、4コーナーでは一気に好位外に進出。直線坂下でアッサリと先頭に立ち、そのままゴールに向って真一文字。快勝でした。100点満点といっていいくらいの騎乗。やはり、クラシックを制するには騎乗技術も大きいのです。

 コパノリチャードで逃げ切れないものか、マイル戦まではその傑出したスピードと、底を見せていない奥深さ。あと2ハロン、というよりもあと1ハロンをどう凌ぐか、私はここさえ乗り切ればチャンスは十分にあるはずと結論しました。

 ところが、まさかのことが起きてしまったのです。どう騎乗しても勝てそうにもない芝で未勝利のクリノヒマラヤオーが、スタートから執拗に後ろでコパノリチャードを煽ってくるのです。何故だ、村田騎手は正気なのか。自滅するだけだぞ!

1 2 3

 前半3ハロンが34秒1、過去10年で1番速かった4年前の34秒8を大きく上回るペース。しかも、半マイルが45秒7、マイル戦のダービー卿CTよりも速いペースで飛ばすはめになったのです。

 さすがに3コーナー過ぎでは、玉砕覚悟で煽ってきた2番手のクリノヒマラヤオーもギブアップ。

 4コーナーでは先頭がコパノリチャードで、2番手に進出したクラウンレガーロ。ラブリーディ、その外に2番人気のエピファネイア。コディーノが直後の内で、その外に出したロゴタイプ。と人気上位馬が急接近。1600m通過も1分34秒0と息の入れ場がありません。中団のインからカミノタサハラが外に持ち出します。その後ろにはミヤジタイガとタマモベストプレイ。

4 5 6

 直線でも頑張るコパノリチャードでしたが、ここが勝負どころと判断したM.デムーロのロゴタイプが一気に仕掛けて先頭に並びます。それを見てエピファネイアが待っていたとばかり接近。遅れまいとコディーノが追撃。

 ロゴタイプが先頭、2番手にエピファネイア。もう完全にこの2頭の争いでしたが、外のロゴタイプが朝日杯FSでコディーノを振り切ったときのような勝負強さを発揮。追いすがるエピファネイアを半馬身振り切って優勝。首を左手でポンポンとロゴタイプの労をねぎらうM・デムーロ。派手なパフォーマンスはなし。

 2着がエピファネイアで、コディーノが踏ん張って3着。上位1番人気から2番人気、3番人気で順当な着順。追い込んだカミノタサハラが4着で、これが4番人気というしごく人気通りの決着。ファンの方の見識の高さには頭が下がります。

 勝ちタイムが1分58秒0のレコード。過去10年で1番速かった9年前のダイワメジャーが1分58秒6。出色のレコードです。逆に良馬場ではラスト3ハロンが35秒9と一番遅いものとなりました。

7 8 9

 ハイペースを演出したコパノリチャードは、初めて経験した距離、コース、そして息の入らない流れ。4角で外から一気にワッと来られる競馬も未体験。本来であればボロボロになっても不思議はありませんでしたが、4着カミノタサハラと1秒差の1分59秒5は立派です。

 レース後、検量室前の縁に腰を掛けていた内田博騎手。私と目が会うなり「スピードがありすぎるね。もっと後ろを離して逃げられるかなと思ったけど・・。でもペースを考えたら頑張っているよね」とコメント。

 馬主のDr・コパさんも「結果は残念だったけど、なかなかいいスピードを見せてくれたね」と。

 喜び100パーセントの田中剛調教師の横で、M・デムーロ騎手は「ロゴタイプは素晴らしく賢い馬ですよ。馬場が重くても関係ありませんね。ダービーでは弟のクリスチャンが騎乗しますが、きっと勝ってくれるものと願っています」と期待をつなげていました。

10

 ロゴタイプはM・デムーロ騎手で3戦3勝のパーフェクト。朝日杯FS、皐月賞とGI2勝。弟のC・デムーロ騎手はスプリングSで優勝。ロゴタイプは外人好きなのか?

 桜花賞でワン・ツーを決めたデムーロ兄弟。今年のクラシック春の陣は、デムーロ旋風が席巻しそうです。

雨のち晴れ~やっぱりアユサン!そのストーリー(~o~)

 

 昨年の秋、強烈な末脚でデビュー戦を快勝したアユサン。私の脳裏にシッカリと焼きつきました。続くアルテミスSでも追いかけて惜しくも2着。それでも、出遅れて最後方から直線大外を1頭際立った末脚でゴボウ抜き。このときゴール前で先頭に立ったコレクターアイテムに外から馬体を併せに行き半馬身差。真っ直ぐ走っていれば突き抜けたはずでした。

 

 それでも1分33秒8のレコードの2着で、ラスト3ハロンが33秒5。キャリア2戦目でこんな芸当ができるなんて、並みの馬ではない、とある種の確信を持った馬だったのです。

 

 暮れのJRA「AKBのガチ馬」で、阪神ジュベナイルFのときに、AKBのみなさんを前にして、アユサンという馬の凄さを強調。ところがレースでは不運にも7着。高速馬場の18番枠。出遅れて4角では大外に出したら強風の向かい風。インを回った馬同士の決着でしたから厳しい結果でした。これにはAKBのみなさんからもブーイング。それでも私は「来年の春には必ず期待に応えてくれるはずです。素晴らしいスケールを持った馬ですから、是非みなさんも応援をお願いします」と伝えました。

 

 年明けはおそらくクイーンCからだろうと考えていたところ、手塚調教師は「数日前に寝違えてしまい、使えないこともないけど先がある馬なので、今回は自重してチューリップ賞に行きます」と、丁寧に説明してくれました。

 

 そしてチューリップ賞。今年の初戦は2度目の阪神でした。ここで、初めてスタートでポンと出て好位置を確保できたのです。ただ、流れがスローすぎて、やや掛かる場面があり、逆に折り合って単騎逃げの形に持ち込んで優勝したクロフネサプライズの3着。何とか馬券の対象は確保してくれたものの悔しい敗退でした。もっとも、桜花賞の出走権は確保。

 

 そして桜花賞。さすがに輸送を考慮して早々と栗東入り。日毎に上がる体調にときめきました。

 

 ところが、困った事態になったのです。それは爆弾低気圧と称する厄介なものが、関西、関東、東北を襲来。阪神も土曜日から激しい雨にたたられたのです。事前の予報でこの低気圧の襲来を掴んでいたのですが、桜花賞出走組はほとんどが道悪未経験。もちろん、アユサンも同様で、鋭い破壊力と比較的大きなストライド。良馬場がベストと考えていた私にとって、この道悪馬場のコンディションはマイナス材料だろう、う~ん、天を恨みました。

 

 そして、前日の土曜日にあることが起きたのです。それはアユサンの相方、丸山元気騎手の福島競馬の落馬負傷でした。彼はデビュー当初からアユサンに騎乗。ともに念願だった桜花賞に駒を進めてきたのです。丸山騎手も本当に悔しかったことでしょう。

 

 そしてC・デムーロ騎手に騎乗変更。世界の第一人者、日本でもお馴染みのM・デムーロの弟。すでに来日してからポンポンと勝ち星を積み重ねて、いわゆる頼りになる騎手として評価度がうなぎ上り。アユサンにとっては彼が偶然にもあいていたことが、ひとつのドラマを作ったことに繋がったようでした。

 

 そして桜花賞。雨はあがったもののどんよりとした雲が垂れ込めて、ダートは不良。芝は、やや重馬場でスタート。9レースの忘れな草賞が始まる頃には良馬場に回復。それでも泥がついて戻ってくるジョッキーや馬を見て、これは良馬場発表でも水分を含んで重い馬場という評価を私は判断しました。

1 2 3

 

 スタートと同時にクラウンロゼとサマリーズが内から飛び出し、そしてアユサンも互角にスタートを決めました。

 

 内からサマリーズが主導権。クラウンロゼ、ウインプリメーラ、サウンドリアーナが先行勢を形勢。そのとき外からクロフネサプライズがジーニマジックを引き連れるようにして進出。中団にアユサンとローブティサージュ。そしてコレクターアイテム、メイショウマンボ。後方にはトーセンソレイユ、レッドオーヴァル、プリンセスジャック、サンブルエミューズ。

 

 前半3ハロンが34秒8、ここ2年と同じようなペース。ただ馬場コンディションを顧慮すると緩みのない流れとなりました。半マイルが46秒9で、1000m通過が58秒9と落ちません。

 

 4コーナーを前にしてクロフネサプライズが、我慢しきれずに先頭に立ち、それを見て後続も迫ってきます。ウンプリメーラ、その外からジーニマジック。内にクラウンロゼとコレクターアイテム。ローブティサージュとサウンドリアーナの直後に控えるアユサン。

4 5 6

 

 直線クロフネサプライズが楽に先頭に立っているように見えましたが、その外からサウンドリアーナを捉えて一気に迫って来たのがアユサンでした。容赦なくクロフネサプライズを抜き去って先頭に立ったところへ、猛然と大外から追い込んできたのがレッドオーヴァル。そしてアユサンに並びかけと一気に先頭に立ったのですが、アユサンも末脚では一流のものがあり、再び勝負強さで差し返します。デムーロ兄弟騎手の激しい叩き合い。最後の力を振り絞るかのようにアユサンがゴールへ真っ先に飛び込みました。左手を高々と掲げるアユサンのC・デムーロ騎手。隣りのレッドオーヴァルの兄M・デムーロ騎手を振り向き、左手で兄の手を取って握手。そしてサッカー場で見事シュートを決めて、喜びの大きなパフォーマンスを繰り返す選手に負けないくらい大きな歓喜の雄たけびを上げていました。

 

 桜花賞というここ一番のクラシックで結実したアユサン・ストーリー。まず、アユサン、そして手塚調教師、その関係者のみなさん。そして最高の騎乗でピンチヒッターの大役を果たしたC・デムーロ騎手。さらに残念ながら騎乗できなかった丸山元気騎手。みなさんに祝杯を上げたいものです。

筋書きのない競馬というドラマは実に素晴らしく、それが私たちのロマンなのでしょうね。

7 8 9

 

10 11