
単勝1.3倍、圧倒的な支持を受けた
アーモンドアイが、よもやの2着敗退。歴史上、最強の女傑とも言われるアーモンドアイ。直前のGI
ヴィクトリアマイルで独壇場の強さで圧倒。同じ東京のマイル戦。牡馬が相手とはいえ昨
秋の天皇賞でも圧倒的な破壊力で
ワンサイド劇。
「安田記念」のスポーツ紙には「不動」の見出しが踊ります。
そんな強烈な強さで
アピールして来たアーモンドアイ。GI7勝(海外1勝)、記録の8勝目に順風満帆のように見えました。それもそのはずで直前の
ヴィクトリアマイルでは4馬身差。圧倒的な強さで後続を一蹴。それも余力十分の独走劇。時計が自己ベストの1分30秒6で、ラスト3Fが32秒9。それで余裕綽綽だったアーモンドアイ。「死角なし」と。見出しが躍るのも納得。まさにGI連勝は断然の様相となっていました。
ところが、そんな不動のアーモンドアイも1頭の馬であり生き物なのです。私は
有馬記念以来の登板だった
ヴィクトリアマイルが5ヶ月ぶりの実戦。断トツの1番人気のアーモンドアイは、たとえ休養明けでも負けることが許されない軋轢、プレッシャーが
厩舎サイドにはあったはずです。
それゆえ、
ヴィクトリアマイルは堂々後続に4馬身差の独走。役者の違い、圧倒的な強さを見せました。
ところが、その
ヴィクトリアマイルから、僅か中2週で再びGIの
安田記念。この臨戦過程でレースに臨むことは、彼女にとって初めての経験。それも1分30秒6の高速決着の直後。再び
ヴィクトリアマイル、いやそれ以上の状態で臨めることができるだろうか。私は予想のコラムでも過信は禁物だ、と書きました。

その日、
安田記念当日にパドックで見たアーモンドアイ。なにか
ヴィクトリアマイルの時よりもおとなしく感じました。1度実戦を使われて落ち着きが出たと、パドック解説氏は語りますが、私の目には逆に疲れがあるのかも知れない、と、そうネガティブに感じていました。
スタートで1馬身ダッシュがつかなかったこともあり、後方に置かれるアーモンドアイ。ただ、すぐ前にはライバルのインディチャンプがいたことから、ルメール
騎手はその位置で我慢。
先手を取ったダノン
スマッシュが、稍重の馬場を前半の3ハロンを34秒2、半マイル45秒7。緩みないペースで進みます。そして5ハロン通過が57秒3。内々の4番手をダノン
プレミアムが追走。混み合った好位をアドマイヤマーズと
ダノンキングリー。
バラけた中団の外でグランアレグリア(3番人気)。その背後の内からインディチャンプ。直後にアーモンドアイ。ペル
シアンナイト、ノームコア、そしてケイアイノーテックが後方。

そして4コーナーを先頭でまわるダノン
スマッシュ。ミスターメロディが2番手。その内にダノン
プレミアム。アドマイヤマーズ、
ダノンキングリーの内からインディチャンプ。中団からじわじわ浮上して来たグランアレグリア。
池添騎手が手綱を持ったままで先行馬に並びかけて来ました。

後方から外に進路を取ろうとするアーモンドアイ。ラスト4ハロンから仕掛けてグランアレグリアがラストスパート。坂下あたりで先頭に立つと、ここが勝負どころとばかり、ラスト33秒7で後続を引き離します。

内から前の馬を捉えてインディチャンプ。そのとき外から猛然とアーモンドアイ。先頭はセーフティーリードを取ったグランアレグリア。ゴール前で内のインディチャンプを捉えたアーモンドアイ。一番外から追い込んで来たノームコアがアーモンドアイに馬体を並べて4着。ダノン
プレミアムは馬場に脚を取られて失速。13着に凡退。

結局、グランアレグリアから遅れてアーモンドアイは2馬身半差の2着に敗退。単勝、馬単は露と消えました。
ヴィクトリアマイルの反動なのか、ゴール前はノームコアの末脚が完全に勝っていたことが印象的でした。

飛んで来た泥の塊が右目に激突したということで、腫れあがり、出血する厳しい状態の中で、嬉しい勝利者インタビューのお立ち台。恥ずかしそうにコメントをする
池添騎手。まさに名誉の負傷となりました。
