週末になると必ず雨。中山競馬場、及び阪神競馬場は毎週のように道悪競馬。ことに中山競馬場の馬場コンディションは、近年、見られないくらいの悪状況。しかも、今年は冬の寒さが3月に入っても厳しく、芝の発育が相当遅れているのです。案の定、4コーナーのインサイド寄りは黒い土がむき出しになっています。今週末も天気予報は雨模様。3月31日の来週からBコースに替わるのですが、雨で傷んだ芝は、まず回復までは絶望的。最終日のクラシック皐月賞はスピードタイプ、速い時計を持っている馬よりも、パワー型が大きく台頭してきそうです。
そういった中で行われた阪神の皐月賞トライアル「若葉S」は、話題のワールドエースが後方から、1頭だけ外に出すとケタ違いの伸び脚で一気に抜け出し優勝。ゴールでは後続に2馬身差の圧倒的なものでした。間違いなく皐月賞の最有力候補でしょう。
そして大きく注目された皐月賞トライアル「スプリングS」は、いわゆる3強が激突。その1頭がGI朝日杯FSを制して2歳チャンプに輝いた3戦無敗のアルフレード。さらにはハイレベルだった札幌2歳Sで優勝したグランデッツァ。そして東スポ杯をキャリア1戦で独走したディープブリランテ。
当然ながらこの3頭に熱い視線が注がれました。ただし、アルフレードは朝日杯FS以来の実戦で、初めての距離、そして初体験の道悪競馬という大きな課題がありました。それでも2番人気に推されたあたり、さすがにGI馬という存在感を感じさせます。
一方で、グランデッツァも暮れのラジオNIKKEI杯2歳S以来の実戦。初めての中山競馬という宿題はありましたが、キッチリと仕上げて出すと言っていた平田調教師の思惑通りの仕上がりで490K。前走比マイナス6Kの好仕上がり。
そして、1番人気に推されたディープブリランテ。前走の共同通信杯は約3ヶ月ぶりの実戦。今回はひと叩きして、この馬の脚質にピッタリの中山芝1800m。不良馬場の東スポ杯2歳Sで独走を演じたことからも、当然かかる期待は大きかったわけで、馬体は共同通信杯より8K絞れて502K。デビューから騎乗してきた岩田騎手が、今回はどんな戦法で臨んでくるのかファンの期待は大きかったのです。
そして、スプリングSは重馬場でスタート。追い込み辛い馬場ということを意識してか、コウユーサムライ、ビービージャパン、ゼロスなどが果敢に先行。これをピッタリとマークした形でディープブリランテ。それを前に見る態勢で追走がグランデッツァ。またその直後にアルフレード。お互いがお互いを牽制するような位置取りでしたが、早めに動いたのが岩田ディープブリランテ。抜群の手応えから4角をまわって一気に先頭。後続を突き放す脚力を見せつけて、圧勝か、とも思われましたが、直線外に出したグランデッツァの伸び脚も力強く、この2頭の争いに絞られました。結局、ゴール前でディープブリランテを捉えたグランデッツァが抜け出して優勝。3着のロジメジャーが3馬身半差も離されたことからも上位2頭は能力が突出していたということだと思います。
一方で、12着に大敗したアルフレード。直線はズルズル後退。道悪、久々、距離と多くの課題を残しました。いずれにしても、劇的な馬場コンディション回復は皐月賞で望めず、厳しい状況に立たされた格好です。
スピード決着は望み薄の皐月賞で出揃った大将格!
事件的黒星の阪神大賞典はすべてオルフェーヴルが悪いのか!?
競馬に絶対はないというものの阪神大賞典で単勝オッズ1・1倍という断然の支持を背負ったオルフェーヴルの2着には我が目を疑いました。
それは突然でした。我慢しきれないという感じで、押し出されるようにして先頭に立ちかけたオルフェーヴルが、途中から先頭に立ったナムラクレセントと内外の間を大きく開けるようにして外目を併走。
そして、信じられない事態に陥ったのは、2週目3コーナー付近。なんとオルフェーヴルが外側に逸走。池添騎手が慌てて急ブレーキ。
「ああ、故障発生か?!」と、場内がどよめいたのも無理もありません。先頭から最後方まで後退。レースを離脱したようにも映り、悲痛な空気が流れ、ファンはオルフェーヴルの姿を追います。
ところが、そこから池添騎手が気合を入れて再び戦列に加わろうと、必至の形相で前を追いかけました。4コーナー外から前を射程圏に入れてグングン加速し、先頭を行くギュスターヴクライ、ナムラクレセントを外から肉迫。とはいえ、アクシデントがあっては優勝などまず無理。それでも半馬身差まで詰め寄ったところが、王者としての意地なのでしょうか。
ギュスターヴクライに半馬身差まで詰め寄ったところがゴールでした。3着のナムラクレセントと2馬身半差。さすがオルフェーヴルという声がある一方で、投じられた多くのオルフェーヴルの単勝、馬単、3連単は紙くず。ごくごく普通に走っていれば間違いなく優勝していたことから、ファンにしてみればなんとも納得できない一戦。
池添寿調教師は「ポンと好スタートを切ったことから、前に壁を作り辛い状況になってしまった。それでも、折り合いはついたけど他馬が来たらハミを噛んでしまったね。3コーナーのところではもう気持ちが左にいっていた。今日は気性的な難しさを出してしまったね。矯正して天皇賞を目指したい」とコメント。
オルフェーヴルは3冠馬で、暮れの有馬記念を制して、文字通り日本一に登り詰めた馬です。昨年のスプリングSから無敵の6連勝。キャリアも十分。それほどの馬がレース中に逃避。騎乗法にミスはなかったのか、あるいは調整法に落ち度はなかったのか、オルフェーヴル自身がコメントできたら、何を語るか是非とも聞きたいものです。
競馬に絶対はないのですが、レース中に異常な事態が発生したら、関係者はファンを納得させる説明の責務はあると考えます。