注目の安田記念は、昨年の日本ダービーを思い出すかのように、ウオッカが衝撃的な破壊力で後続を圧倒! 2着のアルマダ以下をアッサリ3馬身半差も突き放しました。あのダービーを彷彿させるような圧勝劇。ともすると、今にも消えそうな、強者ウオッカの存在感を、改めて認識させた一戦でした。
ウオッカはダービーで最高のパフォーマンスを演じたあと、なんと、まさかの宝塚記念出走。何故? 何の為に? ダービーの疲れは? 最大目標が凱旋門賞だよね‥。多くの疑問や不安を残しながら宝塚記念は、それでも、やはり1番人気。結果は直線もがき苦しみ8着と大敗。このあと同期の牝馬相手の秋華賞が3着。有馬記念ではとうとう二ケタの11着と大惨敗。年が明けた京都記念が6着。完全に糸が切れた状態。
ドバイ海外遠征(4着)から戻り、帰国初戦のヴィクトリアマイルが2着。とはいえ3着ブルーメンブラッドと鼻差の際どい競馬。このままでは牡馬相手の安田記念は厳しいかも知れない、と思いつつ背水の陣で臨んだウオッカ陣営。スーパーホーネットと1番人気をピッタリと分ける形。
実は、ウオッカの勝因のひとつに、今回初めてコンビを組んだ岩田騎手があります。四位→武豊騎手を経て、バトンは岩田騎手に渡されました。
「依頼されてからウオッカのレースを全部見直しました。一瞬、もの凄い脚を使うので、それを生かすにはどうしたらいいのか」と岩田騎手。
好スタートを切ったウオッカ。懸命にしごくコンゴウリキシオー。その内から手綱を持ったままで並びかけて、先頭に立ちかけんばかりの勢い。それでも、予測通りコンゴウリキシオーが主導権を取り、2番手が外からスーとアルマタ。なんとウオッカがインの3番手。これまでと一変した正攻法作戦なのか、折り合いが付いていないのか!
「内枠だったし、前に行ってなにもしないで我慢させ、勝負どころで凄い脚を使わせよう、と考えて乗りました。その通りでしたね。仕掛けてから加速も凄かったです」と、してやったりの岩田騎手。う~む、貴方は天才? それとも神様?
レース後、スタンドのファンを前にした特設ステージで「昨年秋のジャパンCもアドマイアヤムーンに乗り、インから早目の仕掛けでしたね。このへんは東京コースの特性を考えての騎乗ですか?」と、私が岩田騎手に問うと、
「それは企業秘密です!」にやりと不敵の笑み。
ともあれ、岩田式ウオッカ再生術。まずは大成功の巻きでした。次回も岩田騎手かどうかはまだ微妙ですが、秋は毎日王冠→天皇賞→ジャパンCのローテーションとか。岩田騎手はアドマイヤジュピタという天皇賞馬が仁王立ち。一流の騎手として、嬉しい苦悩が始まりました。
◎アルマダ熱烈応援だったのですが‥
私が狙ったのは香港アルマダ。馬場状態、枠順、そして成績から総合的に判断して、◎の結論を出しました。7歳馬ながら14戦9勝2着3回。着外の1回が4着で、もう1つが、1年ぶりの実戦でしかも大きな不利があってのもの。マイル戦が7戦4勝2着3回。連対パーフェクト。国際GI香港カップ1番人気。凄い馬なのです。前走のGIチャンピオンズマイルが、グッドババと1馬身差の2着。終始グッドババにマークされる厳しい展開でこの差。能力的な差はほとんどない、と判断。チャンピオンズマイルの時計は、一昨年、安田記念優勝の香港馬ブリッシュラックが、チャンピオンズマイルで計時した時計と同じだったことでも◎予想の後押し。
更に、コンゴウリキシオーの単騎逃げで、グッドババよりも前で対応できる展開上の有利さは大きいと見たのです。結果的にウオッカの予想以上の強い勝ち方に遭遇して2着でしたが、見方としては正解だったように思います。
レース後、タレントの木下優樹菜さん。トロンボーンでファンファーレに参加。うまくいってホッとしたのか歓喜の涙。特設ステージではいっぱいの笑顔で、ファンからやんやの喝采を受けていました。