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クラシックはこれで決まり!との声

 ウオッー、驚愕的強さ

 いやあ、驚きました。何がって、そりゃチューリップ賞ですよ。そう先週の桜花賞トライアル。強い強いとはわかっていたもののウオッカダイワスカーレットで、後続に6馬身差。GⅠ阪神JF4着のローブデコルテが武豊騎手で臨んだにもかかわらず、はるか離された5着。何もこれはローブデコルテが走らなかったわけではなくて、ウオッカとダイワスカーレットがたまげるような強さ、震撼させる強さ、驚愕的な強さ、まあ、形容しきれないくらいの強さだったというわけ。
 なんと言っても凄かったのは時計。2頭の壮絶な叩き合いで、勝ちタイムが1分33秒7にビックリ。昨年の優勝馬アドマイヤキッスが1分36秒5で、あのスイープトウショウが1分35秒5。比較にならないくらいの速さ。しかも、驚いたことに、ラスト3Fが共に33秒台。ウオッカにいたっては33秒5の神ワザ的破壊力。
 ちなみに、同じ阪神の初日に行われた重賞、アーリントンCはトーセンキャプテンと、ローレルゲレイロでゴール前の激しい死闘劇。トウショウが首差勝って、皐月賞の有力候補にのし上がったのですが、その時計が1分33秒9の優秀さ。とはいえ、チューリップ賞の2頭には見劣りました。それも、トーセンキャプテンのラスト3Fが34秒7と、1秒以上も遅いのです。チューリップ賞の2頭がアーリントンCに出ていれば、ちぎっていた計算になります。
 今年の3歳牝馬戦線には、阪神JFでウオッカと首差渡り合ったアストンマーチャンという凄い牝馬がいます。当時の勝ちタイムが1分33秒1というビックリ時計。
 新阪神コースだからこれだけの時計が出ているものなのか、わからない面もありますが、いずれにしても、阪神で行われる桜花賞。クラシックは3頭で決まりだ、という声も納得させられますね~。

 さあ、皐月賞に王手

 アドマイヤオーラがほとんどの人が予測していた通り(1・7倍)弥生賞を優勝。ゴール前でココナッツパンチの急襲にあいましたが、武豊騎手によると先頭に立ってふっと気を抜いたものだとか。
 それにしても、アドマイヤオーラは前からブログでも、クラッシックとして取り上げていましたが、文句なしに今年のクラシック大将格です。弥生賞の前までの3戦はスローペース。それゆえラスト33秒台の強烈な破壊力を見せつけてきたのですが、流れが一転して変わると、資質の高い馬でも力を出し切れず、敗れ去っていくケースがままあること。弥生賞で注目していたタスカータソルテ(7着)もそのいい例でしょう。4角では大外にはじき飛ばされてしまいました。そういった経験のない流れでも勝ち上がったあたりに、アドマイヤオーラの素晴らしさがわかります。
 勝ち時計も凄いです。2分0秒5です。昨年のアドマイヤムーンが2分1秒5ですからジャスト1秒も速いのです。大変な馬です。
 これで距離の2000㍍でも問題ないことを実証。京都、中京、そして今回の中山の急坂を克服。いよいよ皐月賞では無敗のフサイチホウオーの対決が。いやあ、今からドキドキします。
 でも、私は穴党ですから、対アドマイヤオーラ、フサイチホウオーのウイークポイントをついて、抜け出てくるような馬を探してみます。強さの影に欠点も発見しましたから、楽しみにしていて下さい。

後藤騎手の涙…

 3月4日、日曜日。
070306  最終レースが終わり、4時20分発走の阪神12レースをみてから、検量室に行き、誰もいなくなったジョッキーの控え室前に階段上がると、そこに、ひょっこりと後藤騎手がやって来ました。
「お疲れさま、惜しかったね~(12R3着)」と私。
「はい、もうちょっとでした」と後藤騎手。
「そうそう、先週の中山記念、おめでとう。あのインタビューでの涙は、こっちまで胸が熱くなっちゃったよ」
「そうですか。わかっちゃいましたか…」と、頭を掻きながらはにかむ後藤騎手。
 中山記念で後藤騎手はローエングリンで見事に逃げ切りってみせた。ローエングリンは伊藤正徳きゅう舎。後藤騎手がデビューから在籍したきゅう舎でした。競馬とは無縁の世界から、憧れていた騎手としてデビュー。周囲はほとんど知らない人ばかり。それでも持ち前の明るさで、がむしゃらに頑張った後藤騎手。唯一の支えは、親代わりとなる調教師のはずでしたが、若き彼は強烈な冷水を浴びせられることになったのです。
「うちの馬で勝てるような時は、お前は乗せないからな!」
 自分のきゅう舎の馬で1勝でも多く勝ちたい。できれば重賞を、クラシックを、小さな胸は、大きな夢でいっぱいに膨らんでいたときに、この一言は、彼を奈落の底に突き落としたのです。
「悔しいです。アベコーさん、ボクは何を夢みて騎手を続ければいいのですか?」と、聞かれて、何も言えなかった私がそこにいました。
 そして、いつしか彼はフリー宣言。

「でも、あのときがあったから今の自分がある」と思います。
「そうだね、いい経験したよね。大きくなったなあーと、先生は一番喜んでいるのかも知れないな…」
 中山記念のローエングリンの優勝をきっかけに、今年も後藤騎手は大きく飛躍するはずです。応援しましょう。