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チャンスありと思った騎手心理が招いた関屋記念!!

「新潟外回りだから行きたい馬を行かして、じっくりと乗ればチャンスが出て来る」ほとんどの騎手はそう考えて騎乗していたはずです。ただ1頭を除いては・・・。 その1頭がマルターズアポジーでした。いつも緩みないペースで逃げるタイプ。今回の関屋記念も間違いなく逃げの作戦。

これで、はたと考えたのが中京記念を勝ち、目下破竹の3連勝中のウインガニオン。いつものように逃げるということは、マルターズアポジーとガチンコ勝負。「それは避けたい。ならばマルターズアポジーを行けるだけ行かして、こちらは2番手から直線で捉まえればいいんだ。直線が長いので後続の脚に注意して仕掛けのタイミングを計ろう」津村騎手はそう考えていたはずです。

同じことは2、3番手に付けたマイネルハニーにも同様のことが言えました。昨年の関屋記念を2、3番手の正攻法で2着のダノンリバティもしかり。

つまり逃げるマルターズアポジーは無視して、それぞれ自分たちのペースでレースを進めよう。なれば結果はおのずとついて来るはずだ。そう考えていたように思われます。

むろん、後方で待機の1番人気メートルダール。そして2番人気ロードクエストも新潟2歳Sを制した直線の外回りに全精力を傾けます。同じようにブラックムーンもラスト直線勝負で待機策。

そなると、逃げるマルターズアポジーにとっては、新潟外回りの1600mが久しぶりだったとはいえ、むしろ他が見逃してくれるぶん有利な材料だったのです。

マルターズアポジーの武士沢騎手は、開口一番「うまくいきました」とコメント。まさに、それはマルターズアポジーのマルターズアポジーによるワンマンショーだったのです。

躊躇なく主導権を取りに先頭に立つと、外から進出したウインガニオンの津村騎手が即座に抑えます。これにマルターズアポジーが呼応。オールザゴー、そしてダノンリバティといった後続各馬の騎手も手綱を絞ります。ヤングマンパワーも好位でシッカリと折り合いに専念。

中団の後ろくらいにロードクエスト。その後ろのインにダノンプラチナ。同じくらいの位置をメートルダールとブラックムーン。最後方追走をトーセンデュークが追走。

前半の半マイルが46秒6。そして1000m通過が57秒9と、緩みない流れです。こんなペースで2番手のウインガニオンがシッカリと折り合って末脚を温存。3番手にマイネルハニー。その直後にダノンリバティ。ヤングマンパワーも好位置で展開。

さて、大きな水を開けて4コーナーを離した先頭でまわるマルターズアポジー。2番手のウインガニオンとかなりの差です。マイネルハニーもいますが柴田大騎手の手が動いています。その内にはダノンリバティ。マイネルハニーの外からヤングマンパワー。最内をついてダノンプラチナ。11秒1-11秒0の高速の決着。大きくリードを取っていたマルターズアポジーを必死に追うウインガニオン。マイネルハニーは脱落。続くダノンリバティとヤングマンパワー。最内からダノンプラチナ。外から馬込みを縫うようにロードクエスト。

勝負あり!マルターズアポジーの逃げ切り勝ち。ラスト3ハロンが34秒3。ラスト1ハロンは12秒2を要したものの堂々たる逃走劇でした。1分32秒2は自己の持ちタイムを大きく更新。

ウインガニオンが2番手を死守する形で2着。ダノンリバティがクビ差3着。そこから半馬身差まで詰め寄ったヤングマンパワーが4着。

2番人気のロードクエストが6着。ラストは33秒3。そして1番人気のメートルダールが後方のまま12着。ブラックムーンも後方で見せ場なし。最後は流していました。

私はこういうケースもあるかな、と考えて勝ち馬には△印だったのですが、気がかりだった大阪杯、七夕賞の大敗は微塵も感じさせない上々の内容でした。 やはり、単騎逃げの馬は不気味な存在です。改めて再確認させられました。

真夏のハンデ戦!奥手の血が開花。ハナ差と言うドラマチック決着!!

 戸崎・サンマルティン(2番人気)は、好位で展開する1番人気のストロングタイタンを警戒して、その背後で徹底的にマークしていました。

大外枠から一気に主導権を取ったバンドワゴン。バンドワゴンの和田は、昨年クランモンタナに騎乗して11番人気ながら2番手から押し切って優勝。今年もクランモンタナは参戦して来たものの主導権を取るようなスピードはないと判断したのかも知れません。それでバンドワゴンは主導権を取る作戦に出ました。

人気が集中したストロングタイタン。前走のマレーシアCをコースレコードで優勝。3番手からクビ差競り勝ったものでしたが、今回の小倉記念も川田騎手で同じような作戦。

ヴォージュが2番手で、その内にはタツゴウゲキ。このタツゴウゲキは騎乗予定のデムーロ騎手が落馬で、急遽、ピンチヒッターに立ったのが秋山騎手でした。

そして、戸崎サンマルティンは中団の外。インにはスピリッツミノル。その外にはフェルメッツア。そして後方はベルーフが待機。

前半の半マイルが46秒7、1000m通過は58秒3。凄い高速馬場で、ハイペースではないものの緩みない流れ。

おそらく戸崎騎手の頭の中には、ストロングタイタンが4角先頭を狙って出て来ると感じていたのでしょう。それを踏まえてサンマルティンは3角過ぎにゴーサイン。スルスルと4コーナーでストロングタイタンの外に馬体を併せに出ました。

バンドワゴンは早くもギブアップ。2番手からヴォージュが先頭に立ちかけましたが、ストロングタイタンを置き去りにしたサンマルティンが、これを容赦なく捉まえて直線先頭。このままゴールに向け真一文字か、と思われましたが、好位でじっと我慢していたタツゴウゲキが、開いた内を通りラストスパート。秋山騎手のステッキに応えて内からサンマルティンに並んで行きます。

外にサンマルティン、内はタツゴウゲキ。激しい叩き合いで2頭並んだままゴールイン。結果、ハナ差だけタツゴウゲキが先に出ていました。

3馬身開いた3着にはベルーフの追い込みをクビ差振り切ったフェルメッツアがいました。

昨年の秋は500万クラスでウロウロしていた5歳タツゴウゲキ。52kの軽ハンデに恵まれたとはいえ、馬体を併せてからの勝負強さはたいしたものです。初重賞制覇となりました。

父がマーベラスサンデー。奥手の代表格。血は争えないということでしょうか。