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ああ、驚愕の6着!ジェンティルドンナに何が起きたのか!!

  競馬には絶対はない、というけれど、まさかまさかの出来事でした。「京都記念」は日本が誇る女傑ジェンティルドンナがジャパンC以来に登場。UAEのドバイ遠征前の一戦とはいえ牝馬3冠にジャパンC2連覇。オルフェーヴルを破った馬でもあり、別定の56Kでは負けられない一戦でもありました。

 しかも、当面のライバルと目された唯一のGI馬、トーセンラーも休養明けで、道悪馬場が過去2戦とも凡退。加えて強力な逃げ馬が不在、後方から直線勝負の脚質を考えると、明らかに展開もトーセンラーよりジェンティルドンナが有利だったのです。

 当初、私はトレイルブレイザーの単騎逃げを予測していました。一昨年の京都記念が先行策からダークシャドウ、トーセンラー以下を圧倒。昨年の新潟記念、京都大賞典は果敢に先行して見せ場を作っていたのです。今回は得意としている時計を要する馬場、しかも1番枠。明らかに主導権を取りに行くはずだと、考えたのですが実際には和田騎手の読みは違っていました。

 ジェンティルドンナの福永騎手は強力な逃げ馬がいないということもあって、後方からの競馬は避けようと思っていたはずです。前を射程圏にいつでも抜け出せる体勢で、後方に控えるトーセンラー対策を一番に考えていたはずです。

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 そんな状況下の中で、京都記念はスタートが切られました。一番いいスタートを見せたのがジェンティルドンナの赤い帽子。内からトレイルブレイザー、外からアンコイルドが進出。そして、その外から横山典騎手のデスペラードが、仕掛けて先頭を狙いに行きます。1コーナー手前では早々とデスペラードが先頭。追い込みに定評があったデスペラード。横山典騎手の一か八かの大作戦。後続を引き離しにかかります。2番手のアンコイルドは巻き込まれることを嫌って追いかけません。そのあとにジェンティルドンナ。ところが福永騎手は手綱を懸命に引っ張り、行く気満々のジェンティルドンナを御そうと懸命。その後ろのインにトレイルブレイザー、外にラキシスでマイネオーチャードもいます。

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 その後の中団の外にトーセンラー。後方にトゥザグローリーでポツンと最後方がアクションスター。

 半マイル通過が51秒2。スローで離して逃げる形のデスペラード。2番手のアンコイルド。折り合いを欠くような感じで少し離れた3番手にジェンティルドンナ。ラキシスを前に見てトーセラー。この辺は一団となった塊。

 そして3コーナーを回ると先頭から馬群がギューッと凝縮。一団の形で4コーナーに向かいます。3角過ぎからスパートしたトゥザグローリーのベリー騎手が一気に仕掛けて直線に入ったところで先頭。ジェンティルドンナも続きます。

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 一旦、2、3番手に後退したデスペラードが、ここから反撃態勢。それに続くアンコイルド。直線外に出したトーセンラーも末脚を伸ばしてきます。ここで一旦2番手に上がったジェンティルドンナの脚色がモタつき、その間を再加速に転じたデスペラードが内から猛然とラストスパート。外をグングンとトーセラー。トゥザグローリーは後退。ジェンティルドンナも失速気味。最内をついてアンコイルドがしぶとく末脚を伸ばしてきます。好位置で展開したラキシスもゴール前で肉薄したものの3、4着争い。

 劇的な横山典騎手のデスペラードが二段仕掛けの作戦で、トーセンラーを振り切り優勝。ゴールをすぎてニヤリと横山典スマイル。

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 翌々日の東京競馬場で横山典騎手に直接インタビュー。

 「驚きましたよ。まさか逃げるとは・・」

 「うん、あれは前から逃げたらどうなのかな、と考えていたわけ。その試す機会が京都記念だったんだけど、うまくいきました。他の馬のミスにも助けられたね」

 続けて「馬の状態も良かったし、勝つときはこういうもんだよね。でも、強かったしいい競馬だったと思う」

 「それじゃ、デスペラードでまたこういう逃げる競馬をするの?」

 「まあ、それは流れなど考えてだね。今回こういう競馬も出来るということがわかったから、それは収穫があったと思う」と、ノリちゃんスマイルで引き上げて行きました。

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逆に6着と思わぬ敗退だったジェンティルドンナ。ドバイ遠征前のひと叩きとはいえ、初めての掲示板にも載れない凡走。休養明け、プラス8Kの馬体重、道悪馬場。そういった条件があったとはいえ、デスペラードが14K増の体重。マイルCS以来のトーセンラーが14K増。アンコイルドも12K増で、ラキシスも10K増。それらに先着を許す大失態。単勝を筆頭に彼女に投じられたファンの思いの莫大な馬券の額。あの男勝りのジェンティルドンナは戻ってくるのでしょうか?

クラシックに向かう1.5倍のバンドワゴン!ステッキ乱れ打ち騎乗法にY騎手も疑問!!

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 ハーツクライにドリームパスポート、メイショウサムソンやレインボーペガサス。そしてトーセンラーにあのオルフェーヴル。ワールドエースなど数々の逸材を送り出した注目の「きさらぎ賞」。

 今年は新馬戦を独走し、続くエリカ賞も圧倒的強さで5馬身。バンドワゴンがダントツの1.5倍という人気。対するトーセンスターダムはデビュー戦を首差、京都2歳Sで頭差と接戦をものにして、勝負強さを売り物にこちらも2連勝中。9頭立てということもあって、マッチレース的色合いの強い一戦でした。

 スタートで飛び出したのがオールステイ。これを内からセセリが追います。スタートが鈍かったバンドワゴンは3、4番手で、和田騎手が内に入れることを嫌ったのか外に出します。するとスルスルと前に出て、2ハロン目で先頭に立ちます。オールステイは控えて2番手。少し離れてセセリが3番手で、ピークトラムと直後にエイシンエルヴィン。その外にはトーセンスターダムが控えて、出遅れたサトノルパンが最後方から1頭抜いて8番手。

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 前半の3ハロンが35秒8。バンドワゴンが馬まかせで一気に後続を離して逃走劇。3角では後続に3、4馬身くらいのリード。2番手が変わらずオールステイ。セセリ、ピークトラムが続き、内にエイシンエルヴィン、外で脚を温存する形でトーセンスターダム。その後にブラックカイトで、少し離れてサトノルパン。また離されて最後方をダンツキャノンが追走。

 1000m通過が59秒9で、パワーを要する稍重馬場。時計差はおそらく1秒くらいと考えると、明らかに緩みない流れです。

 そして4角をまわって悠々とバンドワゴンが先頭。ここから再加速とばかりにアクセルを踏んだ和田騎手。内回りの4角の柵あたりからバシッ!とステッキが入ります。それは結局ゴール前まで続くのです。バシッ!バシッ!バシッ・・。35、36発とステッキが振り下ろされました。

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 直線中ほどから外から迫ってきたのが武豊騎手のトーセンスターダム。2番手に進出してバンドワゴンを追います。また直線の入り口で外に出せなかったエイシンエルヴィンが進路を内にとって、これも確かな末脚で先に2番手に上がったトーセンスターダムを追います。

 3馬身、2馬身、1馬身と迫られたバンドワゴン。和田騎手の振り下ろされる執拗なステッキで、なんとかゴールに逃げ込まんと懸命の粘り腰。迫るトーセンスターダム、その内からエイシンエルヴィン。

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 結局、内にバンドワゴン、外のトーセンスターダムが鼻面を並べてゴールイン。頭差だけトーセンスターダムの末脚が優っていました。大健闘だったのがエイシンエルヴィン。直線で仕方なく馬場のボコボコした内をついたにもかかわらず、馬場の比較的しっかりしている直線外を走ったトーセンスターダムと、およそ1馬身差は勝ち馬に匹敵する内容だったと思われます。

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 4番手が3着から3馬身離れてピークトラム。出遅れたサトノルパンは6着。道悪馬場の内々。良馬場向きのタイプのようです。

 それにしても、異常とも思える和田騎手のステッキ連発。英国であれば騎乗停止ものです。

 代替開催となった東京競馬の月曜日。最終レースが終了して、メインの白嶺Sをレーザーバレットで優勝した横山典騎手と遭遇。

 ジョッキーの騎乗談になり「外国人のB騎手はひどいよ。もっと達者だと思ったんだけどなあ……」と、首を捻ります。

 そして、きさらぎ賞のバンドワゴンの和田騎手について「なんで、あんなにステッキを入れるんだろうな。オレにはまったくわからない。馬にもよくないしね。うん、絶対よくないな」と、がっかりした様子。

 横山典騎手流の哲学を持ち、現役のトップクラスで活躍する日本を代表する騎手。それゆえ一言一句に重みがあるのです。