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前哨戦はGスキーが滑るように突き抜けたが本番も通じるのか?!

 今年最初のGI「フェブラリーS」の前哨戦ともいうべき「根岸S」が行われました。ただし、今回は1番人気のブライトラインが前走のジャパンCダートで4着。2番人気のドリームバレンチノはダート路線に転向したばかりで、JBCスプリント2着があるもののJRAのダートが未経験。そんな状況下で、果たして今回の根岸Sの成績を額面通り受け入れていいものか、という思いが戦前から私にはありました。

 つまり、ジャパンCダートを勝ち上がったベルシャザール、2着ワンダーアキュート、3着ホッコータルマエ、5着ニホピロアワーズといったダート界を引っ張ってきた強者が、今回の根岸Sには顔を見せていないのです。

 それゆえ、私的には今回の根岸Sが上記の強者に対する挑戦者の選出レースだという位置づけをしていたのです。

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 スタートを抜群のダッシュ力で飛び出したのがスリーボストン。これを内からアドマイヤロイヤル、エーシントップ。そしてノーザンリバー、ティアップワイルド、ドリームバレンチノなどの短距離戦に良績がある馬が追いかけます。

向う正面で先頭がスリーボストン、2番手にエーシントップ。ダノンカモンとドリームバレンチノが3番手。ノーザンリバーとブライトライン、アドマイヤサガスが好位置。アドマイヤロイヤルが中団の内々。そしてスノードラゴン、ゴールスキーが並んで中団から後方。最後方にはいつものようにシルクフォーチュン。

 3角でドリームバレンチノが2番手に進出すると、その外にはブライトラインがピッタリ。エーシントップが直後で、その後ろにノーザンリバーが絶好のポジション。中団の外にゴールスキー。後方にはスノードラゴンで最後方は変わらずシルクフォーチュン。

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 そして直線はドリームバレンチノが先頭に立ちそうな勢い。3番手の内にブライトライン。そしてノーザンリバーが外に持ち出します。それを追ってアドマイヤサガス。その外にゴールスキーが急接近。スノードラゴンは馬込みの直後。最後方から大外に出したシルクフォーチュンが追撃態勢。

 直線中程でドリームバレンチノを捉えたブライトラインを目がけて、ノーザンリバーが並びかけようとしています。その外のアドマイヤロイヤルが窮屈で厳しい形。外のゴールスキーの伸び脚が際立っていました。それは一気に並びかけると、勢いの違いは歴然。あっという間に抜けてゴールに飛び込みました。

 ゴール寸前で大外から末脚を伸ばしたシルクフォーチュンが強襲。2番手を死守したノーザンリバーに首差まで迫ったところがゴールでした。

 とはいえ、勝ち馬から10着のアドマイヤサガスまで0秒5差。まれにみる大接戦でした。

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 1分23秒4、レースのラスト3ハロンが36秒1。3年前のセイクリムズンが1分23秒0で、レースのラストが35秒7。一昨年のシルクフォーチュンは1分23秒5でラスト36秒1。昨年が、メイショウマシュウは1分23秒7、ラスト35秒7。これらを比較しても今年は特段ベラボウに優秀なタイムではなく、本番のフェブラリーSは根岸S以外からの台頭が考えられます。ただし、ゴールスキーはGIマイルCS3着馬。距離1600mの延長は歓迎材料なはず。

 関係者によれば「もともと爪が弱い馬だったので、芝は自分でセーブしながら走るけど、ダートは爪が気にならないらしいのでいい感じのようです」とのこと。フェブラリーSもGスキーが大ジャンプとなるでしょうか?!

積み上げて“1000勝”この人に歴史あり松山康久の感慨無量!!

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「勝つと言うことを意識してしまうと、馬に影響してしまうので、なるべく自然体でいることを心がけました」

 1月26日、中山競馬場。ウイナーズサークル前の壇上に、その日の主役、その人はいました。松山康久調教師でした。

 この日、7レースの条件戦で、後藤騎手を背にコウジョウがゴール前で差し切って優勝。コウジョウは松山厩舎所属。それは1000勝という記念すべき1勝でした。松山師は前日の若潮賞でカフェリュウジンが優勝。「999」勝目に到達。1000勝の大台に王手がかかっていました。

 1000勝到達はJRA史上14人目で、現役2人目となる偉業。開業が1976年3月で現在70歳。勇退が迫っていたことからも、1000勝達成はどうしても成し遂げたい気持ちだったことでしょう。

 松山師の父である松山吉三郎元調教師も現役時に1358勝の偉業を達成。息子である松山康氏の目標でもあったはずです。

 「まだまだ父の足元にも及びませんが、なんとか一つの目標が達成できたので、父も少しは喜んでくれていると思います。皆様、どうもありがとうございました」と、壇上で感慨無量に語る松山師。

 そこをニコニコしながら見て通る尾形充弘元調教師会長。「良かった、良かった。彼は内の系列(尾形厩舎)だからね」と、実に嬉しそうでした。

 JRA史上初となる親子2世代の1000勝達成。まさに歴史的記録でもありました。その歴史的勝利に貢献した後藤浩騎手。前日のカフェリュウジンで999勝。そしてコウジョウで1000勝と大活躍。

 「もしかしたら川田にもっていかれる(日曜・京都10レース 山科Sカフェシュプリーム2着)かも知れないので先に勝てて良かったです」と、後藤騎手ならではのコメントで、まわりの報道陣を笑いの渦に巻き込んでいました。

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 あのミスターシービーでクラシック3冠を制して、ウイナーズサークルで茨城県栗山牧場に初めてのダービー制覇をもたらした松山泰久師。同馬は福島デビュー(4着)ということも異色でした。

 父の松山吉三郎さんは、言わずと知れた厳しい方で、取材する私も厳しく叱られたことがありましたが、息子の康久師は性格的に温和で、ひとつひとつ丁寧に教えて頂いたことが思い出されます。

新潟市内の古町にある人生を語るママがいるパブ「S」のMさんは「こっちに来ると必ず1度はのぞいてくれる律儀な方」と、目を細めます。

積み上げてきた1000勝という軌跡。「これほどの数字になるとは思いませんでした。本当にオーナーの方の応援、そして支えてくれたスタッフ。本当にありがたいです」と松山康久師。

帰り際に私の手をぎゅっと両手で握ってくれて、師の心が伝わってくる温もりを感じてジーンときてしまいました。

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