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牡馬陣がだらしないのかホエールキャプチャが強いのか!?

 「アベコーさん、当たりましたか?」と、背後から聞いてきた松岡騎手。

 「うん、△◎だったけど・・・」

 「おお、そうですか!さすがですね。まさかホエールキャプチャとは僕も読めませんでしたよ。これは正直、無理だろうと考えていたものですから驚いています」と、首を捻る松岡騎手。

 東京新聞杯は降雪により中止となり1週遅れの実施となりました。

 しかも、出走馬をやり直して、新たに加わったのが逃げ馬サトノシュレン。これで流れが違ってくると、考えていたら当日はそのサトノシュレンが輸送熱で回避。リルダヴァルも輸送熱で回避。栗東トレセンから17時間も渋滞の中を揺られて東京に到着。一旦、東京に入り、また栗東に戻って、再び東京入り。おまけに雪で渋滞のノロノロ運転。関西馬にとってはかなり厳しい条件だったと思われます。それゆえ納得の回避。

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 とはいえ主導権を主張しそうなサトノシュレンが回避したことで、展開を読むことが難しくなりました。しかも、大雪という輸送上のトラブルで敏感な競走馬には大きな負担を強いられることになったのです。

 それでも、私の予想は何があってもエキストラエンド。京都金杯で初めてのマイル戦、出遅れて最後方に位置しながら、インから力強く抜け出して圧倒。過去10年で一番速い時計を計時したのです。これは安田記念を狙える馬だと確信。1週前の週刊大衆でも◎でイチオシしておいたので、ここは信念を曲げるわけには行かなかったのです。

 人気が分散している中にあって、1番人気がコディーノで、2番人気がショウナンマイティ。ともに安田記念を目指す有力馬です。

 主導権を取ったのがコスモセンサーで、一瞬、出負けしたレッドスパーダが内から追い上げて2番手で並びます。と、その外から内田博騎手のヴィルシーナが先頭を窺う勢い。その後ろには内からサクラゴスペルで、外にクラレント。また人気のコディーノが中団で、そこには真後ろに外側にホエールキャプチャがいて、そのインにエキストラエンド。スタートで遅れたサトノギャラントが後方2番手。ポツンと最後方にショウナンマイティ。

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 前半が34秒2で半マイルが46秒1。重馬場では緩みない展開です。4コーナーで後方にいたサトノギャラントやショウナンマイティも追いついてきて各馬一団の形。コスモセンサーを先頭に並びかけるレッドスパーダ。直後にサクラゴスペルとヴィルシーナ、そして凄い手応えでクラレント。私の注目馬エキストラエンドが馬込みの真後ろ。コディーノが直線で外に出します。

 と、直線で一番外に出したホエールキャプチャが真っ白な馬体を躍らせて、一気に押し寄せてきました。その中からコディーノも接近。一歩先に抜け出したクラレントの内から、進路を探していた緑の帽子のエキストラエンドがこじ開けるように肉薄。

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 まだ残っているグリーンの芝の上を、大きなアクションでホエールキャプチャが抜けます。激しい2着争いはクラレントを間にして、内からエキストラエンドが2着に飛び込みました。頭差遅れてクラレントが3着。コディーノは首差で4着。勝ち馬と1馬身差2着のエキストラエンドから10着のショウナンマイティまで0秒4差。古馬マイル戦は激しい戦いが続きそうです。

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 それにしても、休養明け、苦手の道悪、牝馬で57K。松岡騎手が驚くのも無理ないところです。さすが東京のマイル巧者<3100>なのでしょうね。私も驚きました。

馬連6710円。3連複が1万2170円。意外とよい配当でした。     015 016 017

ああ、驚愕の6着!ジェンティルドンナに何が起きたのか!!

  競馬には絶対はない、というけれど、まさかまさかの出来事でした。「京都記念」は日本が誇る女傑ジェンティルドンナがジャパンC以来に登場。UAEのドバイ遠征前の一戦とはいえ牝馬3冠にジャパンC2連覇。オルフェーヴルを破った馬でもあり、別定の56Kでは負けられない一戦でもありました。

 しかも、当面のライバルと目された唯一のGI馬、トーセンラーも休養明けで、道悪馬場が過去2戦とも凡退。加えて強力な逃げ馬が不在、後方から直線勝負の脚質を考えると、明らかに展開もトーセンラーよりジェンティルドンナが有利だったのです。

 当初、私はトレイルブレイザーの単騎逃げを予測していました。一昨年の京都記念が先行策からダークシャドウ、トーセンラー以下を圧倒。昨年の新潟記念、京都大賞典は果敢に先行して見せ場を作っていたのです。今回は得意としている時計を要する馬場、しかも1番枠。明らかに主導権を取りに行くはずだと、考えたのですが実際には和田騎手の読みは違っていました。

 ジェンティルドンナの福永騎手は強力な逃げ馬がいないということもあって、後方からの競馬は避けようと思っていたはずです。前を射程圏にいつでも抜け出せる体勢で、後方に控えるトーセンラー対策を一番に考えていたはずです。

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 そんな状況下の中で、京都記念はスタートが切られました。一番いいスタートを見せたのがジェンティルドンナの赤い帽子。内からトレイルブレイザー、外からアンコイルドが進出。そして、その外から横山典騎手のデスペラードが、仕掛けて先頭を狙いに行きます。1コーナー手前では早々とデスペラードが先頭。追い込みに定評があったデスペラード。横山典騎手の一か八かの大作戦。後続を引き離しにかかります。2番手のアンコイルドは巻き込まれることを嫌って追いかけません。そのあとにジェンティルドンナ。ところが福永騎手は手綱を懸命に引っ張り、行く気満々のジェンティルドンナを御そうと懸命。その後ろのインにトレイルブレイザー、外にラキシスでマイネオーチャードもいます。

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 その後の中団の外にトーセンラー。後方にトゥザグローリーでポツンと最後方がアクションスター。

 半マイル通過が51秒2。スローで離して逃げる形のデスペラード。2番手のアンコイルド。折り合いを欠くような感じで少し離れた3番手にジェンティルドンナ。ラキシスを前に見てトーセラー。この辺は一団となった塊。

 そして3コーナーを回ると先頭から馬群がギューッと凝縮。一団の形で4コーナーに向かいます。3角過ぎからスパートしたトゥザグローリーのベリー騎手が一気に仕掛けて直線に入ったところで先頭。ジェンティルドンナも続きます。

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 一旦、2、3番手に後退したデスペラードが、ここから反撃態勢。それに続くアンコイルド。直線外に出したトーセンラーも末脚を伸ばしてきます。ここで一旦2番手に上がったジェンティルドンナの脚色がモタつき、その間を再加速に転じたデスペラードが内から猛然とラストスパート。外をグングンとトーセラー。トゥザグローリーは後退。ジェンティルドンナも失速気味。最内をついてアンコイルドがしぶとく末脚を伸ばしてきます。好位置で展開したラキシスもゴール前で肉薄したものの3、4着争い。

 劇的な横山典騎手のデスペラードが二段仕掛けの作戦で、トーセンラーを振り切り優勝。ゴールをすぎてニヤリと横山典スマイル。

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 翌々日の東京競馬場で横山典騎手に直接インタビュー。

 「驚きましたよ。まさか逃げるとは・・」

 「うん、あれは前から逃げたらどうなのかな、と考えていたわけ。その試す機会が京都記念だったんだけど、うまくいきました。他の馬のミスにも助けられたね」

 続けて「馬の状態も良かったし、勝つときはこういうもんだよね。でも、強かったしいい競馬だったと思う」

 「それじゃ、デスペラードでまたこういう逃げる競馬をするの?」

 「まあ、それは流れなど考えてだね。今回こういう競馬も出来るということがわかったから、それは収穫があったと思う」と、ノリちゃんスマイルで引き上げて行きました。

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逆に6着と思わぬ敗退だったジェンティルドンナ。ドバイ遠征前のひと叩きとはいえ、初めての掲示板にも載れない凡走。休養明け、プラス8Kの馬体重、道悪馬場。そういった条件があったとはいえ、デスペラードが14K増の体重。マイルCS以来のトーセンラーが14K増。アンコイルドも12K増で、ラキシスも10K増。それらに先着を許す大失態。単勝を筆頭に彼女に投じられたファンの思いの莫大な馬券の額。あの男勝りのジェンティルドンナは戻ってくるのでしょうか?