
「ユタカ!ユタカ!ユタカ!」大観衆で埋め尽くされた東京競馬場のスタンドから、拳を振り上げて「ユタカ・コール」の歓声が鳴り響きます。
「いやあ、最高ですね~。大観衆の前で、この結果は凄く嬉しいです。感無量です」と53歳の天才は、はにかむように両手を高く挙げて、そのコールに応えていました。司会者が「このコールを叫びたくて待っていたんです」と返すと、「ユタカ!ユタカ!ユタカ!」と、再び場内に響き渡っていました。
第89回目を迎えた
東京優駿「日本ダービー」。
皐月賞で上位を占めた4頭が支持を集める中で、
武豊騎手の
ドウデュース(3番人気)が、直線外から先頭に立ったアスクビクターモアを一気に捉えると、大外から迫って来たルメール
騎手のイクイノックス(2番人気)をクビ差振り切り優勝。
9年前のキセキ以来、6度目の
日本ダービー制覇。それはまた53歳という最年長での
ダービー優勝でもありました。
レースは逃げ宣言をしたデ
シエルト。岩田康
騎手が必死にしごいて先手を主張していきます。内から好スタートを決めたアスクビクターモア(7番人気)が、すんなりと2番手でしたが、同型のビーアストニッシドが前に出ようとして、内のアスクビクターモアと2番手を争う形。そのため逃げたデ
シエルトの2ハロン目が10秒8を記録。2400mの半分、1200m通過が1分10秒6。緩みない展開となってしまいました。

中団に
皐月賞馬のジオグリフ(4番人気)と、直後に1番人気のダノン
ベルーガ。そして、それらをマークするように中団後方にドウデュース。その背後にピタリとイクイノックス。外枠の人気馬がそれぞれを牽制する形。
緩みない流れで進んだ今年の
ダービー。直線に入り先頭のデ
シエルトにアスクビクターモアが並びかけたのがラスト400m。このときの2000m通過が1分58秒2。そして早々に先頭に立ったアスクビクターモア。まわりに他の馬がいないので内、外とふらつきます。
そのときでした。直線外から猛然とドウデュースが強襲。先頭のアスクビクターモアに馬体を並べたのがラスト200m。そしてイクイノックスが内から直線大外に持ち出して迫って来ます。早めに先頭に躍り出たドウデュースをめがけて猛然と追撃。


一方で、馬込みの中から内目を通ってダノン
ベルーガ。3番手に下がったアスクビクターモアの内から迫ります。一旦、3番手に上がったように見えましたが、アスクビクターモアの最後の踏ん張りで差し返します。

結果は、優勝ドウデュース。クビ差でイクイノックス。3着はアスクビクターモアがクビ差ダノン
ベルーガを振り切りました。

2分21秒9は
ダービー・レコード。スタンド前に凱旋するドウデュースと
武豊騎手。スタンドは“ユタカ・コール”で迎えていました。

私の◎アスクビクターモアはレコード決着に正攻法で臨み、ダノン
ベルーガの追撃を退けた内容は大いに称賛ものです。秋の
菊花賞が楽しみです。
