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無念!◎2着!内と外の差か!府中の馬場に流れるマンボのリズム♪♪

 それはまさか、まさかでした。桜花賞で10着と凡退した9番人気のメイショウマンボが、目の覚めるような末脚で快勝。74回目の樫の女王、オークス馬に輝きました。

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 メイショウマンボの背中には武幸四郎騎手。彼にとってもそれは衝撃的な一戦だったはずです。

 栄光のゴール板をトップで通り過ぎても、目立ったアクションはなし。どよめくスタンドの前をごく冷静に地下道に消えて行きました。

 私は検量室前で幸四郎騎手と遭遇。横にいた日本在住の某外国人、女性記者がメイショウマンボの単勝100円1点を握り締め、「今日は勝てると思っていましたか?」と質問。「う~ん、いやあ~・・」と歯切れの悪い口調で応答。

「おめでとう!やったね!」と私が右手を差し出すと、「ありがとうございます」と、長い右手でガッチリ握りにっこり。

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 今年の3歳牝馬戦線は勝ち馬がクルクルと猫の目のように変わる戦国模様を呈していました。当初、私は楽に先行できそうなクロフネサプライズをチョイスしていたのですが、なんと16番枠。スタンド前の発走でよりスタンド側に近く、大歓声に反応して一気にオーバーペースで行ってしまいそうなことから◎〇▲印からは脱落。

 そこで、熟考した結論は、エバーブロッサムでした。2戦目で未勝利を勝ったときが芝2000m。1月の中山戦でした。この時点で桜花賞は断念。目標をオークスに置いて、それから2ヵ月静養させたあとのフラワーカップ。先行馬ペースで前残りの展開の中、4角後方、大外から矢のような末脚で猛然と追い込んでハナ差2着。楽な先行で内ピッタリと回って優勝したサクラプレジールとは内容的に雲泥の差がありました。

 そしてオークストライアルのフローラSに登場。馬体が休養明けだったフラワーCよりも6K増加。やや、余裕を感じたことからこれは本番、オークスに向けた仕様だったと判断。そこで優勝した1番人気のデニムアンドルビーと接戦の2着。これはまさに大収穫でした。

 2400mという距離、そして臨戦過程、渾身の仕上げという堀師。破竹の勢いを見せる戸崎圭太騎手。踏まえてエバーブロッサムに大いなる期待を寄せたのでした。

 一方、桜花賞2着のレッドオーヴァルが2番人気。昨年暮れの中京で未勝利をレコード勝ちしたときが444K。そして桜花賞が430Kまでに激減。激しいレースを演じて、オークスは長距離輸送。馬体重がある意味で鍵でした。それがマイナス8Kの422K。レコードで走ったときから20K以上も減ってしまったのです。

 1番人気のデニムアンドルビーは素晴らしい馬です。ところが、彼女にとっても輸送が大きな足かせになっていたのです。それはフローラCからオークスに臨んできた馬は、ここ3年連続で馬券の対象になっていますが、いずれも関東馬。関西馬はこのケースでは過去10年、優勝ゼロ。2着が1回あるのみ。短期間内2度の関西→関東輸送が大きく災いしているような感じだったのです。

 従って、私のオークス予想は◎エバーブロッサム〇アユサンに決定。その判定を待ったのでした。

 そしてオークスがスタートとなりました。サクラプレジール、クラウンロゼが先行態勢を取りますが、予測通り外からクロフネサプライズが果敢に主導権を取りに動きます。大外からトーセンソレイユが浮上。中団にはエバーブロッサムが外目。その直後内にメイショウマンボと外にはアユサン。その外にスイートサルサが並んで前を追います。

 それらの直後にはローブティサージュがいて、それを前に見てレッドオーヴァル。最後方にはポツンと出負けしたデニムアンドルビー。

 最初の入り3ハロンが35秒7。これは例年のペース。この形で流れて行きます。半マイルが47秒7で、この後の2ハロンが11秒9-11秒8と、ペースアップしているのです。それゆえ逃げるクロフネサプライズ、追いかけるサクラプレジール、トーセンソレイユの3頭から第2グループ集団のクラウンロゼが大きく離れて行きます。

 サクラプレジールの横山典騎手とトーセンソレイユのウイリアムズ騎手は、さすがにこれはマズイと感じたのか、ガッシリと手綱を引き、息を入れようとします。これを確認して単騎逃げに持ち込んだ武豊騎手のクロフネサプライズは、2番手以下の差を大きく広げて最終の4コーナーを目指します。

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 縦に長い展開で3コーナー過ぎ中団インにメイショウマンボ。直後の内にアユサン。その外にエバーブロッサム。2頭を見る形でインにはレッドオーヴァル。その後ろにスイートサルサ、ローブティサージュで、その直後の外にデニムアンドルビー。

 4コーナーをまわりクロフネサプライズにトーセンソレイユ、クラウンロゼが接近。サクラプレジール、フロアクラフトも懸命に仕掛けて追走。

 メイショウマンボがアユサン、外のエバーブロッサム。その後ろのレッドオーヴァルを引き連れて進出態勢。いつの間にか外からデニムアンドルビーがスイートサルサの横に浮上してきました。

 先行馬勢が直線で脚色が鈍り出すと、追い出したメイショウマンボの前がサッと開いて先頭に立ちかけます。内からアユサンその外からエバーブロッサム。最内からレッドオーヴァル。外からデニムアンドルビーも接近。

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 それでもメイショウマンボ、エバーブロッサムの末脚が他を圧していました。必至にゴールを目指すメイショウマンボに迫るエバーブロッサム。大勢はこの2頭で決まり。迫られながらも押し切ったメイショウマンボが優勝。エバーブロッサムが肉薄したものの2着まででした。

 ゴール寸前でアユサンを捉えたデニムアンドルビーが3着となり、レッドオーヴァルはゴール前で失速し流し気味に17着と惨敗。

 今年の3歳牝馬戦線は最初から最後まで波乱万丈。まさにドラマチックな結末でした。秋の秋華賞の頃にはどんな伏兵が登場するのでしょうか。

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名ストッパー大魔神!5度目の挑戦でようやくGI制覇に辿り着いた歓喜の汗と涙!

 優勝セレモニーから花束を手に引き上げてきたひと際、背の高いスーツ姿の御仁。それが“大魔神”こと佐々木主浩さん。傍らにはその子供たちと、今もって見目麗しい加奈子夫人。

 桜花賞、オークス、秋華賞の牝馬3冠で宿命のライバル、ジェンティルドンナの前にいずれも2着。ジェンティルドンナを欠いたエリザベス女王杯では、道悪巧者のレインボーダリアのクビ差2着。GIというタイトルが、ヴィルシーナにとっては、なんとも遠い1年でした。

 そして、今回のヴィクトリアマイルはヴィルシーナにとっては、あの宿敵ジェンティルドンナが不在。しかも、桜花賞でジェンティルと半馬身差で渡り合ったマイル戦。休養明けの大阪杯をひと叩きして、まさに背水の陣ともいうべき一戦だったのです。

 ゴール前のデットヒートで昨年の覇者、ホエールキャプチャの執念のような追い込みを退け、電光掲示板には”ハナ差“の文字が点滅。

 「やりましたねー、おめでとうございます!」という言葉には聞きなれているはずの大魔神。

 私の顔を見るなり「あ、アベコーさん、ありがとうございます。もの凄く嬉しいです」と、滝のように流れ出る汗を拭きながら、ありったけの笑顔で返してくれました。

 少し離れたところにいた加奈子夫人も私の顔を見るなり「また2着かと思いました。本当にありがとうございます。まだドキドキしていますよ」と、幸せスマイルで気持ちを表していました。

 今年のヴィクトリアマイルは昨年のクイーンズバーンのような典型的な逃げ馬を欠いて、前残りの競馬になりそうな予感がありました。

 スタートと同時に飛び出したのがヴィルシーナ。それは抜群のスタートでした。一方、ホエールキャプチャは躓き気味のスタート。結果的にこの差が最後の最後に出るとは、この時点では、当然ながら知る由もありませんでした。

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 そして周りに目を配り何が行くのか、行かないなら自分が行こうか、とばかりに内田博騎手が相手の出方を探ります。

 そして、ヴィルシーナの内から戸﨑騎手のアイムユアーズが並んで行き、これを抜いて先頭。内田博騎手のヴィルシーナが手綱を引いて2番手。その内にからマイネイサベルが1番枠とヴィルシーナをマークするということからか一転した積極策。外から進出してきた少し掛かり気味のメーデイアと共に3番手を争います。その後ろにドナウブルーと3番人気のサウンドオブハート。中団には内にオールザットジャズがいて、その直後に2番人気の切れ者ハナズゴール。外側にはホエールキャプチャとイチオクノホシ。後方にはジョワドヴィーヴルとレインボーダリアで、最後方がアロマティコ。

前半34秒6、半マイルが46秒3。昨年のヴィクトリアマイルと同じようなペースで流れて行きます。

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 主導権を取ったアイムユアーズの直後で満を持していたマイネイサベル。前のヴィルシーナの内から一気に仕掛けて先頭に立ちかけたのが直線ラスト400m手前。これを見たヴィルシーナの内田博騎手もラストスパート態勢。他の先行勢がこれに咄嗟に反応できず置いていかれます。中団から外に出したホエールキャプチャの脚色が良く前に急接近。先頭はマイネイサベル、追うヴィルシーナ、外からホエールキャプチャ。ハナズゴールも直後に迫っていましたが鋭さがなし。大外からジョワドヴィーヴルも来ています。

 内にマイネイサベルその外にヴィルシーナ、そして並びかけたホエールキャプチャ。3頭の激しい叩き合い。真ん中のヴィルシーナがグイと鼻先を伸ばしたところがゴールでした。それにピッタリと馬体を併せたホエールキャプチャ。

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 ゴールを過ぎて共に顔を見合わせて「どっち?」とばかり表情を投げかけ合う二人。そして電光掲示板には「11」番の馬番号が点灯。スタンドは大歓声。

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 1分32秒4の優勝タイム。昨年と同タイムの決着でした。また、この時計は4年前の勝者ウオッカ、3年前の優勝馬ブエナビスタと同じタイムだったのです。

 ヴィルシーナはこのあと宝塚記念を視野に調整を進めて行くことになりそうです。またジェンティルドンナの対決が楽しみになりました。