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まさに短距離王者としてのUボルト級の貫禄!

 目下3連勝、破竹の快進撃を続けている短距離界の王者、あのウサイン・ボルトならぬロードカナロア。今年前半の短距離界の頂点「高松宮記念」は、まさにロードカナロア一色でした。昨年の高松宮記念も1番人気でしたが、今年は格段にスケールアップしたロードカナロアがそこにはいました。

 単勝1.3倍。岩田騎手は「これは取りこぼすことはできない」と、胸のうちを披露。それがプレッシャーだったかどうか定かではありませんが、注目のスタートで各馬がきれいに決めたのに比べて、ロードカナロアは半完歩わずかに出負け。それでも慌てずスーッと中団の外。

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 主導権を取ったのは好スタートを決めたメモリアルイヤーを抑えてハクサンムーンが一気に先頭。ところがそれは戦前から分かっていたかのように、アッサリとメモリアルイヤーが先頭を譲り2番手。先手を取りたかったアイラブリリの幸騎手も3番手で納得したかのような追走。その後に内からマジンプロスパー、中にツルマルレオン、外がサクラゴスペル。その直後にいつもより早めにエピセアロームと外にダッシャーゴーゴー。中団にシルクフォーチュンとその外にロードカナロアが追走。それをマークする形でドリームバレンチノ。昨年2着のサンカルロが最後方の外。

 驚いたことに前半3ハロンが34秒3。なんとGI芝1200mの決定戦で、これだけ速い馬がいながら、同じ日の9レース1000万・岡崎特別の34秒1より遅いペースなのです。通常、良馬場の芝1200mの重賞であれば、2ハロン目に10秒台の時計が必ずといっていいくらい計時できるものですが、この日の11秒0は1000万より遅いくらいの流れでした。4ハロン通過地点が岡崎特別で45秒4、高松宮記念が45秒5。

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 この流れでレコード決着は無理だろうと考えたのですが、ところが今年の高松宮記念はレベルが違いました。

 そうです、ロードカナロアでした。4コーナーで中団の前に進出すると、もう前の馬は射程圏内。逃げるハクサンムーンが先頭で内からマジンプロスパー、外にサクラゴスペルが迫っています。

そのときでした。馬込みの中から前の馬を楽に捌くと、直線馬場の真ん中をケタ違いの迫力でロードカナロアが一気に進出し、ハクサンムーンを捉えにかかります。これを追ってサクラゴスペル。マジンプロスパーは脱落。外からドリームバレンチノが満を持したかのように猛然と迫ってきました。

力強く抜け出したロードカナロアが先頭でゴールイン。内で逃げ粘ったハクサンムーンがギリギリ2着かなと見えたところに、外のドリームバレンチノが鋭く食い込んで写真判定。ハナ差でドリームバレンチノが届いていました。

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驚いたことに勝ちタイムが1分8秒1のコースレコード。ロードカナロアのラスト3ハロンが33秒2。昨年秋のスプリンターズSを制したときに1分6秒7の日本レコード。そこには短距離界の王者が王者たる証しを、足跡として競馬の歴史に残してきている偉大さがあります。

岩田騎手によれば「この馬はもっともっと強くなる。秋がもっと楽しみだよ」と、胸を膨らませていました。

まさに無敵のウサイン・ボルトを彷彿させるロードカナロア。ステージを一段上げてマイルの安田記念に挑戦したらどうかな・・と、思わせる高松宮記念の強さでした。

阪神大賞典から古馬の長距離戦線に見る現実と未来!

 私は長距離のマラソンレースが大好きです。1マイルを2回も走る春の天皇賞。レース中のジョッキーと馬の会話にも似た、そのお互いの呼吸が短距離戦では決して見ることができない、いわば芸術と競走のコラボのように感じるからです。また、長距離戦には必ずといっていいくらい出て来る血統的な背景。これも長距離戦のドラマを盛り上げるのにかかせません。

 3月17日の阪神では、天皇賞の前哨戦ともいえる「阪神大賞典」。昨年はぶっち切りの人気に推されたオルフェーヴルが、アクシデント的な逸走により不覚の2着。場内は大パニックでした。

あれから1年、今年は2冠馬、そして暮れのグランプリ有馬記念を制したゴールドシップが参戦。これで今年の阪神大賞典は盛り上がりを見せるだろうと、一瞬考えたのですが顔ぶれを見て驚きました。

菊花賞4着で前走の京都記念2着のベールドインパクト、ステイヤーズS3着、万葉S優勝のデスペラード。長距離戦に実績があるフォゲッタブル。10歳でステイヤーズSを制した最年長のマラソンホースであるトウカイトリック。

まあ、これらはOKとしても、オープンでは馬券に絡んだことがなく、大敗続きでお手上げ状態のピエナファンタスト。ダートに新天地を求めたもののまったくダメで、ただ長距離で使えるレースがあれば出て来る8歳のお荷物的モンテクリスエス。前走のダイヤモンドSでは16頭中16番人気で2年以上も馬券の対象になっていないエンドマークを背負っている観のあるコスモヘレノス。おそらく条件レースに出ても勝てないような馬が、別定のGⅡに挑戦してくるのですから、2冠馬でグランプリホースのゴールドシップにあまりにも失礼。アタマ数さえ揃えばいいといった風潮のある最近の競馬の傾向が垣間見ることができます。

私たち競馬ファンは、たとえ頭数が少なくても、例えばゴールドシップVSオルフェーヴルVSルーラーシップの3頭立てでも、ファンは興奮して勝者には惜しみない拍手を送るはずです。それが本来の競馬であり、ファンが待ち望んでいる競馬だという思いがしています。

そんなお荷物的なメンバーも加わった今年の阪神大賞典。もちろん、単勝1.1倍のゴールドシップ一色でした。

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ダッシュが鈍くて最後方に置かれたゴールドシップ。3番人気のデスペラードと共に後方で待機策。そのすぐ前には2番人気のベールドインパクトと、4番人気のトウカイトリックがいます。主導権を取って快調に飛ばすマカニビスティー。まさに捨て身の逃げ作戦。2番手で控えるフォゲッタブル。私の予想ではこのフォゲッタブルがゴールドップの2着争いの筆頭と予測。

前半の1000mが61秒2で、2000m通過が2分3秒3という珍しいくらいに緩みない流れで縦に長い展開。

「内回りで縦に長い展開になると前が残りやすい」と考えたゴールドシップの内田博騎手は、2週目の3コーナーからスパート。4角で先頭集団に追いついて、内から抜け出すフォゲッタブル、そこを中からベールドインパクトが接近。その外にゴールドシップ。さすがにゴールドシップの力量が一枚上手で、あっという間に先頭。内で頑張るフォゲッタブル。福永騎手が懸命に追うベールドインパクトがアッサリ脱落。そこへ満を持して外からデスペラードが強襲。

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優勝は2馬身差の横綱相撲でゴールドシップ。激しい2着争いは追い込んだデスペラード。惜しいかなフォゲッタブルが3着。そこから5馬身離れてベールドインパクト。しごく順当な結果になった阪神大賞典。

昨年の同レースの売り上げを約20パーセントもダウン。長距離重賞を減らせという声も聞こえる中で、今回の阪神大賞典のように何でもかんでも出走できればいいという関係者の考え方が、改めて問われるところです。

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