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雨のち晴れ~やっぱりアユサン!そのストーリー(~o~)

 

 昨年の秋、強烈な末脚でデビュー戦を快勝したアユサン。私の脳裏にシッカリと焼きつきました。続くアルテミスSでも追いかけて惜しくも2着。それでも、出遅れて最後方から直線大外を1頭際立った末脚でゴボウ抜き。このときゴール前で先頭に立ったコレクターアイテムに外から馬体を併せに行き半馬身差。真っ直ぐ走っていれば突き抜けたはずでした。

 

 それでも1分33秒8のレコードの2着で、ラスト3ハロンが33秒5。キャリア2戦目でこんな芸当ができるなんて、並みの馬ではない、とある種の確信を持った馬だったのです。

 

 暮れのJRA「AKBのガチ馬」で、阪神ジュベナイルFのときに、AKBのみなさんを前にして、アユサンという馬の凄さを強調。ところがレースでは不運にも7着。高速馬場の18番枠。出遅れて4角では大外に出したら強風の向かい風。インを回った馬同士の決着でしたから厳しい結果でした。これにはAKBのみなさんからもブーイング。それでも私は「来年の春には必ず期待に応えてくれるはずです。素晴らしいスケールを持った馬ですから、是非みなさんも応援をお願いします」と伝えました。

 

 年明けはおそらくクイーンCからだろうと考えていたところ、手塚調教師は「数日前に寝違えてしまい、使えないこともないけど先がある馬なので、今回は自重してチューリップ賞に行きます」と、丁寧に説明してくれました。

 

 そしてチューリップ賞。今年の初戦は2度目の阪神でした。ここで、初めてスタートでポンと出て好位置を確保できたのです。ただ、流れがスローすぎて、やや掛かる場面があり、逆に折り合って単騎逃げの形に持ち込んで優勝したクロフネサプライズの3着。何とか馬券の対象は確保してくれたものの悔しい敗退でした。もっとも、桜花賞の出走権は確保。

 

 そして桜花賞。さすがに輸送を考慮して早々と栗東入り。日毎に上がる体調にときめきました。

 

 ところが、困った事態になったのです。それは爆弾低気圧と称する厄介なものが、関西、関東、東北を襲来。阪神も土曜日から激しい雨にたたられたのです。事前の予報でこの低気圧の襲来を掴んでいたのですが、桜花賞出走組はほとんどが道悪未経験。もちろん、アユサンも同様で、鋭い破壊力と比較的大きなストライド。良馬場がベストと考えていた私にとって、この道悪馬場のコンディションはマイナス材料だろう、う~ん、天を恨みました。

 

 そして、前日の土曜日にあることが起きたのです。それはアユサンの相方、丸山元気騎手の福島競馬の落馬負傷でした。彼はデビュー当初からアユサンに騎乗。ともに念願だった桜花賞に駒を進めてきたのです。丸山騎手も本当に悔しかったことでしょう。

 

 そしてC・デムーロ騎手に騎乗変更。世界の第一人者、日本でもお馴染みのM・デムーロの弟。すでに来日してからポンポンと勝ち星を積み重ねて、いわゆる頼りになる騎手として評価度がうなぎ上り。アユサンにとっては彼が偶然にもあいていたことが、ひとつのドラマを作ったことに繋がったようでした。

 

 そして桜花賞。雨はあがったもののどんよりとした雲が垂れ込めて、ダートは不良。芝は、やや重馬場でスタート。9レースの忘れな草賞が始まる頃には良馬場に回復。それでも泥がついて戻ってくるジョッキーや馬を見て、これは良馬場発表でも水分を含んで重い馬場という評価を私は判断しました。

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 スタートと同時にクラウンロゼとサマリーズが内から飛び出し、そしてアユサンも互角にスタートを決めました。

 

 内からサマリーズが主導権。クラウンロゼ、ウインプリメーラ、サウンドリアーナが先行勢を形勢。そのとき外からクロフネサプライズがジーニマジックを引き連れるようにして進出。中団にアユサンとローブティサージュ。そしてコレクターアイテム、メイショウマンボ。後方にはトーセンソレイユ、レッドオーヴァル、プリンセスジャック、サンブルエミューズ。

 

 前半3ハロンが34秒8、ここ2年と同じようなペース。ただ馬場コンディションを顧慮すると緩みのない流れとなりました。半マイルが46秒9で、1000m通過が58秒9と落ちません。

 

 4コーナーを前にしてクロフネサプライズが、我慢しきれずに先頭に立ち、それを見て後続も迫ってきます。ウンプリメーラ、その外からジーニマジック。内にクラウンロゼとコレクターアイテム。ローブティサージュとサウンドリアーナの直後に控えるアユサン。

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 直線クロフネサプライズが楽に先頭に立っているように見えましたが、その外からサウンドリアーナを捉えて一気に迫って来たのがアユサンでした。容赦なくクロフネサプライズを抜き去って先頭に立ったところへ、猛然と大外から追い込んできたのがレッドオーヴァル。そしてアユサンに並びかけと一気に先頭に立ったのですが、アユサンも末脚では一流のものがあり、再び勝負強さで差し返します。デムーロ兄弟騎手の激しい叩き合い。最後の力を振り絞るかのようにアユサンがゴールへ真っ先に飛び込みました。左手を高々と掲げるアユサンのC・デムーロ騎手。隣りのレッドオーヴァルの兄M・デムーロ騎手を振り向き、左手で兄の手を取って握手。そしてサッカー場で見事シュートを決めて、喜びの大きなパフォーマンスを繰り返す選手に負けないくらい大きな歓喜の雄たけびを上げていました。

 

 桜花賞というここ一番のクラシックで結実したアユサン・ストーリー。まず、アユサン、そして手塚調教師、その関係者のみなさん。そして最高の騎乗でピンチヒッターの大役を果たしたC・デムーロ騎手。さらに残念ながら騎乗できなかった丸山元気騎手。みなさんに祝杯を上げたいものです。

筋書きのない競馬というドラマは実に素晴らしく、それが私たちのロマンなのでしょうね。

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それは愛する親子の応援が届いたHappy・Day

 中山はインサイドがボコボコして悪い。この日は午前中に小雨もあって、できるだけ馬場の内側を走らないことが鉄則のような状況でした。

 そうした中にあって「ダービー卿チャレンジT」が行われました。1番人気は着実に地力を付けてきたダイワマッジョーレ。前走の東京新聞杯でも2着とマイル戦の適性を実証。中山記念2着の中山巧者で好調ダイワファルコンが2番人気。ヴィクトリアマイル2着、関屋記念レコード勝ちのドナウブルーが3番人気。

 強力な逃げ馬が不在とあってスローペースになると予測。私は前残りの競馬を考えていました。スタートは内枠からガルボが飛び出し、ドナウブルーが続く展開。外から思い出したかのようにファイアーフロートがしごいて先頭。これを引っ張りきれない勢いでトウケイヘイローの松岡騎手が背中を丸めるようになだめています。

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 直後の外にはリアルインパクトとネオヴァンドーム。その後のインにダイワファルコンがいて、ダイワマッジョーレ、リルダヴァルがいて、スマイルジャックとダノンヨーヨーが中団。後方にはホーカーテンペストとオセアニアボス。

 終始掛かり気味なトウケイヘイローが直後にいるために、逃げたファイアーフロートもペースを極端にダウンすることができず、半マイルが45秒5というキツイ流れ。1000m通過が57秒4と緩みない流れで縦に長い展開。

 4コーナーで我慢しきれず先頭にたったトウケイヘイロー。直後のガルボがその外から進出し並びかけます。ドナウブルーが内で、外からダイワファルコンが迫ってきました。さらに中団の外に上がってきたダイワマッジョーレの勢いも目立ちます。

 好位のドナウブルーは失速。リアルインパクトもダメ。トウケイヘイローを捉まえようと必死のガルボも坂を上がってから今一息伸びを欠き、そこへダイワファルコンが急接近。さらに外から際立った伸び脚でダイワマッジョーレが猛追。

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 先頭でしぶとく頑張るトウケイヘイローに、ダイワマッジョーレが1馬身、半馬身、首と迫ったところがゴールでした。

 ダイワファルコンの内から直線、馬込みを縫ってきたオセアニアボス、その間にガルボが馬体を併せてゴール。3着はクビ差でダイワファルコンが確保。

 それにしてもハンデ戦、1着のトウケイヘイローから10着のドナウブルーまで0秒5差という接近戦。ハンデ、コース取り、枠順次第では大きく変わる要素は十分でした。

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 1分32秒6も馬場状況を考えると優秀なタイム。過去10年で3番目に速い時計。ハンデが55Kだったとはいえ4歳馬トウケイヘイローの急成長ぶりには、正直驚かされた思いです。今年の有望株といえるでしょう。

 この日、トウケイヘイローの手綱を取った松岡正海騎手は、6レースのカフェリュウジンで優勝。2003年3月1日の初騎乗以来、10年目でJRA通算600勝を達成。そこら中に松岡スマイルを提供していました。

 またこの日は、松岡夫人がまだあどけない長女を連れて競馬場に応援で来場。そして記念すべき600勝と重賞優勝の両手に二重の喜び。

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 「本当に今日は競馬場に来て良かったです。Happyでした。」と松岡夫人。その隣りで私のズボンを引っ張る長女が「パパ、パパ」と。

 とても愛らしい長女の手を引く婦人。幸せいっぱいの松岡ご家族でした。

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