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半馬身差でも王者の貫禄でラスト33秒0の破壊力!

“王者とはこうでなくちゃ”と、多くのファンを魅了した我らが大将オルフェーヴル。今年初戦は「大阪杯」に登場。昨年のジャパンCで若き女傑のジェンティルドンナのハナ差2着に敗れたものの出走してくればダントツの1番人気は確実。それゆえ当然とはいえ仕上げるスタッフにかかるプレッシャーは想像に難くないと思います。

 オルフェーヴルの当日の馬体重が464K。ジャパンCが458Kだったことから比較してプラス6K。一昨年、菊花賞、有馬記念を連勝したときが460K台。関係者スタッフが渾身の仕上げでオルフェーヴルを甦らせたのでした。

 こうなると、昨春の阪神大賞典で見せたアクシデント的逸走が出ない限りにおいては、負けられないというファンの声、願いは相当な確率で実現しそうでした。

 今年の大阪杯は強力な逃げ馬が不在。というよりも、ほとんどの馬が差し、追い込みの脚質。これはひょっとして、楽にあまりにも楽に逃げることができたら、打倒オルフェーヴルがあるかも知れない。であるとすれば、ヴィルシーナしかいない!あのジェンティルドンナ相手に牝馬3冠いずれも2着。なかでも大阪杯と同じ2000mの秋華賞ではジェンティルドンナのハナ差2着。当時2番手から直線先頭に立ち押し切ったか、と思えたレースを展開していたことから、打倒オルフェーヴルも考えて、穴党の私はこのヴィルシーナ期待したのです。

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 ヴィルシーナの逃げ切りもあるかも知れないぞ、と考えていたところ、なんと主導権を取ったのが追い込みタイプのコパノジングー。枠順が1番枠だったということからか、これまで通りに乗っても無理という判断からか、思い切って逃げるという玉砕戦法。外からヴィルシーナが顔を覗かせましたが、競輪のスタート時のように相手を窺っている間に、内からトウカイパラダイス、そしてダークシャドウが進出。その直後にヴィルシーナ。GI馬として忘れかけてきたローズキングダムが中団の前。中団の内にエイシンフラッシュが待機して、それを前に見る形でオルフェーヴルは、やや行きたがる素振り。ショウナンマイティが最後方から2番手。

 前半の3ハロンが36秒7、半マイルが48秒9。やや離し気味に逃げるコパノジングーでしたが、1000mの通過が61秒5。予想通り典型的なスローペース。この体列で進み、3コーナーでじわっと好位置に押し上げたエイシンフラッシュ。後方のショウナンマイティの浜中騎手の手綱が動き追撃態勢。

4コーナーをまわって逃げるコパノジングーにトウカイパラダイスが並びかけます。エイシンフラッシュとヴィルシーナ。内にダークシャドウ。オルフェーヴルが大外まわって前を追います。

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直線先頭に立ったトウカイパラダイスその外にエイシンフラッシュ。と、その外にはあっという間にオルフェーヴルがもの凄い勢いで馬体を併せてきました。内からダークシャドウ。早目に抜け出すオルフェーヴル。頑張るエイシンフラッシュ。そのとき大外から赤い帽子のショウナンマイティが猛然と強襲。

それでもオルフェーヴルの勝利は揺るがず、半馬身差振り切って優勝。ファンの期待に応えました。

2着は強烈な末脚を披露したショウナンマイティで、クビ差エイシンフラッシュを捉えていました。

ラスト3ハロンが11秒3-10秒9-11秒5。33秒7という究極の争いの中で優勝したオルフェーヴル。自身も33秒0の破壊力。それ以上に32秒9の神業的な瞬発力を見せつけたショウナンマイティ。さすがにGI級の決着に観衆は感嘆と拍手の嵐。

おそらくオルフェーヴルは宝塚記念→渡欧というスケジュールと思われますが、いずれにしても今年もわが国の誇る王者から目を離せません。

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一方、ヴィルシーナは6着と敗退。5ヶ月の休養明け、オルフェーヴル級が相手と荷が少し重かった感じです。ヴィクトリアマイルでの巻き返しに期待しましょう。

また、ローズキングダムは12着。マッハヴェロシティやテイエムアンコールに先着されているようでは、過去の栄光は遥か昔。好きな馬なので残念です。復活の日はくるのでしょうか。

毎日杯は優勝したキズナも立派だったけど、強烈だったのは私の◎だったこれ!!

 毎日杯は皐月賞まで中2週。昨年の優勝馬ヒストリカルはダービーに直行。一昨年のレッドデイヴィスは京都新聞杯へ。その後、骨折で長期休養。5年前のディープスカイ以来、クラシックに直結するような馬は登場していませんでしたが、今年はただならぬ予感を感じさせます。

 それというのも、デビュー前からクラシック級と大いに注目されていたディープインパクトとファレノプシスのGI馬同士の配合、キズナその馬の参戦です。新馬→黄菊賞を連勝。一気にクラシック街道を歩むことになりました。今年初戦だった弥生賞は、馬体を大きく12Kも減らし5着だったものの優勝したカミノタサハラと0秒1差。

 毎日杯は相手に恵まれたということからか、ダントツの1.5倍という単勝人気。どんなレースをして、どれくらいの強さを見せつけるか、といったところに注目が集まっていたような印象でした。

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 スタートは最後方グループに位置。タイセイウインディが主導権を取り、バッドボーイとラブリーデイが並んで2番手を追走。そこから離れてガイヤースヴェルト、テイエムイナズマが続く展開。縦に長くなる展開で、中団の後ろに2番人気のコメットシーカー。そして離れてキズナが後方。

 前半の3ハロンが34秒8、半マイルが46秒6で1000m通過が58秒6。阪神の芝1800m、外回りでこのペースは予想外に速い流れ。過去10年でも一番速い展開でした。

 4角でタイセイウインディに並びかけたバッドボーイに、外からラブリーデイ。テイエムイナズマの直後からガイヤースヴェルトが、抜群の手応えで前を追います。コメットシーカーは中団でモタついている間に、外からスパート態勢のキズマが進出。

 直線バッドボーイが先頭に立ち、2番手に一気に浮上してきたのがガイヤースヴェルトでした。これと同じ位置にいたテイエムイナズマの伸び脚が今ひとつ。バッドボーイをアッサリと捉えたガイヤースヴェルトのシュタルケ騎手が、大きなアクションでラストスパート。一気に突き放しにかかります。1馬身、2馬身、3馬身・・。そのときでした。直線外から後方でジッと待っていたキズナが猛然と襲い掛かってきました。

 みるみる内に接近してきたかと思うと、頑張るガイヤースヴェルトを捉えて先頭。ここから余裕綽々で3馬身差の圧勝劇。

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 1分46秒2はあのディープスカイの1分46秒0に続くハイレベルなタイム。キズマにとってはクラシックを迎える上でも大きな収穫を得た一戦だったようです。武豊騎手も「直線が長い外回りなので、持ち味が出せたし、ラストの伸びも満足。とにかく一戦毎に良くなっているね」と絶賛。目標のダービーに向け好手応えだったようです。

 ところで、このレースで2着だったガイヤースヴェルト。この日が3戦目。しかも、初めての芝。明らかに不利な条件でしたが、この馬の潜在能力の高さを感じ取っていた私は打倒キズナを狙ってこれが本命。

 今年1月の京都のデビュー戦で独走。そのときの時計が古馬1000万でも通用するような時計。騎乗したビュイック騎手が潜在能力の高さをアピール。芝のほうがいいともコメント。2戦目が東京のダート1600m。出遅れてデビュー戦とは違い速い流れ。それでも大外から猛然と追い込んでハナ差2着。実に惜しい一戦でした。やはり、このときもビュイック騎手は芝向きとコメント。

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 それが今回の初芝だった毎日杯で実証されました。それもハイペースを急追して、直線早めに抜け出し、一瞬は突き放す見せ場十分の内容。このとき1600m通過、あとゴールまで1ハロンというところで1分33秒7は凄いタイムです。翌日の古馬オープン、マイル戦の六甲Sを制したシャイニーホークが1分34秒0を軽く上回っていたのですから、文句なしにGI級の逸材であることは確か。

 キャリア3戦で中山、東京、阪神を経験。なにかゾクゾクする馬です。