平成25年、中央競馬の幕開けを告げる伝統の東西金杯。1月5日に中山と京都で行われました。
「中山金杯」は昨秋の毎日王冠2着、天皇賞6着の実績を評価された明け4歳馬ジャスタウェイが、内田博騎手を再び迎えて3.4倍の1番人気。夏の新潟記念2着、毎日王冠3着のタッチミーノットが4.4倍で2番人気。暮れの金鯱賞2着のダイワマッジョーレが4.7倍で続きました。
好枠を引き当てたドリームセーリングが、強力な同型馬が不在ということもあって、この馬のペースで進められそうなことは戦前から予測できました。人気の2頭は中団くらいの位置取りだろう。内回りの中山2000m。どこで2頭が仕掛けて出るのか、このレースの大きなカギでした。
スタートして予想に通りにドリームセーリングが主導権を取りに前に出ます。大外から仕掛けてイケドラゴン。4番人気のアドマイヤタイシも正攻法で続きます。半年ぶりのシンゲンが掛かり気味に好位置。その後ろのインにタッチミーノット。外にはダイワマッジョーレがいて、それを見る形でインにキョウエイストーム。直後にスタートでダッシュがつかなかったコスモオオゾラ。その外にジャスタウェイとヒットザターゲット。最後方にセイクリッドバレーとタガノエルシコ。
前半の5ハロン通過が60秒6。例年と同じようなスローペース。2コーナーを過ぎると、後方の4頭はやや離され気味で、前から中団まで一塊で進む展開。勝負どころの3角でも前を行く馬の動きに変動はありません。
4角を先頭でまわってきた逃げるドリームセーリング。2番手のイケドラゴンは手が動き始めます。直後のアドマイヤタイシが抜群の手応えで接近。その後ろのインにキョウエイストーム、外に勢いを押し殺している感じでタッチミーノット。さらにコスモオオゾラ、ダイワマッジョーレも肉迫。ジャスタウェイは外から他の馬が動いたために後方インに封じ込められる厳しい形。
直線ドリームセーリングに並びかけ先頭に立つ勢いでアドマイヤタイシ。それを待っていたかのようにタッチミーノットが追撃開始。坂を上がって一気に捉えると迫力に違いで突き放して行きます。そのときでした、中団の中から直線中程でやっと外に出せたジャスタウェイが抜きん出た末脚でグングン肉迫。それでも前半から中盤にかけての位置取りが悪く、2着のアドマイヤタイシに外から半馬身差まで詰め寄ったところがゴール。
勝ちタイムが1分59秒5、昨年優勝のフェデラリストが1分59秒4。ほとんど互角の内容。タッチミーノットは年が明けて7歳を迎えましたが、昨年がなんと5戦のみと、まだ若々しい印象があります。今年の重賞戦線には目を離せない1頭にノシ上がってきそうです。
また、厳しい展開ながらゴール前の迫力は、さすが一級品と唸らせたジャスタウェイ。今年もマイルから中距離路線を歩むはずですが、こちらも重賞戦線では有力候補として注目されそうです。
ところで、私は今年の中山金杯で大いに胸をときめかせた馬がいました。コスモオオゾラです。昨年、中山2000mの弥生賞で快勝し、迎えた皐月賞ではゴールドシップ、ワールドエース、ディープブリランテといった錚々たる顔ぶれに続く4着。それも写真判定の大接戦で、ダービー馬ディープブリランテとハナ差の勝負。さらにダービーでも優勝したディープブリランテと僅か0秒3差。ゴールドシップと0秒1差で渡り合っていたのです。これらの実績からも明け4歳世代の代表候補。
ところが、ダービーからぶっつけ本番で臨んだ菊花賞でブービーの17着。ひと叩きした暮れの金鯱賞で変身を期待したものの再びブービーの11着。まあ、菊花賞は休養明けでGIだから仕方がないとしても、金鯱賞はどうしたことか。その要因は体重増だろう、菊花賞の470Kから486K、16K増は明らかに調整不十分と見たのです。
今回はもっとも得意としているベストの芝2000m。そうか、ここが狙いだったのか、そう私は考えました。
ところが、驚きました!なんと中山金杯に出てきたコスモオオゾラは金鯱賞よりも馬体重が増えてプラス6Kの492K。昨年の皐月賞が476K、ダービーが466K。ガッカリしました。もちろん、馬体の成長もあるはずですが、狙った中山金杯にスカッと仕上げられなかったのです。しかも、スタートでは滑る感じで出負け。これでポジションを取りに出て行こうとしましたが、外から他馬に来られて仕方なく下げる形。なんともお粗末過ぎる内容。それでも勝ち馬と0秒6差、2着馬と0秒3差は能力のある証しだと考えます。
4歳の代表格の一角、コスモオオゾラ。次なるレースが本当に正念場。なんとか汚名返上、名誉挽回してほしいものです。