今年のアイビスサマーダッシュは、どうも首を傾げるような人気でした。断然の1番人気に推されたのが3歳牝馬ビウイッチアス。前走の福島バーデンバーデンCでオープン(3歳以上)初勝利。
そのバーデンバーデンは1番人気のテイエムオオタカが単騎逃げだったにもかかわらず2着。そのときの3着が8着、11着と不振だったケイアイアストンで、4着はオープンで苦戦しているオウケンサクラ。さらに5着が大敗続きの10歳馬アイルラヴァゲイン。つまり、ビウイッチアスにとってテイエムオオタカ以外は強敵がいない顔ぶれだったわけで、開幕週で1200m=1分9秒5という時計からも、あまりにも恵まれた一戦だったのでした。しかも、2走前のマーガレットSが12着の凡退。これで1番人気とは私にとって意外。
一方で、昨年のスプリンターズSでカレンチャンの2着だったのがパドトロワ。当時、セントラルSでラッキーナイン、ダッシャーゴーゴー、サンカルロといったトップクラスを破って優勝したエーシンヴァーゴウが、スプリンターズで3着。そのときの4着がアジアの超特急ロケットマンで5着がラッキーナイン。
その比較からいってもパドトロワはエーシンヴァーゴウとともに1、2番人気を争うはずでした。それが今回のアイビスサマーダッシュでは7番人気と4番人気。3歳牝馬にとって51Kの別定は、一見有利に見えますが、実際はパドトロワが56Kで、エーシンヴァーゴウが55K。ハンデ戦ほど開きがない条件でした。
そこへ持ってきて、春の福島、1000万の吾妻小富士賞でイトククリにハナ差勝ちし、駿風Sでは大敗続きのゲットフルマークスに完勝。相手にいかにも恵まれたとはいえ、今回は目下2連勝の勢いを買われたのかアフォードがグングン上昇して2番人気。この人気も意外すぎて驚かされました。パドトロワと斤量が56Kで同斤。エーシンヴァーゴウよりも1K重いのです。それで休養明けですから、まず人気は薄いと考えたのですが、実際にフタを開けてこの人気の高さには驚かされました。
予想は◎アフォード○パドトロワ▲エーシンダックマン△ビウイッチアス、エーシンヴァーゴウ、ジュエルオブナイルだったのです。
レースは抜群のスタートから飛び出したハクサンムーンが、グングン加速して後続との差を広げにかかります。これを外からエーシンダックマン、パドトロワ、シャウトライン、内からエーシンヴァーゴウが、ほぼ横並びで追いかける展開。ビウイッチアスが中団の前くらいの位置。アフォードはスタートからスピードに乗れず後方に位置。
快調に飛ばすハクサンムーン。これは2番手との着差からも逃げ切りか、と思われたところ、外からジワジワ忍び寄ってきたエーシンダックマンが、馬体を並びかけようとしたときに、弾けるように飛び出したのがパドトロワ。そのままゴールへ駆け込みました。2番手もエーシンダックマンが上がって、3番手を内側で粘るハクサンムーンを捉えたエーシンヴァーゴウが3着を地力で確保。
アフォードはコースの内側に入り、他馬と接触するような、なんともチグハグな走法。
「この時計なら春の内容からからも走れるはずなんだけど、重賞というペースに自分のリズムがつかめませんでした」と新潟出身の村田騎手。
一方で、勝利者ジョッキーのインタビューに応えるパドトロワの安藤勝騎手。その晴れ晴れしい顔が実に爽やかな印象を受けました。
私の予想も◎○の2頭軸3連単フォーメーションでラッキーな的中。8万円を超す配当にビックリものでした。
Why?スプリンターズS2着馬が7番人気って!?
ハンデキャッパーが凄いのか重賞未利馬がいきなり57Kの摩訶不思議さ?!
中京最終日に行われ「中京記念」。例年は3月に行われて芝2000mのハンデ戦だったものが、サマーマイルシリーズの新設に伴い、今年からこの7月下旬に移動してマイル戦に変更。夏季シリーズのポイント制は、その伝統、歴史を変更して、どれだけのファンにどういったメリットがあるのか?という疑問の声もありますが、こういったケースのハンデ戦は、実はハンデがなんとも微妙なのです。
出走馬の中にフラガラッハがいました。昨秋準オープンの道頓堀Sで優勝。オープン入り後、10→3→10着。そして6月の米子Sで見事な豪脚を披露。驚きの11番人気の快走でした。当時、はオープン特別で56Kのハンデ。実績から重賞に出ても55Kくらいのハンデだろう、という見方をしていたら、この中京記念で57K。きゅう舎サイドもこれにはビックリ。それでも具合の良さ、充実ぶりからいわゆる“勝ち負けできる”という思惑が強く出て、出走にGOサインが出たのでしょう。
一方で、レッドデイヴィスという馬。シンザン記念であのオルフェーヴル、マルセリーナを破り、続く毎日杯ではトーセンレーヴを一蹴。さらには7ヶ月ぶりの実戦だった鳴尾記念でショウナンマイティ以下を見事な破壊力で一気差し。勢いで有馬記念に出走して6番人気。9着ながら0秒5差という見せ場。重賞3勝でこれだけの実績を持つ馬が、重賞で連対ゼロのフラガラッハと同じハンデとは、誰の目にも摩訶不思議な疑義的ハンデ。
しかしながら、レースの結果はフラガラッハの強烈な大外一気の末脚が爆発。見事なゴボウ抜きでショウリュウムーン以下を撃破。
中京の最終日、前日の雨で余計に馬場コンディションが悪化。とくにインサイド寄りが良馬場発表でも、泥が跳ねるような状態。明らかに外差しが利く形態に変貌していたのです。となると、先行馬にとっては厳しい競馬だろう、と読んで、私の予想も差し、追い込みを主体に考えました。
で、2番枠に入ったフラガラッハよりもハンデが有利な10番枠のレッドデイヴィスを上位に取ったのです。週刊大衆誌上には前予想ということで、◎フラガラッハ○レッドデイヴィスということでしたが、レッドデイヴィスは好位置のインを走り、かつ直線でゴールスキーが外から狭いところに突っ込んで、レッドデイヴィスの進路をカット。慌てて手綱を引き立ち上がる浜中騎手。これで11着に失速。もっとも、いつものように後方で控えて直線外から末脚を伸ばす作戦という見方をしていたのですが、ポンと出て3番手を確保。この積極策が結果的には大きなマイナスとなりました。先行各馬は直線総崩れ。この中には人気のエイシンリターンズの14着もいました。
ゴール前で先頭に立ったショウリュウムーン、しぶとく伸びるトライアンフマーチ、ミッキードリーム。ただ1頭34秒台のパンチ力で圧倒したフラガラッハ。こんなに強いのでは、よお!さすがハンデキャッパー。57Kのハンデでも仕方がなかったとも思えますが、それではなんで57Kとハンデを背負わせたかと、理由を聞いても、いわく結果が証明しているといわれと、納得してしまうことになりそうです。