それはそれは見事なものでした。昨年に続いてGI高松宮記念を制したキンシャサノキセキ。それも好位置からアッサリと抜け出して完勝。8歳の老雄らしからぬパワーを感じさせました。
それにしても、前半3ハロンが33秒6、4ハロンは44秒3という10秒台のラップが3回も続く速い流れのなかで、引っかかるくらいの勢いを見せたキンシャサノキセキ。一般的に年齢を重ねると、ズブくなる傾向なのですが、このキンシャサという馬は、まさに老いて益々盛ん。よほどこの距離が走りたくて仕方がない、といった印象に映ります。8歳馬でも進化し続けるキンシャサノキセキを見た思いをしました。
もっとも、今回の場合は、いわゆる“運”にも恵まれました。あのスタートの上手な1番人気のジョーカプチーノが、出遅れて快勝した前走のシルクロードSとまではいかないまでも、ポンと飛び出すことができず、中団に近い馬込みの中を追走。3コーナーのところで外から一気にスパートをかけた2番人気ダッシャーゴーゴーが、内に切れ込んだためにジョーカプチーノの藤岡康騎手が慌てて急ブレーキ。
そのダメージが大きかったのか、巻き返す力はなくギブアップ。10着でした。シルクロードSで追い込んで勝ったことから、別に控える競馬でも大丈夫という考えが、藤岡康騎手の頭の中にあったとしたら、この油断に近いようなことが、結果として10着という結果に繋がった敗因の大きな要素のひとつだったような気もします。
さらに2番人気のダッシャーゴーゴーは、関係者が最高の仕上げと自信をのぞかせていましたが、馬体重はまた4K増えて534K。そして逃げたヘッドライナーを追って2番手に付けたまでは良かったのですが、絶好のコンディションの馬場で13番枠。この外枠が結果的にも大きな痛手となりました。しかも、直線早めに先頭という形で、直後で展開していた勝ち馬のキンシャサノキセキの格好の餌食になりました。
ジョーカプチーノがポンと主導権を取り、ダッシャーゴーゴーがもう少し内枠であったら、結末はどう変わっていたのか、微妙なところです。同様に、ワンカラットのケースも同様です。15番枠は余りにも致命的過ぎました。
また、このレースで2着、3着に追い込んできたサンカルロにアーバニティ。インコースから直線鋭く反応。ともに印を付けていたのですが、枠順と吉田豊、四位騎手の判断が大きく貢献したような気もします。
優勝したキンシャサノキセキは春の一連の重賞で適したレースがないこともあって、この高松宮記念を手土産に引退を宣言。3月いっぱいで登録を抹消されました。GI制覇後に即、引退宣言!あまりにもかっこいい引き際に拍手喝采です。