11月15日、そう、エリザベス女王杯の日曜日、私はウインズ立川でボーゼンと立ちすくんでいました。
この日は、ウインズ立川で「エリザベス女王杯の予想トークショー」。新橋に新しくオープンしたGate Jの出張イベントです。午前中から多くの競馬ファンに来ていただいて、司会、進行の原山実子さんも普段よりも一段と熱が入っていました。
2部の午後は、3時からからのスタートでしたが、スペースにあまりにも多くの競馬ファンが詰めかけている、ということで、担当の係りの方が通れなくなる恐れを心配されて、早めのステージに登場。
東京メインのオーロカップを一通り解説したあと、本題のエイザベス女王杯に突入。映像からはパドック風景が映し出されて、これを私なりに解説。
「ブロードストリートはレコード勝ちしたローズS、鋭く追い込んだ秋華賞。激走が続いたせいか、少し元気がないように見えます。とか、ムードインディゴは減っていた馬体重を戻すのに、中間、重点を置いたのでしょうね。ここを目標に仕上げたという感じはしません。人気のブエナビスタは素晴らしいです。札幌記念のあとローズSをパスして、秋華賞というシフトを組んだことが大正解」と、1頭、1頭を見ながら解説。
そして、私の本命がシャラナヤ。現実に映像を通してパドックで見るのは初めてでしたが、416Kの小柄な馬体ながら非常に落ち着いて、何となく強い馬に見られる風格のような印象を訴えかけてきました。
「華奢な体ですが、前の出、後肢の出が実にスムーズだし、いかにもバネがあるような感じを受けますね。キャリアのわりに落ち着きもある。走ると思いますね」とコメント。この状態を判断して、これは勝ち負けに持ち込めそうだなと、胸の奥でニンマリ。
えー!まさか、まさかの逃走劇!(@_@;)
スタートを切って、予想通り飛び出したのがクィーンスプマンテと、テイエムプリュキュア。この2頭が並ぶようにして行ったものですから、3番手以下の後続は前の2頭は無視。追いかけて巻き込まれるのだけは避けなくちゃ。その思いが後続の馬に跨る騎手の偽らざる心情だったはずです。
例によって圧倒的人気1・6倍のブエナビスタは後方から3番目。2番人気のブロードストリートはブエナビスタの少し前で折り合いに専念。私の◎シャラナヤのルメール騎手は中団の少し前で、後続馬の出方を待っている様子。ほとんどの各馬はブエナビスタのマークで一致団結している様相。こうなると先にネコに鈴を付けに行った馬が不利。最後の最後まで末脚温存だ。それは動くに動けない、金縛りのような状態に置かれたようなものでした。
この異常な展開に気が付いたのが横山典騎手のカワカミプリンセス。そして、それを追ったブエナビスタ。3角で好位置、4角では外から3番手。いつもに比べると早すぎる仕掛け。それでも、前を行く2頭は遥か先。懸命に追いかけるブエナビスタ。そして遅れまいと後続グループ。そのなかにシャラナヤもいました。
ラスト32秒9の際立つ豪脚で猛追したものの届かず3着。先行したクィーンスプマンテとテイエムプリキュアが1、2着。衝撃の先行馬同士の決着。してやったり、というのか、夢じゃないのか、といった表情にも見えた田中博騎手。初GI制覇でした。
それにしても、1、2着馬よりもラスト3ハロンが4秒も速い時計で走っているのに、捉まえ切れなかったブエナビスタ。いかに無視して離れすぎてしまったか、後悔の安藤勝騎手もショックだったはずです。
ちなみに、勝ちタイムが2分13秒6で、前半の5ハロンが60秒5、2,000m通過が2分0秒7。平均ペースで進み、昨年のリトルアマポーラの2分12秒1の勝ちタイムより1秒5も遅かったのです。スローで流れた一昨年のダイワスカーレットが逃げ切ったときが2分11秒9。要するに、1、2着馬はいつもの力だけを走っているのに、後ろが消極的すぎて付いて来なかっただけ、ということなのでしょう。
また、クィーンスプマンテにとっては、2番手で後続を幻惑してくれたテイエムプリキュアの存在も大きかったはずです。彼女がいたからペースを極端に落とさず、後続馬との差も広げる逃げが打てたのだと思います。
それにしても、3連単の150万余円は意外につかなかったですねー。500万以上の配当だろう、と考えたものですから。となると、この展開を読んで3連単を購入したファンの方が、思ったよりも多かった・・ということですかね。これも驚きでした。
ある競馬ファンは結果に納得できなかったのか「こんなのってありかよ。責任者でてこーい、って言ってやりたいよ」と、悔しさを吐き捨てていました。