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時代はオウケンブルースリだが東西制覇の音無調教師も凄いぞー!!

0910151_2  音無調教師は凄い人だ。あの朴訥(ぼくとつ)とした風貌。四角い顔にめがね。鼻の穴を大きくしながら坦々と、それでいて理路整然とコメントする姿勢は、報道陣からも大変評判のいい調教師です。
 その音無師が手がける愛馬オウケンブルースリが京都大賞典を優勝。3月の阪神大賞典以来、半年余りの実戦。しかも、59Kを背負い、いきなり高速馬場。3番人気とはいえ簡単に成しえるものではありません。
 後方から2番手。流れをうまく読んだ内田博コンビ。トーホウアラン、ジャガーメイルを前に見て末脚を温存。直線中ほどで力強くグイグイ伸びて完勝。2分24秒3も自己ベスト。トモのあたりがドッシリとして、一段と迫力が増した印象。競走馬が成長するということは、ああ、こうなんだな、ということをオウケンブルースリはアピールしていました。時を同じくして、東京では老雄カンパニーがウオッカを破り嬉しい毎日王冠優勝。宝塚記念以来の休養明け。音無マジックで東西重賞制覇。見事な“音無デー”を、見せつけられた印象です。
 ただ、オウケンブルースリは半年余りの休養明けで、いきなりこの高速決着で力走を強いられたことで、次なるGIの天皇賞?は、大丈夫か、という不安もあります。いわゆる2走ボケ。この壁を乗り越えると、ジャパンC、有馬記念と、年度代表馬の有力候補として王道をまっしぐらでしょう。
 ところで、京都大賞典での本命はスマートギア。今回は武豊騎手ではなく福永騎手にバトンでしたが、直線で最後方から大外一気に追い込んで、惜しくも届かず2着。高速決着でメンバー中最速のラスト33秒8の豪脚を見せましたが、さすがに開幕週の馬場。離れた最後方からでは物理的にも無理だったのかも知れません。天皇賞出走には賞金的に勝つことが条件。東京コースの天皇賞向きと考えていた馬なので、この2着はなんとも運命を感じてしまいます。

毎日王冠からウオッカのピークは過ぎた! 忍び寄る能力減退という説!!

 単勝人気1・3倍。負けられない不動の1番人気に推されたご存知、女傑・ウオッカ。東京コース専用のシフトで、今秋も毎日王冠から発進。ここから天皇賞、ジャパンCへと駒を進める予定で、まず仕上げに狂いはない、と思われたのですが、それがまさかの敗退。カンパニーに中団からラスト33秒0の脚を使われて、見事に差し切られる完敗。
 「他に行く馬がいなかったから自然と逃げる形になった」とウオッカの武豊騎手。これはこれで間違いではなかったはずです。前半5ハロン通過が60秒ジャスト。開幕週の芝1,800mで、古馬陣を代表するウオッカが出て、この流れは超スローと言ってもいいペース。それゆえ、楽々、主導権を取り、きっちりと経済コースを走ってきたウオッカの勝利を、スタンドのファンは疑わなかったはずでした。
 しかしながら、昨年の毎日王冠も同じようなペースで逃げたウオッカが、スーパーホーネットに、頭だけ差し込まれて2着。昨年はこのあと天皇賞で、同期でライバルのダイワスカーレットと鼻差の歴史的大激戦。見事に栄光の盾を手にしたのですが、同じ毎日王冠2着でも昨年と今年では、その中身が異なるのです。
 というのも、まずタイム差が違いすぎます。昨年は1分44秒6で、ラストが33秒8。今年は1分45秒5で、ラストが33秒8。約1秒も今年のほうが遅いのです。
一方で、優勝したカンパニーは1分45秒3で、ラストが33秒0。昨年のカンパニーは1分45秒1で、ラスト33秒2。時計的にも昨年と同じレベルで走っているのです。8歳馬が過去10年で優勝はおろか連対もなし。
 同様に3着に2年前の、鳴尾記念で優勝し、以後、1度も馬券の対象になっていなかった8歳馬ハイアーゲーム。今回もブービー人気で5着も無理と、思われていたのですが衝撃の3着力走。つまり、ウオッカはこれら8歳馬の間に入って2着。このことを踏まえて、ウオッカを考えるときに、誰かが言っていた“能力減退説”が、ことさら信憑性を増してきます。となると、来る3週後の天皇賞は…。全幅の信頼の置けない1番人気馬になる可能性もあります。
 私は、今回の毎日王冠でナムラクレセント◎を打ちました。ここ2連勝の内容がすこぶる良いこと。昨秋の菊花賞3着、阪神大賞典3着の実績。そのときよりも、はるかに充実して、6、7月の充電がうまく実を結んだことに、目を細めていました。大きなスライドから繰り出すパワーは、良馬場の東京でフルに生きると推測して本命でした。
 ところが、小牧太騎手は大きな失敗をしたのです。ウオッカの2番手でガッチリとマーク。これはこれでいいとしても、大事に乗りすぎるあまり、後続がどっと押し寄せてからヨーイドン。ナムラクレセントは大とびで全開までに、他の馬よりもいくらか時間的にズレがあり、反応が遅くなってしまうのです。それゆえ、またゴール前で盛り返してハイアーゲームを捉えそうな勢いで4着。直線に入ったらウオッカに並びかけ、抜き去る強気の気持ちに出ないと、最高のパフォーマンスは見せられなかった、と考えています。このあたりの長短所は、小牧太騎手も理解していたと思っていたのですが…。距離が延びたほうがいいタイプで、距離延長の天皇賞はいいはずです。ただし、今回の4着で賞金加算ができず、天皇賞出走がかなり微妙になってしまいました。