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Archive for 競馬

 強運・開運!ツキを呼び込む“コパ”GI旋風

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     驚きました!なにもかも驚きました!GI「高松宮記念」です。トップレベルが争う芝1200mのスピード競馬の頂点。高松宮記念のレコードは1分7秒1。中京のコースレコードが1分8秒0。これはマジンプロスパーが叩き出したものです。

 ところが、ところがです。今年の結果は、なんと1分12秒2というダート並みの時計。これほどのぬかるんだ田んぼのような優勝タイムを誰が予想したでしょうか。

 馬場は前日の夜半からの雨。日曜の朝になっても降りしきる雨。馬場はダート芝とも不良馬場。

 「フランシーヌの場合はあまりにもおバカさん。3月30日の日曜日、パリの朝に燃えた命ひとつフランシーヌ」と、1969年に大ヒットした学生運動出身、新谷のり子さんが歌った「フランシーヌの場合」。カレンダーを見ながらなにげに口ずさみ、そこで、はた、と考え込んだのです。この歌は確かベトナム戦争や、アフリカのビアフラの戦争で200万人ともいわれる餓死者に抗議して、パリで焼身自殺をした学生運動の女学生、フランシーヌ・ルコンテさんを、新谷さんがフォーク調で歌ったものだったな・・。

 待てよ、どうしても逃げねばならないコパノリチャード、ハクサンムーンやレディオブオペラなどが、この雨で、この不良馬場でスピードに乗れなかったらどうなるのだろう?不安は雨が強くなる外を見てはどんどん増幅して行ったのです。

 そういった中で、早朝7時半過ぎに、Dr・コパさんからメール。「桜が咲くと雨が降る、風がなけりゃ花は散らない。桶狭間の戦い。この日のラッキーフードのチキンを食べること。ピンク、黄色、神社仏閣、会食、チキン料理で開運、開運なり~!」とのお達し。

 コパノリチャードの阪急杯の4馬身差は、なかなか出来る芸当ではないぞ!フットワークが小さく、比較的ピッチ走法だから雨は味方、強力な援軍になるかも知れない。これは桶狭間の決戦には大事なこと。と、考えていたら高松宮記念のスタートが切られたのです。雨が上がりうっすらと虹の架け橋が・・。

ゲートが開くや否や、一気に飛び出すスプリンターの精鋭18頭。ところがスタートの上手な快速ハクサンムーンが、1完歩出遅れたのです。各馬横並びの中で、12番ハクサンムーンのゼッケンだけが置かれました。

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 コパノリチャードが一気に行く構えを見せましたが、好スタートのレディオブオペラの外からエーシントップの武幸四郎騎手が押して押して一気に先頭。そして2番手以下をグングン引き離す作戦。中途半端に乗るのなら一気に飛び出して、逃げるだけ逃げてやる、武幸四郎騎手の胸の内だったようです。

 大きく引き離した逃げ作戦。初めての1200mとは思えないスピードの乗り。このエーシントップのダッシュ力で不良馬場なのに、前半3ハロンが34秒5。一昨年、カレンチャンが優勝したときが34秒5で、昨年のロードカナロアのときは34秒3。過去2年の良馬場とほとんど変わらないスピードを披露するエーシントップ。

 内の2番手がコパノリチャードで外にはレディオブオペラ。そして好位内にマジンプロスパーで外にスマートオリオン。マヤノリュウジンがいて、その直後にはインにリアルインパクト、外にスノードラゴン。サクラゴスペルと外のガルボは中団。さらに直後の内にはレッドオーヴァル、外にスタートが痛かったハクサンムーン。そしてサンカルロ、インプレスウィナーが最後方グループ。

 グングンと加速して逃げるエーシントップ。4ハロン目が46秒4。そこでも大きなリード。2番手のコパノリチャードは4角で2番手。後続の各馬が外に大きく広がる中で、後方からはまだ追撃の勢いが見られません。

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 おお、これはエーシントップの逃げ切りか、という思いが過りましたが、2番手のコパノリチャードが、ギアチェンジして猛然とエーシントップに迫ります。馬場中央からスマートリオン、その外にマヤノリュウジン。そして外から1番人気のストレイトガール、そのまた外にはスノードラゴン。

 エーシントップを捉えて一気にゴールを目指すコパノリチャード。その勢いは断然でした。1馬身2馬身と差を広げて行きます。大外のスノードラゴンの脚色が良く、ストレイトガールに競り勝って一気に2番手に進出。

 結局、コパノリチャードが後続に3馬身差。圧倒的な強さで文句なしの優勝。初めてのGI制覇となりました。

 不良馬場という悪条件を、逆に味方につけたコパノリチャード。良馬場だったらどうなのか、宿題を残したまま秋のスプリンターズSで答えは持ち越しとなりましたが、なんとも強運なコパノリチャードではありました。

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 2着に道悪が後押しとなったかスノードラゴン。不良馬場が不運だった3着ストレイトガール。出遅れと道悪がマイナスだったハクサンムーンが追い込んで5着。それはそれで収穫でしたが、私の目には初めての1200mで大きなリードを取り、逃げまくって4着に頑張ったエーシントップの健闘ぶりが光りました。不良馬場で34秒5-46秒4のスピードは素晴らしいです。

 2度目の芝1200mで注目していたリアルインパクトは想像以上に道悪が下手。不完全燃焼の9着でした。

ところで、驚きました。前記したように、この日のラッキーカラーは、ピンクと黄色と、コパさんは指定。スノードラゴンがピンク。ストレイトガールが黄色。コパノリチャードからで、赤→ピンク→黄色で入線。いやあ、コパさん驚きました!開運なり~ですね!!

 空にはコパノリチャードの快走を祝福するかのような虹のアーチ!いやあ、驚きました!(^^♪

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何に目覚めたのか!ゴールドシップという過去ある馬!!

     ある騎手が一点をじっと見つめていました。中山競馬場の最終レース終了後でした。検量室の中に陣取って、わき目も振らず、ただモニターを見つめる彼のその姿の先に、映し出されている映像は阪神大賞典でした。

 その阪神大賞典は1.7倍という断然の人気に支持された、この日の主役であるゴールドシップ。有馬記念3着以来の登板でしたが、昨年は悠々と後続をちぎり捨てた阪神大賞典。季節、距離そしてコース。再び復活の地に辿りつき、宝塚記念以来の優勝を手にできるのか、期待感は高まっていたのでした。

 昨秋は京都大賞典でまさかの5着敗退。2戦目のジャパンCでは驚きの15着と初めての大敗。どうした、ゴールドシップ!という悲鳴が聞こえてきそうでした。

 そして、有馬記念を迎えて根強いファンの声援もあってか、オルフェーヴルの3着。ようやくゴールドシップらしい一旦を垣間見せてくれたのです。

 その有馬記念から3ヶ月ぶりの登板。ふっくらした馬体。春の日差しを浴びて、いかにも気持ち良さそうにパドックを周回するゴールドシップ。入念に乗り込んで仕上げてきた復活ゴールドシップを目指すスタッフの願いが、まさしく伝わったかのようでした。

 菊花賞2着、日経新春杯優勝の勢いに乗る4歳馬サトノノブレス。そして、京都大賞典、ジャパンCでゴールドシップに先着したアドマイヤラクティ。菊花賞3着のバンデ。GI馬こそゴールドシップ以外はいないものの今年の長距離戦での期待株が集結。

 私は一人旅の逃げが打てるバンデに期待しました。菊花賞で本命。近年に見られないステイヤータイプの逃げ馬と判断。二枚腰のラストスパートに惹かれたのでした。

 おそらく、この阪神大賞典は顔触れから超スロー。楽に一人旅が打てるバンデにとっては願ってもない展開だと思えたのです。

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 ところが、ゴールドシップに今回から騎乗することになった岩田騎手は、昨夏の函館、積丹特別で騎乗して、バンデのしぶとさをよく理解していたのです。そのことが、ある意味で一転したゴールドシップの作戦に繋がったと見ています。

 予測通りポンと飛び出したバンデ。これを仕掛けて内から2番手に進出したゴールドシップ。なんと後方待機のゴールドシップが2番手の先行策なのです。スタートで仕掛けたこともあって、ゴールドシップはかかり気味。岩田騎手が手綱を懸命に引いて、やや立ち上がる格好。脚が前のブレーキを踏むようにピーンと張っています。

 2番人気のサトノノブレスが後方グループ。アドマイヤラクティが5番手で、ヒットザターゲットはポツンと最後方。早くも縦一列の棒状の展開。1週目の4コーナーでバンデが2番手のゴールドシップを離し気味に行きます。3、4番手は距離を意識して離され気味。

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 1000mが63秒2、2000mは2分6秒3。超スローの展開です。逃げるバンデ、そして2番手のゴールドシップ。追走するアドマイヤラクティ、サトノノブレスは中団から後方。かかり気味だったゴールドシップが、ようやくおさまったのが2週目の3角過ぎ。

 2400m通過が2分31秒6。離して逃げバンデにとっては願ってもない形に持ち込めたのですが、誤算は直後にバンデがピッタリと控えていることでした。

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 4角手前からペースが11秒台とギアチェンジしたあたりから、ゴールドシップがなんとバンデを捉えに出たのです。

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 そして4角で並びかけ、一気に先頭に立ちます。これを見て後続も接近。突き抜けるゴールドシップ。懸命に落ちた2番手から盛り返そうとするバンデ。その外に並びかけるアドマイヤラクティ。この2頭の叩き合いはともに一歩も譲らないままで馬体を併せたままゴールイン。それから6馬身遅れてサトノノブレスが4着でゴール板前を通過して行きました。

 優勝したゴールドシップは余裕綽々の3馬身半差。首差でバンデを抑えたアドマイヤラクティが2着。

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 強いゴールドシップが蘇ってきた阪神大賞典。まさに復活走そのものでした。これで阪神は5戦4勝2着1回と抜群の相性度。昨春の天皇賞は1番人気で5着。京都大賞典のこともあり、課題は京都コースなのかも知れません。

 バンデはまたしても重賞3着。賞金を加算することができず、天皇賞出走が賞金的に微妙です。

 ゴールドシップの快走をひとり黙ったまま見つめていた内田博騎手。3歳時から長い間コンビを組んでいた彼の心中に去来するものはなにか。ゴールドシップという馬を一番理解していた内田博騎手の思いは・・。本当のところは彼以外の誰にもわからないと思われます。