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今年も函館記念で1番人気が惨敗したある法則とは…

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 函館競馬の目玉の一戦、「函館記念」が行われました。真夏の重賞で、かつハンデ戦ということからか1番人気が過去6年も勝っていないのです。ここ2年は馬券の対象にすらなっていないのです。

 さて、注目の今年の1番人気はエアソミュール。鳴尾記念4着→巴賞1着。上げ潮ムードでした。といっても、これはあくまで外見上のこと。私には一抹の不安があったのです。

 それというのも、直前の巴賞で、半マイルが46秒8という緩みない流れの中で好位置をキープ。力でねじ伏せようと強気に出て、後方待機から肉迫してきた1番人気のサトノギャラントを撃沈。作戦が功を奏して圧勝劇でした。

 巴賞の時計が芝1800m=1分46秒0。タイレコードの力走劇。このタイムには正直ビックリでした。そもそも巴賞の勝ちタイムが、過去10年でズバ抜けて速かったときが4年前のマンハッタンスカイ。そのときが1分47秒5でしたから、今年はそのときを1秒5も短縮する衝撃の高速決着。これで中1週から臨む強行軍スケジュールの函館記念は大丈夫か、反動は、疲れはないのか?と考えました。

 騎乗した和田騎手は「状態は栗東で前に乗ったときと変わらずいいですね」と、具合の良さをアピール。ところが、具合がいいとか、前走以上だ、というのは、おおよその見当で、前走の成績のいい馬に、調子がいいとはとても思えない、何かピンとこない等、騎乗依頼されたジョッキーが、意向に反するコメントはしないのが礼儀。まして、馬の体調の隅々まで関係者といえどもわからない、というのが私の持論。

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 レコードで走れば当然ながら細胞の破壊が起きて、それを補う新たな細胞が生まれる前に走らせると、結果はおのずと悪い結果が見えてくるというのも私の考えなのです。今回のエアソミュールはまさにそれでした。

 おそらく、今年の函館記念のペースメーカーは、先手が取れないと持ち味が出ないモズだろう、そのあとにトウケイヘイロー。鳴尾記念のように2番手から早めの抜け出し作に出て来るはずだ、と推察していました。

 ところが、モズが14番枠で、トウケイヘイローが8番枠だったので、好スタートを決めた武豊騎手は躊躇なく主導権。仕方なくモズが2番手。内からアンコイルドと、コスモラピュタ。トウカイパラダイスがこれらの直後で手応え抜群。中団の内にネオブラックダイヤ。その外にエアソミュールがいて、アスカクリチャンがまた外に並んで行きます。その後にはサトノギャラントにメイショウウズシオ。

 半マイルが46秒7、1000m通過は58秒8。緩みない流れで、各馬はダンゴ状態で固まって展開。3角でトウケイヘイローの内をピッタリとアンコイルドが追走。仕掛けの機を窺っています。トウカイパラダイスもジワジワと進出。その後ろにエアソミュールで、これを外からまわりながらマークしている感じのサトノギャラント。アスカクリチャンがうまくインにもぐりこんで末脚を温存。

 直線に入り益々快調のトウケイヘイローがモズを振り切り先頭。アンコイルドがこれを追いかけます。一旦、下がりかけたアスカクリチャンが猛然と最内に進路。一方で、外をまわりながらサトノギャラントが急追。トウカイパラダイスは4角でバッチリの手応えながら、外からサトノギャラントに抜かれると、切れのある迫力が消えてしまいました。

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 先頭のトウケイヘイローは二の足で再加速。一旦、直線で並びかけたアンコイルドを突き放す形で圧勝。アンコイルドが内から強襲したアスカクリチャン、外のサトノギャラントの追い込みを封じて懸命に2着を確保。

 エアソミュールは3角で手が動き出し、直線はバタバタと息切れしてしまいました。和田騎手は「前走とは流れが違ったので、ハミが抜けず苦労しました。それが敗因のすべてです」結果は10着と惨敗。

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 またトウカイパラダイスは一息入っていたぶんだと思いますが、追い出してから意外に反応してくれませんでした。残念です。

おお!これはこれは1番人気が圧勝した七夕賞という歴史的な激戦区!!

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 11番人気のドモナラズに続き7番人気のイタリアンレッドが1着。さらに昨年が14番人気のアスカクリチャンが優勝。一般の重賞レースと違って、その波乱度の破壊力はケタ違いの夏の重賞「七夕賞」。ハンデ戦ということもあり、大変難解な一戦でもあるのですが、今年はなんと1番人気に推された柴田大騎手騎乗のマイネルラクリマが、アッサリと後続に2馬身半差。まさに驚きの圧勝劇でした。

 1分58秒9の時計は過去10年で最速タイム。一昨年の京都金杯以来の重賞2勝目を達成。抜群のスタートで好位置の3、4番手を確保。ラッキーバニラとケイアイドウソジンの先行争いを直前に見て、懸命に手綱を抑えるマイネルラクリマの柴田大騎手。

 「具合が良すぎたのでしょうね、考えたよりも前に行ってしまいました。だからなだめるのに苦労しましたよ」と、柴田大騎手。

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 3コーナー過ぎには我慢できないとばかりに先行2頭の外に並んでいきます。そして4コーナーでは先行2頭をアッサリ見切って、自ら先頭で直線に向って行きました。その外にはUAE帰りの休養明けトレイルブレイザーと、3番人気のエクスペディションがマイネルラクリマに並びかけてきます。大外から一気に進出したマックスドリーマー。

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 「4コーナーで先頭に立ったときに、グッとハミを取ってくれたんですよ。これでどうにか押し切ってくれるのではと思いましたね」と柴田大騎手。

 マイネルラクリマとトレイルブレイザーの叩き合いに、エクスペディションが脱落気味の脚色。それに変わって外からマックスドリームと、その外にダコールが押し上げてきました。それでもマイネルラクリマの脚色は快調。外のトレイルブレイザーを二段掛けで一気に突き放し勝利を確定。

 懸命に2番手を死守しようと頑張るトレイルブレイザーをインから強襲してきたタガノエルシコ、外のマックスドリーム、ダコールなどが接近してゴールイン。とはいえ優勝したマイネルラクリマは別格の強さ。ちなみに、2着のトレイルブレイザーから11着のナリタクリスタルまで0秒5差という大激戦。

昨秋の米国G1ブリーダーズC4着で、レイティングが断然上位のトレイルブレイザーの7番人気にもある意味で驚きましたが、新潟記念連覇、中京記念優勝のローカルの2000mに一段の強さを見せているナリタクリスタルの9番人気にも驚かされました。

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 逆に私の推したユニバーサルバンクが4番人気で14着。これは正直、意外でした。当日の馬体、気配は上々。位置取りも動きもいい感じのように見受けられたのですが、勝負どころで内と外からワーっと来られて、囲まれる形になったときに闘争本能が急激に減退したようにズルズルと後退。

吉田豊騎手は「4コーナーの手前のところで、みんなが動いたときに体勢が悪くなってしまいました。あそこをうまくついて行けたら、もっと頑張れたはずです」と、申し訳なさそうな表情で汗を拭っていました。案外、ゆったりと行けるコースのほうが向いているのかも知れません。

このあともサマーシリーズが続きますが、記録的な猛暑が今年は7月上旬から襲来。人も含めて競走馬にも大きな負担となりそうな気がしています。