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勝者を上回るパフォーマンスで話題をさらった強き敗者!!

   ポンと主導権を取って果敢に飛ばして、後続が追いかけて来なかったら、果たしてどうなるのだろう。この素朴な疑問を実践して見せた馬がいます。それも「天皇賞」(秋)という大舞台でのこと。

戦前から「逃げ宣言」をしていたパンサラッサ。7番人気と気楽さもあったのか、思い切りのよい大逃げ。2コーナーで外からノースブリッジが掛かり気味に馬体を併せて来ると、吉田豊騎手の手綱が動きエンジンが始動。一気にスピードアップ。1000m通過が57秒4。マイル戦並みのペースです。3コーナーでは後続の先頭にいたバビットとの差が15馬身以上。その外にノースブリッジ。そこには3番人気ジャックドールもいます。

2番人気の昨年のダービー馬シャフリヤールも虎視眈々。内ピッタリに掛かり気味のマリアエレーナ。直後にカラテと皐月賞馬ジオグリフ。

中団の後方に1番人気のイクイノックス。それを背後でマークするダノンベルーガ(4番人気)、そして後方に構えたポタジェ。

そして4コーナーでも後続との差が大きく開いたパンサラッサの逃げ。1600m通過が1分32秒4。まさに暴走気味のペース。それでも逃げるパンサラッサの真骨頂はここから。直線入り口で2番手に進出したジャックドールの藤岡祐騎手が、これはマズいと見て追い出しにかかります。そしてイクノイックスとダノンベルーガが前を追いかけにかかりました。

ゴールまであと200m。まだ後続との差が10馬身近くあるパンサラッサの踏ん張り。1800m通過が1分44秒8。今年の毎日王冠を制したサリオスが1分44秒1。高速決着です。

いよいよゴールが迫って来ました。まだ後続とのリードを保つパンサラッサの粘り腰。そのとき外から猛然とイクノイックス。内から鋭く伸びるダノンベルーガ。その間がジャックドール。

押し切れるかパンサラッサの懸命の最後の踏ん張り。鋭く迫るイクノイックスとダノンベルーガ。

結果はイクノイックスの末脚が上回りパンサラッサを寸前で捉えました。その差が1馬身。健闘空しくパンサラッサは2着。クビ差でダノンベルーガが3着。半馬身差でジャックドール。2馬身開いてシャフリヤールが5着。

今年のGIレースは1番人気が全て敗退。イクノイックスがようやくそのピリオドを打ちました。昨年のエフフォーリアに続いて3歳馬が優勝。それもイクノイックスと同様にダービー2着馬。

それにしても、敗れたとはいえパンサラッサの逃げ足が衆目の的。相手かまわず行くままに大逃げ。明らかにオーバーペースなのに周りのざわめきなどはどこ吹く風。これがパンサラッサ流だとばかりの大胆な逃げ。記録的なラップを刻みながら長い直線の驚きの粘り腰。結果は2着に敗れたとは言え、胸を高鳴らせたパンサラッサに、勝者イクノイックスに、劣らぬ大きな拍手が場内から送られていました。

  ファンの間では敗者ながら強烈なパフォーマンスを見せたパンサラッサの話題で持ちきり。後世に語り継がれる一戦でした。

マイル戦並みの流れを正攻法!レコ勝ちを決めた強いヤツ!!

皐月賞馬、ダービー1、2着馬が見合わせた阪神での「菊花賞」。様相は混とんとしていましたが、ダービー3着のアスクビクターモア(2番人気)が、正攻法から直線入り口でロングスパートを仕掛け、急追する後続を振り切って夢のクラシック初制覇!皐月賞、ダービーで手の届かなかった悔しさを、最後の3冠目で栄冠を掴み取りました。それもレコード勝ち。

  スタートと同時にセイウンハーデスがブリンカー効果もあって、一気に飛び出し、後続を置き去りに大逃げを仕掛けます。これで展開が激変しました。なんと1000m通過が58秒7、マイル戦並みの速いペースで展開していきます。

  離れた2番手にアスクビクターモア。1番人気の最内枠ガイアフォースは中団内の少し前の位置をキープ。やや掛かり気味の追走。その外にいるのがジャスティンパレス(4番人気)、プラダリア、大外枠のセレシオンも同じように中団待機。

  そして、後方の前方の位置には3番人気のドゥラドーレス。最後方の一団にヤマニンゼスト、出遅れたヴェローナシチー、ボルドグフーシュ、シホノスペランツァが待機。

  大逃げを打ったセイウンハーデスが2000m通過を2分1秒4。驚きの速いペースで展開して行きます。

  そこで、離れた2番手で様子を見ていたアスクビクターモアが、後続に脚を使わせる作戦か、3コーナー過ぎに仕掛けてセイウンハーデスを捉えに行きます。意表を突かれた後続は置かれ気味。そして4コーナーをまわると後続を離す形で先頭。

  馬場の中央からジャスティンパレス、その外から迫るボルドグフーシュ。背後のドゥラドーレスは伸び脚が今一息。

 

  先頭はアスクビクターモア。外からジャスティンパレスとボルドグフーシュが強襲。アスクビクターモアにボルドグフーシュが並びかけたところがゴール。それはまさしく運命のゴールでした。

  辛くもハナ差で押し切ったアスクビクターモア。速いペースを正攻法で押し切ったスタミナ。そして3分2秒4のレコード。頭が下がる思いです。

  個人的にはダービー(7番人気)で本命に推した馬でしたが、ようやく花開いた印象です。

  関東馬による2年連続(タイトルホルダー優勝)の菊花賞制覇は実に30年ぶり。またアスクビクターモアの父、ディープインパクト産駒のGI制覇は30勝目。凄い記録となりました。