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オークスの圧勝は伊達ではなかった2冠奪取マンボの一撃!!

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 優勝馬がネコ目のようにクルクルと変わった今年の3歳牝馬戦線。直前のトライアル・ローズSも雨が激しく降るなかでの重馬場での争い。なんとも本番を前にして風雲急を告げるムードでした。

 そんな中で1番人気はローズSの優勝馬、オークス2着のデニムアンドルビーと、別路線から条件戦とはいえ衝撃的な勝ち方をしてきた、上がり馬のスマートレイアーが激しく1番人気を争う形。

 結局、実績からデニムアンドルビーが主役の座をゲット。が、私の目には道悪のローズSで目一杯の競馬をし、中3週で迎えた本番の秋華賞。疲労残りがどうしても脳裏から離れませんでした。

 で、私はこう考えたのです。オークスでデニムに3馬身以上の差をつけて優勝したメイショウマンボの地力上位は明らか。あん上の武幸四郎Jさえミスしなかったら春の既成勢力の中では一枚上だろう。オークス2着のエバーブロッサムは関西と関東を2回も短期間に往復。この不利は痛い。既成勢力でメイショウマンボに続くのは、やはりデニムアンドルビーしかいない。

 もし、そのメイショウマンボを破るとすると、スマートレイアーが最有力だけど、不気味な馬がティアーモ。ときめく胸を抑えながら、私は伏兵のティアーモに大きな期待を寄せたのでした。オークス以来の実戦だった西海賞で好位から突き抜けて圧勝。キャリア2戦で臨んだオークスが好位で頑張り見どころ十分の6着。秋華賞を勝つ下地は十分なものがあると、考えたのでした。

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 ダッシュ一番、大外からビーナストリックが飛び出して主導権を難なく取ります。2番手に進出したセキショウをグングン離しにかかるビーナストリック。離れた2番手にセキヒョウでその外からノボリディアーナ。その内にティアーモがいて、その後ろにウリウリとローブティサージュ。中団の内にリラコサージュでその直後の外にメイショウマンボ。これをマークする形で、エバーブロッサムがいて、すぐ直後にはデニムアンドルビー。そして、出負けしたスマートレイアーがデニムをマークする形で、直後のインで追走。

 前半の3ハロンが34秒4。半マイルが46秒6で、1000m通過が58秒9。私が考えていたよりも、かなり速いペースで展開していきます。

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 勝負どころの3コーナーでもペースが落ちる気配がなく、ビーナストリックに変わって早めに先頭に立ちたいと願うセキヒョウ。この2頭が後続を離して飛ばします。3番手にノボリディアーナで、そこから少し離れて内にティアーモ。さらに離れてウリウリとローブティサージュ。このとき外からジンワリと進出してきたのがメイショウマンボ。それを見て手綱をシゴいてデニムアンドルビー。その内にはエバーブロッサム。その後ろにリラコサージュ。さらにその後ろには直線勝負に賭けたスマートレイアー。

さあ、4コーナーを回って、内外に広がる京都外回りならではの光景が目に飛び込んできます。

 直線に入って2番手のセキショウが先頭に立ち、好位置にいた馬も差を詰めてきましたが、4コーナーで外に出したメイショウマンボの脚色が目立ちます。続いて橙色の帽子2頭、内にリラコサージュと外のデニムアンドルビーが懸命に前を追います。

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 ゴール前で突き抜けたメイショウマンボ。優勝は当確。2着争いは大外から矢のように一気に伸びてきたのがスマートレイアー。リラコサージュとデニムアンドルビーに並びかけて交わしたところがゴールでした。

 ステッキを持った左手を高々と上げ、ガッツポーズの武幸四郎・メイショウマンボ。スタンドを埋めたファンからは武兄弟のGIのワン・ツーに歓喜の大歓声。これはこれでドラマチックな秋華賞でした。

究極のラスト“33秒3”にEフラッシュの閃光!

 天皇賞を直前にして重要なステップ・レースが「毎日王冠」。中距離を代表する古馬陣が東京に集結しました。

 そのなかで人気を集めたのがショウナンマイティ。大阪杯で優勝した王者オルフェーヴルに半馬身差まで肉薄した末脚。この強烈なGI級のパンチ力で、前走の安田記念では初めてのマイル戦にもかかわらず優勝したロードカナロアに首差の大接戦。それゆえ毎日王冠で人気の中心に推されてもなんら不思議はありませんでした。

 とはいえ、スローペースが予測される展開で、後方一気の極端な競馬で届くのかどうか。あるいは本番を直後に控え、安田記念以来の実戦で本当に大丈夫なのか、不安の声も少なくはありませでした。

 そういった中にあって、優勝したのがエイシンフラッシュ。3年前のダービー馬、昨秋の天皇賞馬でもあります。今回は4月の香港遠征以来の実戦。天皇賞連覇を狙って今回の毎日王冠は叩き台ではないだろうか?私はそんな予感が脳裏を過りました。

 スタートでポンと飛び出したクラレント。他が躊躇しているので押し出されるように主導権。2番手にミッキードリーム。その外から仕掛けてレッドスパーダ。少し離れてエイシンフラッシュ。またそこから2馬身くらい差があって内にダークシャドウ、外にボレアス、その外にスタートを五分に出たジャスタウェイ。直後のインにショウナンマイティで、出遅れた2番人気のコディーノが後方で続きます。

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 3コーナーを先頭で回るクラレント。2番手には◎で応援のレッドスパーダ。関屋記念と同じ展開に私自身は内心ほくそ笑んでいたのです。

 前半が35秒5―48秒2。1000ⅿ通過が60秒8で、1200ⅿ通過が1分13秒4と、記録的な超スローペース。ところが、さすがに古馬の重賞です。ラスト3ハロンで俄然ペースアップ。一気に12秒6から11秒1とGI級のステージ。

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 クラレントに並びかけようとするレッドスパーダ。と、そのときでした。先行馬を射程距離に入れて経済コースを走っていた直後のエイシンフラッシュがグイグイと肉薄。直線外からはジャスタウェイ。ショウナンマイティも上位を窺う態勢だったのですが、追い比べでジャスタウェイに先を越されて伸び脚が今一つ。

 ゴール前はクラレント、レッドスパーダの外からエイシンフラッシュがグイと半馬身抜け出し、外から激しく迫ったジャスタウェイを振り切って優勝。ゴール前で4頭並んでの叩き合いは見応え十分。以下、ダークシャドウ、ショウナンマイティ、コディーノの順で入線。

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 それにしても、1分46秒7の時計は、2年前のダークシャドウと並んで過去10年で一番遅いタイム。ゆえにラスト33秒3の凄い瞬発力の決着でしたが、ラスト32秒8のエイシンフラッシュ、ラスト32秒7のジャスタウェイ。まさにGI級の迫力は圧巻でした。

 3週後の天皇賞で再び激突しそうですが、東京の2000ⅿで枠順、馬場コンディションが大きく影響しそうです。