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おお!これはこれは1番人気が圧勝した七夕賞という歴史的な激戦区!!

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 11番人気のドモナラズに続き7番人気のイタリアンレッドが1着。さらに昨年が14番人気のアスカクリチャンが優勝。一般の重賞レースと違って、その波乱度の破壊力はケタ違いの夏の重賞「七夕賞」。ハンデ戦ということもあり、大変難解な一戦でもあるのですが、今年はなんと1番人気に推された柴田大騎手騎乗のマイネルラクリマが、アッサリと後続に2馬身半差。まさに驚きの圧勝劇でした。

 1分58秒9の時計は過去10年で最速タイム。一昨年の京都金杯以来の重賞2勝目を達成。抜群のスタートで好位置の3、4番手を確保。ラッキーバニラとケイアイドウソジンの先行争いを直前に見て、懸命に手綱を抑えるマイネルラクリマの柴田大騎手。

 「具合が良すぎたのでしょうね、考えたよりも前に行ってしまいました。だからなだめるのに苦労しましたよ」と、柴田大騎手。

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 3コーナー過ぎには我慢できないとばかりに先行2頭の外に並んでいきます。そして4コーナーでは先行2頭をアッサリ見切って、自ら先頭で直線に向って行きました。その外にはUAE帰りの休養明けトレイルブレイザーと、3番人気のエクスペディションがマイネルラクリマに並びかけてきます。大外から一気に進出したマックスドリーマー。

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 「4コーナーで先頭に立ったときに、グッとハミを取ってくれたんですよ。これでどうにか押し切ってくれるのではと思いましたね」と柴田大騎手。

 マイネルラクリマとトレイルブレイザーの叩き合いに、エクスペディションが脱落気味の脚色。それに変わって外からマックスドリームと、その外にダコールが押し上げてきました。それでもマイネルラクリマの脚色は快調。外のトレイルブレイザーを二段掛けで一気に突き放し勝利を確定。

 懸命に2番手を死守しようと頑張るトレイルブレイザーをインから強襲してきたタガノエルシコ、外のマックスドリーム、ダコールなどが接近してゴールイン。とはいえ優勝したマイネルラクリマは別格の強さ。ちなみに、2着のトレイルブレイザーから11着のナリタクリスタルまで0秒5差という大激戦。

昨秋の米国G1ブリーダーズC4着で、レイティングが断然上位のトレイルブレイザーの7番人気にもある意味で驚きましたが、新潟記念連覇、中京記念優勝のローカルの2000mに一段の強さを見せているナリタクリスタルの9番人気にも驚かされました。

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 逆に私の推したユニバーサルバンクが4番人気で14着。これは正直、意外でした。当日の馬体、気配は上々。位置取りも動きもいい感じのように見受けられたのですが、勝負どころで内と外からワーっと来られて、囲まれる形になったときに闘争本能が急激に減退したようにズルズルと後退。

吉田豊騎手は「4コーナーの手前のところで、みんなが動いたときに体勢が悪くなってしまいました。あそこをうまくついて行けたら、もっと頑張れたはずです」と、申し訳なさそうな表情で汗を拭っていました。案外、ゆったりと行けるコースのほうが向いているのかも知れません。

このあともサマーシリーズが続きますが、記録的な猛暑が今年は7月上旬から襲来。人も含めて競走馬にも大きな負担となりそうな気がしています。

ゴールへのブラックホールは内側にあったのか、震撼させたインサイド強襲劇!!

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 想像を絶することが起きました。開幕週の福島芝1800m。良馬場で上々のコンディション。そのトリッキーなコース形態からフルゲートの最後方グループでは、よほどペースにでも恵まれない限り、明らかに厳しい競馬を強いられることは必然の理でした。

 「ラジオNIKKEI賞」は一昨年がフレールジャック、昨年がファイナルフォームとマイラー系の強い馬が優勝。今年もその要素が強いという見方が一般的でした。

 GIのNHKマイルCで2番人気に推され、見どころ十分の僅差の5着に頑張ったガイヤースヴェルトが、当然といえば当然の1番人気。距離もダート1800mの新馬戦で楽々7馬身差。毎日杯がキズナの2着。まったく心配ご無用だったのです。しかも、先行して折り合える起用さから福島の舞台は大歓迎。宝塚記念を制して気分上々の内田博騎手を迎えて、ガイヤースヴェルトに頼るファンの気持ちは、ハンデ戦とはいえ他を圧するものがあったように思います。

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 とはいえ、初芝挑戦だった毎日杯で、1600m通過で驚きの1分33秒9という古馬の重賞級のタイムを叩き出し、NHKマイルCでも逃げたコパノリチャードを2番手で追走。ここでも先頭に立った1400m通過が1分20秒7。キャリア3戦の3歳馬にしてみれば極度の疲労が当然ながら蓄積されていたはずです。

これは担当する関係者でもわからない疲労残りのままラジオNIKKEI賞に突き進んできたのでしょう。当初は7月10日に大井競馬場で行われるジャパンダートダービーに出走の意思だったのですが、だいぶ前の段階の下調べで除外される可能性があると知り、ラジオNIKKEI賞に急遽、矛先を向けたのだとか。私の目には、もしかして疲労が残ったまま出走してきたのではないか、という危惧があったのです。

 このガイヤースヴェルトのようなケースは、過去のラジオNIKKEI賞でもGI好走馬がコロコロと敗れていたように、春の蓄積疲労がまだ解消されないままに出走に、踏み切って出走してくるケースが多かったことも事実でした。

 今回は顔ぶれから単騎逃げのナンシーシャインのマイペース。これにガイヤースヴェルト、フラムドグロワールが楽々と好位置をキープ。こういった流れでは最後方から一気差しは難しいだろう、やはり前々で対応できる馬が俄然有利と私は判断。それも開幕週で外枠より内枠。という考え方をベースにチョイスしたのがシャイニープリンセス。NHKマイルCはスタートで挟まれて躓き、直線は大外からゴール前でグイと伸びてきた脚が忘れられませんでした。連勝していた当時は前で対応していたことから、自在の脚があると判断して大きく注目したのです。

 スタートでナンシーシャインが気合をつけて先頭を奪っていきます。好スタートのフラムドグロワール、シャイニープリンスが続きます。アドマイヤドバイ、ダイワストリームが好位グループを形成。その直後の外側にガイヤースヴェルト。内にはカシノピカチュウで、中団の外目には2番人気のインプロヴァイス。そして、最後方グループにはインにケイアイチョウサンがサンブルエミューズなどと待機策。

 前半の半マイルが48秒3、1000m通過は60秒5。予測通り明らかなスローで展開。そして3コーナーでここが勝負どころと判断したのか、フラムドグロワールとシャイニープリンスが、逃げるナンシーシャインに並びかけていきます。後方各馬も前に接近してきましたが、どうもガイヤースヴェルトの動きが良くありません。この遅いペースに「前に行こうと思ったけど行けなかった。3コーナーでも反応しなかったし、直線は脚が出なくて・・」と内田騎手。

 4コーナーでは早くもフラムドグロワールが先頭に立つ構え。一緒にゴーサインを出したはずのすぐ外のシャイニープリンスがとんでもない事態。外に膨らむのを御しようとして和田騎手が自身の身体をインサイドよりにほとんど傾けて、シャイニープリンスをセーブしているのです。

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 各馬もスローで手応えが良かったのか、それぞれが前の馬の外へ外へと広がって行きます。直線の入り口では内から外へ放射状に並んで追い比べ。ここに入れなかったのがガイヤースヴェルト。こうなるとコースロスの差は断然大きく、外をまわった組は壁に当たったように直線で伸びを欠きます。

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 そのときでした。最後方から4角で最内の進路を取り、ラチ沿いを直線勝負にでたケイアイチョウサンがスルスルと前に接近。内側にいるはずの他の馬がほとんどいない、という開幕週の小回りには珍しい光景。そこを利して突き進んだケイアイチョウサンがクビ出たところがゴールでした。

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 フラムドグロワールと外のアドマイヤドバイの叩き合いの外からカシノピカチュウが強襲。2着に食い込み大きな配当。

 優勝したケイアイチョウサンの横山典騎手にしてみれば、自分が乗っていた愛着あるフラムドグロワールを差しきっての優勝。してやったりと言った表情でインタビューにご機嫌で答えていました。

 「息子が向こう(函館)に行っているし、一緒に乗るというのもね・・。それにこの歳だからもう前のように無茶は出来なくなったね。函館に行けば遅くまでドンチャンだもの。あれでは身体が続かないよ。福島は自分の家から通えるからね。身体にはこれが一番ですよ」と、私に語っていた横山典騎手。

 ラジオNIKKEI賞は多分に恵まれたところがあったとはいえ、このラッキーさと判断の良さ。今年の福島は横山典J旋風が楽しみです。

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