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犯人のわかっているミステリーは最悪!アイビスサマーダッシュを平凡なレースにしてしまったのは・・!

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 新潟直線1000m唯一の重賞アイビスサマーダッシュ。直線勝負の5ハロン戦というだけあってスプリント自慢のスプリンターが勢ぞろい。前半から記録的なペースで激しい先行争いが繰り広げられる醍醐味を期待したファンは少なくなかったはずでした。そういう私もその一人。

 できたら前半の3ハロンを31秒台が期待できるかも知れないぞ、という心の囁きに胸が弾む感覚を感じていました。そういえば、3年前のケイティラブは前半31秒8のダッシュ力で逃げ切り勝ち。昨年のハクサンムーンが32秒1で、一昨年のエーブダッチマンが32秒3。非凡なスピードをアピールして見せたのです。

 この型破り、記録破りの猛烈なダッシュ力と、スピードを一番の楽しみにしていた多くのファンにとっては、なんとも落ち着いたサイレント的な結末となってしまったのです。ある意味で、これは私にとって裏切られた思いが残りました。話題の映画で、名優が揃った推理とサスペンス。ところがオープニングと同時に真犯人がわかってしまっているミステリーなんて、裏切り行為に匹敵する最悪な映画なのです。

 前日の土曜日、同じ新潟では芝1000mの閃光特別が行われました。最下級の500万クラスの一戦で、逃げ切った4番人気のパシオンルージュが55秒0で圧勝。このとき前半の3ハロンは33秒1を計時し、余裕で勝ちタイムが55秒0。この比較からアイビスサマーダッシュは53秒台、前半の3ハロンを31秒台も期待できるぞ、考えていたらそれらは見事に期待を裏切られました。

 好ダッシュを利かせて3番人気のフォーエバーマークが飛び出し、1番人気のハクサンムーンが外から2番手に付ける形。同じ脚質のタイプですが、前半は内と外で馬体が離れているため、この2頭にとっては競り合っているというストレスがなく、それはまさにお互い尊重した単騎逃げのような形。

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 この2頭がスイスイと気持ち良く逃げているのに対して、昨年優勝のパドトロワが3番手を確保。ところが59Kを背負っていることもあって、3番手に付けられたことで安堵したのか、前に並びかけて先頭に立とうとする気力が感じられません。これはマズイと、差しの松岡プリンセスメモリーが積極的なレースを展開。あとは内外の馬が一団でごった返し。ヤマニンパピオネも16番枠という好条件下で、3、4番手グループであれば、まあいいかなといった、やはり安堵感が感じられる出方。

 これでは、先行するフォーエバーマーク、ハクサンムーンにとっては願ってもない展開でした。

 前半2ハロンが22秒3、3ハロンは32秒9。1000万クラスでも見られるような流れなのです。しかも、驚いたことに前2頭と3番手以下が少し離れる形。ええっ!そんな馬鹿な!!5ハロン戦ならではの激しい先行争いはどうした?!

 4月の福島、芝1200mの福島民友Cで前半3ハロンを32秒5で飛ばしたアンシェルブルーはどうした?!池添騎手は「今回は脚を溜めながら運びました。そのぶん終いいい脚を使ってくれました」オイオイ、6着でいいんかい!

 同様にヤマニンパピオネの石橋脩騎手も「前半はある程度ついて行けたけど、最後はとまりましたね」とか。ハナを切ってナンボの馬ではなかったのですか。

 同型の馬達が共倒れを気にして消極的な騎乗。オイオイ1000mのJRAの距離では一番短い距離で争う重賞なんだぞ!たとえ結果を得られなくとも、オレの馬が一番速いんだ!くらいの強い気持ちで乗って欲しかったですよ。それが新潟1000mの唯一の重賞、アイビスサマーダッシュの醍醐味なのではないですか!?

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 初めから真犯人のわかっているミステリーほど面白くない!結局、先行したフォーエバーマークとハクサンムーンの争い。ゴール寸前で抜け出したハクサンムーンが優勝。時計が54秒2。ケイティラブ、エーシンヴァーゴウの53秒台には届きませんでした。

 私の◎リトルゲルダはスタートが今ひとつ甘く、直線中程では中団の外くらいの位置。ゴール前でグイと伸び、外から同じように伸びたレオパステルを抑えて3着。この流れの中で良く頑張っていました。

 ちなみに4着だったレオパステルと、前記した前日の閃光特別で優勝したパシオンルージュは55秒0の同タイムでした。

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真夏の中京マイル戦は任せておけ!とばかりにF砲が炸裂!!

 昨年の中京記念で58キロのハンデ頭ながら1番人気に推されたダノンヨーヨーが7着に敗退。直前の安田記念で出遅れて4着。ゴール前の末脚は断然他を圧していたのです。そんな格上の脚がありながら、この敗退は何故なのか、反動か、ハンデ差か、真夏の中京マイル戦での難しさを、まざまざと見せつけてくれた一戦でした。

 その昨年の中京記念で優勝したのがフラガラッハ。最後方を進み、直線勝負に徹して末脚を温存。ラスト34秒台の威力で、ものの見事に直線一気差し。ツボにハマったときの破壊力の凄さをアピールしたものでした。

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 今年のフラガラッハは昨年の2番枠と違い、なんと大外16番枠。この枠順では常に外々をまわって、4コーナーも大外をまわらざるを得ない展開になることは確実。しかも、強力な逃げ馬が不在。後方一気タイプのこの馬では、明らかに不利と感じたのでしたが、勝敗というものは実にドラマチック。そして摩訶不思議なもので、一陣の風のように勝利の女神が訪れることがあります。

 今回のフラガラッハもそれでした。2月の阪急杯で8着。続く六甲Sで10着。そして前走の京王杯スプリングCが16着。まあ、成績からはボロボロのような状態。

 ところが、コースが東京から中京に舞台が変わると、天馬になるというような実録版の大変身を見せたのでした。

 スタートと同時に、一旦、ドナウブルーが行きかけたのですが、外からミッキードリーム、シャイニーホーク。内からワイズリーやフレールジャックが前に出て来ると、内田博騎手のドナウブルーは控えて、押し出される形でフレールジャックが主導権。その外からシャイニーホーク。ドナウブルーとミッキードリームが直後。それを前に見てワイズリーとオセアニアボスがイン。となりにはリルダヴァル。この日、1番人気に推されたランリョウオーが中団の内で機を窺います。外にセイクリッドセブンがいて、アカンサス、サトノパンサーと続き、出負けしたフラガラッハは後方の外をまわる形。

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 3コーナー手前で外からシャイニーホークが並びかけようとすると、先頭に立っていたフレールジャックがズルズルと急減速。そこを難なくドナウブルーが先頭に立ちます。半マイルが47秒2。そして1000m通過が58秒7。明らかにスローペース。

 そして、4コーナーで最内からオセアニアボスが先頭。後ろにランリョウオー。その3頭ぶんの外側にワイズリー、リルダヴァル、ドナウブルー。外のシャイニーホークと放射状に広がる形。セイクリットセブン、ミッキードリームも接近。その外からグイグイとフラガラッハが肉迫してきました。最後方にいたザラストロも一団に追いついて激戦。

 ゴール前のデッドヒートは内からリルダヴァルがしぶとく伸びて、中をドナウブルー、その外にミッキードリーム。大外からフラガラッハ。これらが激しい叩き合い。

 そして、ミッキードリームの外に馬体を併せたフラガラッハ。この2頭が抜け出し、末脚では一枚上のフラガラッハがグイと差し切って、昨年に続き中京記念を見事に制覇。

 最近の凡退が嘘のような快走劇でした。夏の中京、そしてマイル戦が、よほどフラガラッハにはドンピシャなのでしょうか。そしてまた昨年の時計を1秒6も更新してみせました。

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 一方で、1番人気のランリョウオーが10着。初めての重賞ということもあったのですが、同じようなタイプが多いレースでは、少し荷が重かったようです。とはいえ、勝ち馬と0秒6差。3着のリルダヴァルと0秒3差。まだまだ目を離せません。

 ドナウブルーが4着。見せ場は十分でしたが最後の詰めに甘さが出てしまいました。また、この日の馬体が442キロ。ヴィクトリアマイル以来で12キロ増。仕上げに余裕を感じました。

 注目していた10番人気のセイクリットセブンは、団子状態の展開で、終始内と外から包まれる形。そして、ヨーイドンは向かない印象です。

 離れた最後方から大外を回り、7着に押し上げたザラストロ。夏向きのタイプ、新潟2歳Sレコードで優勝。この夏は軽視ができません。

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