過去10年で1番人気馬がことごとく敗退。その優勝馬はゼロ。2着がたった2回で、3着はなし。58K以上を背負ったトップハンデ馬も連対ゼロ。とにかく荒れるということでは定評のある新潟記念。
今年は七夕賞を制したアスカクリチャンに、2着のエクスペディション。そのエクスペディションが折り返し向った小倉記念で圧勝。このとき2着のトーセンラー。そして函館記念を快勝したトランスワープ。そのとき1番人気だったトウカイパラダイス。
一方で休養明けの小倉記念を58Kのトップハンデで3着だった一昨年、さらには昨年の新潟記念優勝馬ナリタクリスタルには3年連続で新潟記念優勝の栄光がかかります。
さて、1番人気に推されたのがトーセンラー。必ず直線追い上げて来る確実性と実績から当然といえば当然。2番人気は小倉記念の2馬身半差が強烈だったかエクスペディション。3番人気は函館記念のトランスワープか、と思ったところ、なんとこれが準オープンに在籍中のステラロッサ。ここ2戦、準オープンで6、3着。それでいてハンデに恵まれず今回は55K。トランスワープと1K差。これは明らかにミス・ハンデだった印象。
4番人気が岩田人気からかスマートシルエット。私もこの馬に◎。4戦3勝と夏の新潟の強さ、前走のNST賞で圧勝した勢い。そしてハンデが53K。有力馬が差し、追い込みタイプがほとんど。そういった展開面での有利さに惹かれたわけです。
5番人気が小倉記念で復調気配だったナリタクリスタル。そして6番人気トウカイパラダイスと続き、なんとトランスワープは7番人気。これはどうしたことか、今年5戦3勝なのに、かなり嫌われた低い評価でした。内田騎手と七夕賞でコンビを組んだアスカクリチャンがコンビ復活にもかかわらず8番人気。
こういうときこそ、なんでそんなに低い評価なのかな・・と思われる馬が一気にやってくるものだ、ということを、過去の波乱の続きの新潟記念が教えてくれていたはずでした。
レースは予想通りに内から赤い帽子のケイアイドウソジンが楽に主導権。好スタートのタッチミーノットの外から18番枠のスマートシルエットが、指定席の2番手を確保。ムスカテール、マイネイサベルなどが好位置をキープ。アスカクリチャンとエクスペディションが中団の内で、その後ろにトーセンラー。そしてステラロッサとナリタクリスタルは後方で展開。
3角では3馬身くらいの差をつけて飛ばすケイアイドウソジン。これをジックリと見て手綱を握る岩田スマートシルエット。その直後の内々を横山タッチミーノット。いつもより積極的な競馬。中間の1000m通過が60秒4。予測通り超スロー。ラスト33秒台の決着は考えた通りでした。
ここで2番手のスマートシルエットは直後のタッチミーノットが仕掛けて出てきそうなので、仕方なく早めにケイアイドウソジンを追いかけるハメになりました。
岩田騎手は「もう少し引き付けて乗りたかった」レース後にコメント。そしてケイアイドウソジン捉まえに出て、そこをタッチミーノットが急接近。内からエクスペディション。スマートシルエットの外にムスカテールも脚を伸ばして並びかけてきます。このとき更に外から満を持したトランスワープが猛追。直線内から鋭く伸びたアスカクリチャンが狭い馬群に突っ込んで、6頭の激しいデットヒート。
ゴール寸前で内のタッチミーノットに寄られたスマートシルエットが、接触され挟まれる感じで岩田騎手がステッキを使えなくなる不利。横並びの一戦から外のトランスワープの脚が他馬を上回りクビ差抜け出て優勝。
審議の対象となったものの2着がタッチミーノット。クビ差でアスカクリチャン。ハナ差でエクスペディション。直線寄られたムスカテールがクビ差5着。同じく不利のあったスマートシルエットがハナ差6着。勝ち馬から6着まで0秒1差の激しい争いでした。
やや残念なゴール前の内容でしたが見応えは十分。レースのラスト3ハロンは33秒1という究極の高速決着。トランスワープが32秒3でした。
昨年のナリタクリスタルが優勝したときよりも1分57秒6で1秒5も速いタイム。ラストも昨年が34秒1だったことから、帰り際にナリタクリスタルの武豊騎手が「去年より相手のレベルが相当上でしたね」と、サバサバした表情で後にして行きました。

昨年の新潟2歳Sを見事制したのがモンストール。2着がジャスタウェイ。ともに新馬を勝ち、2戦目が新潟2歳Sでした。そのときの勝ちタイムが1分33秒8。9年ぶりに1分33秒台の決着。タイレコードでした。ワナが持つレコードと同じ時計でしたが、ラスト3ハロンが、昨年は33秒1だったのに対して、ワナのときは34秒7。競走馬のレベルがアップしているとはいえ、キャリア2戦目で1分33秒8、ラストが32秒7を叩きだしたモンストール。当時、ブログでも書いたのですが、おそらくモンストールはこの後で、その反動がきつくて当分立ち上がれないのではないか、と考えました。
大外から思い切って飛び出した18番のモーニングコール。2番手以下の差をグングン広げていきます。前半の半マイルは46秒9、1000m通過が58秒9。特別速いペースではなかったものの、新潟外回りコース独特のペースが落ちるところがなく、やや縦長で展開する形。
快調に逃げまくったモーニングコールは、さすがに直線中程で力つきると、好位グループの馬も伸び脚がなく、そのとき最内からノウレッジが素晴らしい反応で、ラチ沿いをグングン伸びてきます。同じくインサイドにいたサウンドリアーナがしぶとい脚で食い下がります。そして直線大外から矢のように伸びてきたザラストロ。あっという間に前の2頭に迫り並びかけます。3頭が後続を離し、激しいデットヒート。それでも外のザラストロが最後まで良く伸びて2頭を捉えて優勝。
私は今回の新潟2歳Sは緩い流れになると判断。好位置で展開するクラウンアトラスに着目しました。新潟の新馬戦では好位置で展開し、余裕力十分にラスト33秒9で後続を完封。新潟で勝ち上がったザラストロ、ナンヨーケンゴーを捨ててチョイスしてきた柴田善騎手の手腕に期待したのですが残念です。直線中程で外に出そうとしたときに、その外から寄られ意気消沈したのか急激に減速。最後は柴田善騎手も無理に追わず流し気味にゴール。秋の中山、東京で大変身しても不思議のない1頭です。