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豪雨の中でW調教師がつぶやいた一言は事実だった!

 その日、私はJR新潟駅の某薬局にいました。目薬を買っていたのです。そこへ同じ店で買い物をしていたある調教師とばったり。和田調教師でした。
 よく見ると荷物らしき物がないのです。新聞紙に傘一本。夏とはいえあまりの軽装にビックリ。
「あれ!? 先生、バッグとか荷物は・・?」と、当然ながら私。
「ああ、そんな物はいらないですよ。邪魔になるだけだから・・」と和田師。
「えーっ! ご近所ならわかりますけど、新潟に出張なわけでしょう? ビックリしますよ」
「まあ、私は何も持たない主義のクチだから・・ククク」と訳ありの笑み。
「アベコーさん、早乙女太一クンの舞台では家内ともどもお世話になりました。もう今じゃ、凄いねー。紅白も出ちゃっているし、大変なものですね。あの浅草の大勝館は工事に入りましたか」と、雨がタクシーの窓を強く叩きつける様子を不安そうに見ながら和田師が、振ってきました。
「いえいえ、その節はわざわざありがとうございました。確か先生が奥様と来られたのは昨年の正月公演でしたね。その年の暮れには紅白ですからスーパー出世ですね。ありがとうございました。浅草大勝館は今も工事中ですね。来年の暮れか、再来年の正月くらいにオープンとも聞いています」と私。
「そのときは、また宜しくお願い致します。ところで、この雨は止みそうにもないね」と、懸命に往復するワイパーが、とてもおっつかない雨の量に和田師が深刻な表情。
「本当にそうですね。昼休みにウイナーズサークルでイベントがあるんですよ」と言うと、
「えーっ、これであるの? 大変だー。まあ、そのときだけ止むかも知れないし、頑張って下さい。でも、これだけ降ると、2歳Sのガンズオブナバロンは苦しくなりそうだ。いや本当にキツイよ」と、外の状況を覗き込みながら和田師。
「確かにスピードに恵まれた馬ですし、フットワークが大きいから条件が悪くなりましたね~」と、同調する私。
「やっぱり、アベコーさんもそう思う? あの走りは雨で問題があるよ」他のきゅう舎の馬とはいえ、和田師は研究熱心な方なのです。
 競馬場についてからも雨はますます強く止む気配はなし。和田調教師は4レースのミンナデワンダー(1番人気)の馬装整備の準備などで、検量室方向に足を早めて行きました。

☆新潟に海があるんですか~??

0909111_3  雨は一向に止む気配すらなし。とうとう昼休みに予定されていたイベントは、雨が激しく中止と決定。この日のメイン「新潟2歳S」の検討会で、木下優樹菜さんと愉快なトークを楽しみにしていたのですが、ムムム残念!
 それでも、この日、最終12レース終了後に、パドックで0909112 木下優樹菜、NSTテレビの鈴木秀喜アナウンサー、そして私とトークショーに登場。すっかり雨が上がり、ところどころ青空がのぞく今年ならではの天気。パドック前には彼女のファンがぎっしり。
「今日、優樹菜の本命はセイウンワンダーだったんですよー」というと、大歓声と拍手。
「そういえば、この前のイベントが安田記念。僕と一緒でしたねー。あの時優勝したのはウオッカ。乗っていた騎手は岩田騎手。今日のセイウンワン0909113 ダーも岩田騎手。ご縁がありますねー」と私。
「そうなんですよ。岩田さんも優樹菜のことを覚えてくれていて、嬉しかったです」とニコノコ。
「そういえば、優樹菜さん、新潟といえば傍にはなんという海があるでしょうか?」と私が振ると
「えーっ、マジっすか。新潟には海があるんですか。山ばかりだと思ってた」と言ったと思っていたら
「あっ、わかった、0909114瀬戸内海!!」
「おーっと、スゴいなあ~。じゃあ、新潟の近くにある大きな島がありますが、なんと言う名前の島でしょうか」という私に
「島?あるんですか? じゃあ、新島? かな」と、独特のキャラで返してきた彼女。それでも「コシヒカリ」を覚えていたあたり、まあ、なんとかセーフ! かな、と思うのは娘を思う心境かも知れませんね。楽しいトークショーでした。ハイ。

セイウンワンダー以上の大物がいた新潟夏の陣!!

  セイウンワンダーは抜きん出て強い馬でした。出負けして最後方。4コーナーでもシンガリの位置。ここから不良馬場もなんのその見事なラストスパート、強靭な末脚であっという間のゴボウ抜き。大外から突き抜けてしまったのですから一枚役者が違っていたのかも知れません。3年前の優勝馬、ショウナンタキオンも重馬場を楽々克服。これも出遅れて最後方近くから、直線大外一気のスゴい脚であっという間に先頭。5馬身差の独走劇。その時の時計が1分35秒0。今回のセイウンワンダーは不良馬場で1分35秒4ですから、相当能力の高い馬です。グラスワンダーとサンデーサイレンスの配合。初勝利は2番手から横綱相撲。GI朝日杯FSの最短距離に立ちました。
  2番人気のガンズオブナバロンは2戦目の未勝利戦で6馬身差の独走。1,800m1分47秒4のレコード勝ち。今年の夏の目玉的な逸材。それゆえ12着は、きゅう舎サイドも納得しかねるところでしょう。良馬場で当然巻き返しを狙って来るはずです。
 3番人気のダイワバーガンディは、福島の新馬以来。1,200mからいきなり1,600mで、しかも左回り、長い直線と、不安材料が多すぎました。中山での走りを早く見たい1頭です。
 3着だったバンガロールは3番手で流れに乗り、外に出してしぶとく伸びてきました。マリーゴールド賞でツルマルジャパンに猛接近した地力の持ち主。ガッツもたいしたものです。そして、マッハヴェロシティは、今回スンナリと主導権を取れず。キャリア2戦目、この一戦だけで評価を下すのは可愛そうです。ガンズオブナバロンに叩き合いで競り勝った馬。中山、東京でどんな変身を見せるのか楽しみにしたい馬です。
 今回、私が期待したのがゴールドスパークル。新馬戦でスタートしてからハミを取らず、3角ではステッキ。しかも、4コーナー入り口でで、進路をカットされる不利。ゴール前でも前の馬が内に寄り急ブレーキ。それでも、間を突き抜けた瞬発力は抜群。重馬場発表でラスト33秒9。この父譲り(ステイゴールド)のガッツと勝負強さに期待したのですが、新馬時の馬場状態と、今回の馬場状態はまるで違いました。小柄な馬には雨で馬力型の馬場コンディションに相当苦労したはずです。3戦目、中山の良馬場で改めて注目したい馬です。
 ところで、夏の新潟で私が見つけたイチオシの2歳馬は、ジャッカネイプス(牡・堀きゅう舎)です。デビュー戦は1番人気。結果は3着。当時、マッハヴェロシティが優勝。2着がガンズオブナバロン。今夏一番のハイレベルの新馬戦。前半63秒8の超スロー。前で対応した1、2着馬に有利な流れでしたが、そこを猛然と追い込んできたのがジャッカネイプス。なんとラスト3ハロンが32秒6。間違いなく重賞級、いやGI級の逸材です。アグネスタキオンとコジーンの配合の黒鹿毛。追いかけたい期待馬です。