「2944」ついに、その日が来ました。武豊騎手がJRA史上、最多の勝ち星を達成したのです。凄いです。素晴らしいです。
それまでは、岡部幸雄・元騎手が記録していた2943勝が、JRAの最多勝ち星。その記録を先週の7月21日、小倉3日目、12レースのヒシワンスモアで見事期待に応えて優勝。燦然と輝くJRA通算2944勝を達成!立派です。たいしたものです。
もっとも、岡部・元騎手の記録を破るのは、武豊騎手しかいないと、ほとんどの方が口を揃えて断言していましたが、改めて2944勝という記録の凄さに、感服しております。
それも、武豊騎手38歳という若さでの達成。あの岡部・元騎手ですら苦節37年10ヶ月、56歳での金字塔。これに対して、20年4ヶ月という信じられないスピードでの樹立。あっぱれ、お見事でした。
「プレッシャーを背中に感じて乗れるというのは、ジョッキーとして最高なんです」と、今から18年前、若き天才、武豊騎手はそう私に語りました。若干20歳の時です。
また、彼はこうも言ったのです。
「お前はいつも人気の馬に乗っているから、そんなに勝てるんだろう。といわれたことがあります。でも、アベコーさん、人気の馬に乗せてもらえる、ということがジョッキーとして大変なんですよ」
あまりにも含蓄のある彼の言葉のひとつひとつ。人間、武豊としての心の深さに感動を覚えたものです。
今年の武豊騎手は、すべてが順調というわけではありませんでした。ダービー終了時点で、東西リーディング・ジョッキー第7位。例年トップで飛ばしている彼にとっては、まわりが心配するほどの順位。この時点でトップの岩田騎手とは27勝差。2位の安藤勝騎手でも18勝差。競馬ファンであれば、さすがに気がかりです。
そんな武豊騎手と話す機会があったのが、先日の新潟アイビスサマーダッシュ。このときの彼は実にさわやか豊スマイル。前日は台風4号の影響で、小倉競馬が中止。月曜日に代替開催。彼は、小倉→新潟→小倉の移動。日曜日の新潟最終レース、フサイチレオンで逃げ切り勝ち。実はこの日、不運続きでこれが唯一の勝ち星。にもかかわらず、私が書いている無料メールマガジン・馬STATION「ウマステ」のファン・プレゼントで、ゴーグルに彼のサインをお願いしたら、快くOK! こちらから持ち込んだゴーグルを、使用してくれて、それにサイン。気配りが凄いです。
翌日は小倉で5勝の固め打ち。この週から目覚めたかのような勝ち星の大進撃。先週の小倉3・4日目でも7勝の荒稼ぎ。で、なんと2位の安藤勝騎手と78勝で2勝差。肩を並べてきました。1位の岩田騎手で18勝差。一時は27勝も水が開いていたことを考えると、神がかり的な勢いを感じます。
あと53勝で夢の3000勝に到達。今年中の到達が濃厚になってきました。3000勝のときには、今度は私に記念のサインを頂こうかな、と考えたりしています。
凄い!見えた!(@_@;)今年中3000勝が射程圏!
新潟の赤い月をみたことがありますか!?
ある瞬間、月が赤く見えるときがあります。ご存知でしょうか。月が出始めの頃、或いは、月が沈みかけの頃に、月が赤く見えることがあるらしいのです。科学的には水蒸気が空気中に多かったり、大気中のチリなどによって、青の光が失われることにより、月が赤く見えるようです。
なかにし礼さん書き下ろし「赤い月」は、一人の女性が幾多の苦難に遭遇しながらも、異国の地で、力強く生き抜く姿を描き、降旗康男監督・映画「赤い月」となって公開されました。
私は、過去に1度、新潟で赤い月をみたことがあります。なんとも幻想的なシーン。新潟競馬場からの帰り、新潟空港から見えた夕日、新潟港から見えた夕日、これらのどのワンシーンよりもそれは感動的でした。
新潟古町、名曲「新潟ブルース」に出てくる古町通り。古くから栄えた繁華街で、バブルの頃は、朝まで人人で大変な盛り上がりをみせていました。ところが、平家物語のあの有名な冒頭部分ではありませんが、この世の中は常に変わっていき、盛んな者は衰えるが如く、まさに「盛者必衰の理をあらはす」なのです。夜も8時を過ぎると、古町のセンターモール街は、シャッターも降りて、歩く人もまばら。バブル期の面影はありません。ただ、だれも観衆がいない路上ミュージシャンの甲高い声だけが、モール街を切なく響き渡ります。
モール街の中央、ホテル金寿あたり通りを右手に折れると、スナック&パブの店「ソンブレロ」があります。ここはママが一人で切り盛りしている店で、このママは実に情が深い方なのです。それゆえ、ママのサポーター的古くからのファンも多く、同じ週の同じ時間に行くと、同じような顔ぶれの方に出会います。私も二十数年、新潟開催のシーズンは、定期便のように競馬仲間と通い詰めています。
ママの人生論に、そうだそうだと相槌をうち、ママの地元ならではの手厚い料理と、プロ顔負けの驚きの歌唱力に耳を傾ける。楽しい新潟の宵は瞬時に過ぎて行きます。
ママはその人柄の良さゆえ、人に騙されて店が苦境に陥ったり、そして熟年結婚、離婚。更には、店から戻ると自宅がもらい火で大変な被害。そして生死を分ける大病。未だに病気と闘いながら、今日も笑顔と歌と、手料理で我々を歓待してくれます。
なにし礼著「赤い月」の主人公の女性が、ここ新潟にもいました。
新潟は今回の中越沖地震で、大変な被害を受けました。不幸にして亡くなられた方、大怪我をして入院されている方。家が倒壊したり、危険があって生活できない方たちも9000人以上ともいわれています。新潟は中越地震から月日が浅く、被災者の方の傷も癒えていません。東京電力・柏崎刈羽原発事故での火災、そして放射の漏れ、事故隠し。近隣の住民の方、県民方々の声にならない声まで、耳に響いてくるようで胸が痛くなります。なんとか1日でも早く回復、立ち直られるよう祈るばかりです。
各方面での義援金が始まりました。田中勝騎手、蛯名騎手、後藤騎手は、今回の新潟で1勝ごとにその進上金の一部を、義援金に回すそうです。私たちもなんとか協力してみませんか。よろしくお願い致します。